観客のいない音楽会


イベント関係者(マーガレットドルチェ、ピコ)

マーガレット「たまには広い舞台の上で 演奏してみたいなあ。」
主人公「舞台かあ。」
マーガレット「どこかにそんなチャンスが 転がってないかな?」

  • 翌日
ドルチェ「ねぇレスト(フレイ)、 お願いがあるのだけど。」
主人公「なに?」
ドルチェ「メグを黒曜館まで連れて来てくれる?」
主人公マーガレット黒曜館に?」
ドルチェ「あそこの舞台で、 メグの演奏を聴きたいって人がいるのよ。」
主人公「へぇ~、マーガレットの?」
ドルチェ「お願い出来るかしら?」
うん・今はちょっと……
▼うん
ドルチェ黒曜館の舞台にメグを連れてきて。 待ってるから。」
▼今はちょっと……
ドルチェ「そう……。」
ドルチェ「なら、手が空いた時にでもお願い。 待ってるから。」

 ドルチェ黒曜館の舞台にメグを連れてきて。 待ってるから。」

マーガレット「ん? 私に何か用事?」
主人公「うん。」
主人公「あのね、舞台の上でマーガレットの 音楽を聴きたい人がいるんだって。」
マーガレット「えっ、舞台で!? 演奏出来るの!?」
マーガレット「行く行くっ♪ 行きたいっ♪」
主人公「それじゃあ黒曜館に行こうか。」
マーガレット「こっ、黒曜館!?」

主人公「そうだよ。どうかしたの?」
マーガレット「あ、な、何でもないよ……? あはは……は。」
主人公「そう……なの?」
マーガレット「あの黒曜館って、 うっ、裏口があったよね!」
主人公「裏口?」
マーガレット「うん!」
マーガレット「確か、ヴォルカノンさんが 湖の近くに橋をかけたんだ!」
マーガレット「そっちから行こう? ね? ね? そうしよ?」
主人公「うん、じゃあそうしよう。」
マーガレット(よ、よかった……。)
マーガレット「う、裏口から行こうね? 町の西にある湖の近くだよ。」

  • 二人連れている
マーガレット「あ、誰か連れてるね。じゃ、準備が出来たらまた来て。」

 マーガレット「う、裏口から行こうね? 町の西にある湖の近くだよ。」

  • 黒曜館

 マーガレット「ひ、ひえぇぇ……。 早く舞台へ行こうよ……。」

主人公「あれ? 誰もいない。」
マーガレット「え、本当に?」

マーガレット「本当だ……。」
ドルチェ「お待たせ。」
マーガレット「うわあ!」

ドルチェ「どうしたの?」
マーガレット「いきなり後ろから来たら誰だって――」
ピコ『わっ!!』
マーガレット「みゅうっ!」
ピコ『うふふ、驚きました?』
マーガレット「ピ、ピコぉ~……!」
主人公ドルチェ、 お客さんはまだ来てないの?」
ドルチェ「何言ってるの? あそこにいるじゃない。」

女性客「やあ、はじめまして!」
女性客「今日はよろしくねーっ♪」
マーガレット「い、いつの間に……?」
主人公「なんだか元気な人だね……。」

ドルチェ「メグ、楽器は持ってきた?」
マーガレット「うん。」
マーガレットドルチェ、それで私は どんな音楽を弾いたらいいの?」
ドルチェ「……それなんだけど。」
マーガレット「?」
ドルチェ「楽譜がないのよ。」
マーガレット「楽譜が?」
ピコ『聴きたい曲はあるけど、 楽譜を持っていないらしいですわ』
マーガレット「えっ。 じゃあどうすれば?」
ドルチェ「大丈夫。 楽譜のありかは分かってる。」
マーガレット「どこ?」
ドルチェ「この黒曜館のどこか。 それを探してきて欲しいの。」
マーガレット「ええっ!?」
ドルチェ「私じゃ楽譜の事はよく分からないし。」
ドルチェ「それにここ、『出る』から。」
マーガレット「えっ!?」
ドルチェ「……モンスターが。」
マーガレット「そっちか……。」
マーガレット「ってそっちもヤだよ。」
ドルチェ「だからレスト(フレイ)がいるんじゃない。」
主人公「わかった。 マーガレットと探してくるよ。」
ドルチェ「よろしくね。」
マーガレット「うぅ~……わかったよ……。」

 ドルチェ「気をつけてね。 ここ、『出る』から。」

 女性客「ごめんね、手間かけさせちゃって。」
 主人公「あ、いえ……。」
 女性客「どうしても聴きたい曲でね、突然なんだけどお願いしちゃった。」
 主人公「……大切な曲なんですね。」
 女性客「うん……そうね。大切な曲だわ。」
 女性客「それで楽譜なんだけど、きっとどこかの引き出しに入ってると思うの。」
 女性客「大変だと思うけどよろしくね。」

 マーガレット「は、早く楽譜を探そう!?」

主人公「さあ、楽譜を探そう。」
マーガレット「……。……!……?」
主人公マーガレット?」
マーガレット「きゃっ!」
マーガレット「な、なんだ、レストくん(フレイさん)か。」
主人公マーガレット、どうしたの? 変だよ?」
マーガレット「えっ……?」
主人公「もしかして――」
怖いの?・おなかすいた?
▼怖いの?
マーガレット「そっ、そんな事!」
マーガレット「……ある。」
無理しなくていいよ・がんばろう
 ▼無理しなくていいよ
 マーガレット「え……?」
 マーガレット「うん……ごめんね。 ありがとう……。」
 ▼がんばろう
 マーガレット「う……うん。 がんばる。」

▼おなかすいた?
マーガレット「……別に。」

  • 次の部屋
ガタッ
マーガレット「ぞぞっ!」
主人公「何の音かな?」
マーガレット「ひえ~……!」
マーガレット「いいから行こ! お願いだから早く終わらせよう!?」
主人公「で、でもくっつかれると 動けない……。」

  • 次の部屋
マリーナ「ねぇねぇ、あなたはだぁれ?」

マリーナ「ごめんね、おどろいた? でもどうしてここに一人でいるの?」

マリーナ「さっき、バイオリンのおとが きこえたの。」
マリーナ「あなたがえんそうしてたのよね? とってもじょうず。」

ユリウス「……ほんと?」
マリーナ「あ、やっとしゃべってくれた♪」
ユリウス「あ……。」
マリーナ「あたしマリーナ。 あなたは?」
ユリウス「えっと……僕は、 …………ユリウス。」

主人公「あれ? 今、何か聞こえたような……。」
マーガレット「えっ、ウソッ。 なになになになに?」
主人公「気のせいかな……。」
マーガレット「ええ~……。」

  • 回廊
マーガレット「うう……何か出そう……。 は、走り抜けるのはどう?」
あぶないよ・ついてこれる?
▼あぶないよ
マーガレット「そ、そうだよね……。 人にぶつかったら危ないよね。」
マーガレット「……ってこんなところで人に ぶつかったらヤだよ~!!」
▼ついてこれる?
マーガレット「お、おいていかないで! 手つないで行こうよ!」

  • 回廊左
マリーナ「がんばってるのね、 ユリウス。」

ユリウス「マリーナ、 いつからそこに?」
マリーナ「さっきからいたわ。」
マリーナ「あなた、音楽に夢中になると 何も見えないのね。」
ユリウス「そ……、そんな事ないって。」
マリーナ「……ふふっ。」
ユリウス「なに? なにかおかしかった?」
マリーナ「そうね。」
マリーナ「昔は全然話してくれなかったのに 今ではこうして楽しく話せるんだもん。」
マリーナ「それが、なんだかおかしくって♪」
ユリウス「……はは、確かにそうだ。」
マリーナ「それと同時に、なんだか うれしくって。」
ユリウス「マリーナ……。」

主人公「あ、あれ……? 今何か聞こえなかった?」
マーガレット「き、聞こえなかったけど……。」
主人公「う~ん……、 おかしいな……。」
マーガレット「うわ~ん、もうやだ……。」

  • 西の棟
マリーナ「ねえ、ユリウス。 今度の週末なんだけど……。」
マリーナ「……聞いてる? 何してるの?」
ユリウス「……ああ、 楽譜を書いてるんだ。」
マリーナ「また……音楽に夢中なのね。」
ユリウス「ああ。すまないけど、 また後にしてくれないか?」
マリーナ「…………どうして?」
ユリウス「…………。」
マリーナ「ねえ、どうして!? いつもいつも音楽の事ばかり!」
ユリウス「マリーナ、すまない。 今はとても大切な時期なんだ。」
マリーナ「そんなのわかってる……! でも……誕生日くらい……っ!」
ユリウス「とにかく、今は話しかけないでくれ。」
ユリウス「……今は、この楽譜を 間に合わせないといけないんだ……。」
マリーナ「…………。」

主人公「あ、これじゃないかな?」
主人公マーガレット、 見てくれる?」
マーガレット「う、うん。」

マーガレット「……。」
マーガレット「…………あれ。」
主人公「どうしたの? もしかして違った?」
マーガレット「ううん、これだと思う。 でも――」
主人公「……?」
マーガレット「この曲、私が普段弾いてる曲だ。」
主人公「えっ。」
マーガレット「しかも、サインが書いてある。 つまり、これは作曲者本人の楽譜だよ。」
マーガレット「この曲を作った人は、ここに住んでいた人なんだ……。」
主人公「へえ~……。」
マーガレット「この曲はね、私がエルフの国から出て、 先生に初めて教えてもらった曲なの。」
マーガレット「なんだか、なつかしいな……。」
マーガレット(ねえ、先生……。)
主人公マーガレット……。」
マーガレット「あ、ごめんごめん。」
マーガレット「一応、他にも無いか探すから、 ちょっと待って。」
主人公「うん。」

主人公「誰か……いる?」
マーガレット「えっ!?」

マーガレット「ど、どこ……?」
主人公「ほら、あそこに――」
マーガレット「……どこ、かな?」
主人公「あれ……おかしいな。」
マーガレット「……何を見たの?」
主人公「と、とにかく戻ろう。」
マーガレット「ええ~……何を見たの~……?」

 マーガレット「は、早く舞台に戻ろう!?」

  • 舞台
マーガレット「はぁ……やっと着いた……。」
女性客「お帰りなさい。」
マーガレット「あ、お待たせしました。」

ドルチェ「楽譜は見つかった?」
マーガレット「うん。ほら、この通り。」
ドルチェ「お疲れさま。 少し休む?」
マーガレット「ううん、お客さんを 待たせちゃ良くないから。」
ドルチェ「そう。じゃあお願い。」
マーガレット「うん。」

マーガレット「……コホン。」
マーガレット「これより、演奏を始めさせて頂きます。」
マーガレット「ですが、その前に少し、 この曲についてお話ししましょう。」
マーガレット「この曲はとても優しく、 そしてメッセージ性の強い曲です。」

マーガレット「私はこれを初めて聴いた時、 とっても感動しました。」
マーガレット「きっと、これは誰かとても大切な人に あてた曲なんだと思います。」

マーガレット「……話が長くなりました。」
マーガレット「それでは始めます。」
マーガレット「短い間ですがお付き合い下さいませ。」
マーガレット「曲名は、『LAFS』。」

聞いてくれるかい、マリーナ。
……ずいぶん久しぶりに 話しかけてくれたわね。
お、怒ってるかい……? ごめんよ……。
いいわよ。いつもの事だし。
……それで、 その聞いてほしい事があるんだ……。
聞いてほしい事? なに?
実は今度、演奏会を開く事になったんだ。
え、演奏会? あなたの? すごいじゃない!
そう、僕の。 いや、違うかな……。
???
日にちは君の誕生日。
だから、この演奏会は君に捧ぐよ。 そのために、新たな曲を書いたんだ。
えっ――
会場に特別席を用意したんだ。
その席にはキミに座って欲しい。 そこで僕の演奏を聞いてくれないか?
うそ……。
……ほんとうに? ほんとうに……私なんかでいいの?
ああ、もちろん。 いや、キミじゃないとダメなんだ。
演奏会が開かれる日。 キミを迎えに行くよ。
そこで、大切な音楽と、 大切な言葉を聞いてほしいんだ。
とびきりの、ドレスを着てきて くれないか?

女性客「ユリウス……。 この曲なのね……?」
女性客「あなたが……私に聞いてほしいと 言ってた曲……。」
マーガレット「……?」
ドルチェ「メグ、演奏を続けて。 何があっても、止めないで。」
マーガレット「……え? う、うん……。」

女性客「ユリウス……!」
ユリウス「マリーナ……。ごめん、とても待たせたね。」
マリーナ「そうね……。 本当に、長い間待ってたわ……。」
ユリウス「今、彼女が弾いてくれているこの曲が 僕の気持ちだ。」
マリーナ「ユリウス……。」
ユリウス「もう行こう。 ここは僕達の居場所じゃない。」
マリーナ「……そうね。」
ユリウス「これからは、ずっと一緒だ。」
マリーナ「……ええ。」

ユリウス「……ありがとう。」
マリーナ「……本当に、ありがとう。」
マーガレット「えっ……?」

マーガレット「!?」
ピコ『終わりましたわ』
ドルチェ「そうね。」
主人公「き、消えた……?」
ドルチェ「お疲れ様。」
ドルチェ「詳しく話すから降りてきて、メグ。」

マーガレット「ど、ど、どういう事!? あの人たち消えちゃったよ!?」
ドルチェ「落ち着いて。」
ドルチェ「あの人達は……、 まあ、簡単に言えば幽霊ね。」
マーガレット「えっ!?」
ピコ『……気付いてなかったんですの?』
マーガレット「あわわわわ。」
ドルチェ「大丈夫よ。悪い霊じゃないから。」

ドルチェ「メグ、あの男の人はね。 あなたと同じ音楽家よ。」
マーガレット「そ、そうなの?」
ドルチェ「あなたが弾いた曲の作曲者。 隣にいた彼女のために作ったの。」
マーガレット「え……あの人が……?」
ドルチェ「これはもうずっと昔の話なんだけど。」
ドルチェ「彼はあの曲を彼女に贈るため、 音楽会を開いたの。」
ドルチェ「彼女を、この黒曜館の特別席へ 招待したわ。」
ドルチェ「そして馬車で一緒にここへ 向かっていたのだけれど。」
ドルチェ「その日は大雨で……、 あちこちで土砂くずれが起きていた。」
ドルチェ「彼らはそれに巻き込まれてしまって、 …………帰らぬ人となったわ。」
マーガレット「そんな……。」
ドルチェ「彼は彼女に音楽を届けるため。」
ドルチェ「彼女は彼の音楽を届けてもらうため。」
ドルチェ「ずっと、ずっとここで 演奏が始まるのを待っていたの。」
ドルチェ「あなたたちは、2人の願いを 叶えてあげたのよ。」

ドルチェ「……最後、聞こえた?」
マーガレット「え?」
ドルチェ「『ありがとう』って。」
マーガレット「うん。聞こえたよ。」
ドルチェ「それとね、その楽譜。 あなたにあげるって。」
マーガレット「え……、でも……。」
ドルチェ「大切にしてあげて。」
マーガレット「……うん。」
ドルチェ「私からもお礼を言うわ。」
ドルチェ「あなた達のおかげで、 悲しい魂を救えたから。」
ドルチェ「ありがとう。 それに、黙っててごめんなさい。」
マーガレット「ううん、気にしないで。」
ドルチェ「……それじゃあ、 お先に失礼するわ。」

マーガレット「…………。」
どうしたの?・大丈夫?
▼どうしたの?
マーガレット「う、うん、なんだろう。 なんで泣いてるんだろうね。」
▼大丈夫?
マーガレット「う、うん、だいじょうぶ。 なんで泣いてんだろ、わたし……。」

マーガレット「でも……わたし、あんなに 想いを持ってた人に対して――」
マーガレット「最初、幽霊だから 怖いなんて思ったんだ……。」
マーガレット「あの曲、本当に良い曲なの。」
マーガレット「それに、強い想いがある。」
マーガレット「それも感じちゃって、何だろうね本当。 何が言いたいんだろう……。」
マーガレット「…………よくわからないや。」
主人公マーガレット……。」
マーガレット「でもね、1つだけわかる事があるんだ。」
マーガレット「それは、あの人達に 出会えてうれしいって事。」
マーガレット「だから……ごめん。 ……もう少し、ここにいさせて……。」
マーガレット「あの人達の、想いを感じさせて……。」


ユリウス「お礼です」
主人公「え?」

マーガレット「これ、もしかして あの人達からの、かな?」
主人公「そうかも……。」
マーガレット「……これはレストくん(フレイさん)が 受け取ってあげて。」
主人公「え、いいの?」
マーガレット「うん。」
マーガレット「私は楽譜をもらったし、 それ以外にも色々もらったから。」
主人公「色々?」

マーガレット「私もいつか、 大切な人のために——」
マーガレット「あの人達に負けないような、 素晴らしい音楽を作るから!」
マーガレット「今日はありがとう!」
マーガレット「バイバイッ!」

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最終更新:2023年02月21日 22:44
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