羽根あり道化師

たとえば、こういうこともある

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ayu

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たとえばこういうこともある。





「――でね、あいつその時あたしになんて言ったと思う!?」
…んなこた知るか。
「酷いのよ、『不細工に付き合う義理なぞない』ですって!!」
うわぁ、酷いね。女の人に不細工はないよね。
「最低よね!!」
うん、最低最低。
分かったよ。分かったからさ。頼むから、俺の上から降りてくれ。
「ねぇ、ちょっと聞いてるの!?」
「聞いてる聞いてる。聞いてるから俺の上で正座するのやめてくれない?話くらいいくらでも聞くからさ、俺の上から降りてもらえない?」
…そしてついでに千年単位で過去の愚痴をこぼすのも止めてもらえるとありがたいです。せめて五十年前後くらいの話をしませんか。俺はそのナントカの君じゃあないんです。明治でも大正でもでもなく平成生まれなんです。平安時代の話なんかされても全然ピンとこないんです。
「あたしの愚痴以上に大切なことなんかないわ!どこで話そうがあたしの勝手!」

なぁ、頼む。頼むよ。
俺、幽霊の愚痴聞いてるほど暇じゃないんだ。
頼むよ、俺、明日は早いんだ。



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