一冊の本から表れた少年、ヴァイス。
彼に導かれ、レインとエルネストの不思議な旅が今 始まろうとしていた
彼に導かれ、レインとエルネストの不思議な旅が今 始まろうとしていた
…はずだった
2章 時空の旅
まぶしい日差しが容赦なく降り注ぎ、耐えきれずにレインは眼を開けた。もともと切れ長で鋭い瞳のレインのことだから、眩しさに眉をひそめようがひそめなかろうが特に大した差異は見られない。考えてみれば、久しぶりに眠ったのではないだろうか?ついこの間まで仕事のために眠る時間など確保できなかったのが現状だ。むろん、仕事が趣味であるから全く苦ではなかったのだが。
「…睡眠というのも悪くない。」
「そりゃあ 当たり前だぜ。」
「そりゃあ 当たり前だぜ。」
なんとなく呟いた独り言に返事が返ってきてレインは声の聞こえた方向へ勢いよく振り返った。いたずら気な笑みを浮かべながら、ヴァイスが壁にもたれかかっている。レインがこちらを振り向いたのを見て、呑気にブイサインすら見せた。
「おはよー。いい朝だなあ!」
「最悪な気分にされました。」
「ひどいこと言うぜ。エルはゲラゲラ笑ってくれたのに。」
「最悪な気分にされました。」
「ひどいこと言うぜ。エルはゲラゲラ笑ってくれたのに。」
ヴァイスはどうやらエルネストと相性がいいらしい。いや、社交性に富む彼のこと。エルネストは誰とでもすぐに打ち解ける。だからこそ、自分のすぐ隣でサポートしていてくれるのだ。ベッドから飛び降りて、上着を羽織ると窓際のソファへと腰を下ろす。ヴァイスもその向かいにあるソファに座った。
「起き抜けで悪いけど、これからのこと聞いてくれる?」
「ええ。そのつもりで来たのであろうことは予測できました。」
「話が早い。エルもいたほうがいいよな、呼んでくるよ。」
「ええ。そのつもりで来たのであろうことは予測できました。」
「話が早い。エルもいたほうがいいよな、呼んでくるよ。」
席を立とうとするヴァイスをレインは止める。と、ドアが開きエルネストがひょっこり顔を見せた。
「おはようごぜーます。」
「え?すごいな。レイン、来るのがわかってた?」
「呼び鈴を鳴らしましたから。さて・・・そろそろ話してもらいましょうか。」
「ああ。わかった。とにかく、これからの闘いの準備をしておかなきゃならねー。まずドラゴンがどこから現れるかは全くわかんないし、現われる場所がわかっても、倒せるだけの力もいる。武器もね。でー、昔の俺のダチを呼んだら手伝ってくれるんじゃないかなって思うんだよね。」
「昔…」
「そう。かなり昔だから、もう死んでる。」
「無理じゃないスか。」
「え?すごいな。レイン、来るのがわかってた?」
「呼び鈴を鳴らしましたから。さて・・・そろそろ話してもらいましょうか。」
「ああ。わかった。とにかく、これからの闘いの準備をしておかなきゃならねー。まずドラゴンがどこから現れるかは全くわかんないし、現われる場所がわかっても、倒せるだけの力もいる。武器もね。でー、昔の俺のダチを呼んだら手伝ってくれるんじゃないかなって思うんだよね。」
「昔…」
「そう。かなり昔だから、もう死んでる。」
「無理じゃないスか。」
即答されたエルネストの言葉に、得意げな笑みを浮かべてヴァイスはふんぞり返った。指を振って、大丈夫と悪戯っぽく言って続ける。
「そこで、召喚術っていう技術をつかう!召喚術は霊的存在を実体に変える技術だ。だけど、そのためにはその霊のことを理解してなきゃならねー。そこで、俺は時を超える魔法を知ってるから、そいつで時を越えて、俺のダチに会う!そうそう、昔には魔物がわんさかいるから、お前らの修行にもなるかもね。」
説明をし終わったところで首をかしげて、ヴァイスはわかった?と聞く。エルネストが窓の外を見つつ返事をした。
「とにかく、昔の時代にいってヴァイスの友達に会い、修行をし、召喚術を行使する。ドラゴンの居所をつかめばいい…それでいいんスね。」
「そう!準備ができたら早速行こうぜ!」
「そう!準備ができたら早速行こうぜ!」
元気よくこぶしを突き出すヴァイスをスルーしてレインたちは各々旅に必要なものを整理し始めた。その様子に軽く落胆したヴァイスだったが、すぐに立ち直ったらしく、部屋においてあった果物に手をつけ始める。
「…早くレオンに会いてぇなあ…ツッコミすらままならん。」
ぽつりとつぶやいた言葉に、レインが反応した。突然目の前にレインの鋭い目があってやや驚いたのだろう、ヴァイスはポカンと口をあけている。
「今、レオンといいましたか。」
「い・・・言ったけど何・・・?」
「かつてサガルマータにたどり着いた勇王の名では?!伝承によれば、身の丈をはるかに超える3mほどの大剣を振り回し、烈火の如く敵を屠ったと・・・。身の丈をはるかに超えるとはいっても、本人が2mを超える大男であったがために、違和感はなく-」
「い・・・言ったけど何・・・?」
「かつてサガルマータにたどり着いた勇王の名では?!伝承によれば、身の丈をはるかに超える3mほどの大剣を振り回し、烈火の如く敵を屠ったと・・・。身の丈をはるかに超えるとはいっても、本人が2mを超える大男であったがために、違和感はなく-」
次々と繰り出される間違った歴史の数々に、ヴァイスは最初落胆したが、徐々におもしろくなってきたのだろう、にんまりと笑みを浮かべて顔をあげた。
「…あ、レインってばレオンのことそんなに知ってるんだ?そーそー、あいつめっちゃデカイ剣振り回しててさ。左腕はデカイハサミになってたんだぜ。だから、でっかい剣を片手で振り回してたってわけ。そうそう、あと本名はレオナルドっていうんだぜ。」
「興味深い話ですね。レオナルドについては、同じミルディアンの王とはいえ、優柔不断でか弱く、ツッコミしかとりえのない平凡王子だったという伝承がありますが・・・もしや、同一人物?」
「あたり。歴史ってほんとうにすごいね。どんどんねじ曲がるらしいな。」
「ふ…ふふ、ヴァイス!早く私を過去の世界へ!」
「わぁってるって!エル、準備いーかな?」
「いいともー」
「興味深い話ですね。レオナルドについては、同じミルディアンの王とはいえ、優柔不断でか弱く、ツッコミしかとりえのない平凡王子だったという伝承がありますが・・・もしや、同一人物?」
「あたり。歴史ってほんとうにすごいね。どんどんねじ曲がるらしいな。」
「ふ…ふふ、ヴァイス!早く私を過去の世界へ!」
「わぁってるって!エル、準備いーかな?」
「いいともー」
覇気のないエルネストの言葉を聞いて、ヴァイスは呪文を唱え始める。徐々に部屋の中に光が集まりだし、風が巻き起こった。尋常でない魔力の集まり方にエルネストは表情を曇らせたが、つぎの瞬間には意識が飛んでおり、それ以上の思考は意味をなさなかった。
レインの目に最初に飛び込んできた光景は、のどかに広がる草原と森。少し遠くには城がそびえており、距離があるにもかかわらず時計の鐘の音が聞こえてきた。近くにはエルネストが倒れており、そしてその隣にはヴァイスが座っていた。
「時空転移、慣れてくれよな」
「考えておきます…」
「考えておきます…」
げんなりとした表情で答えるレインにヴァイスはくすくす笑ったが、エルネストが重そうに身を起こすと、すぐにそちらに目をやる。とくに異常がないことを確めると城を指差して二人に言った。
「あれが、ミルディアン城…レオナルド・ミルディアンがいる、ミルディアン王国だぜ」
「あ…あれが…」
「バカ!ヴァイス…そんなことを言うと…」
「ん?」
「あ…あれが…」
「バカ!ヴァイス…そんなことを言うと…」
「ん?」
<coming soon>