いつから彼はそこに存在したのか、また何が彼を存在させたのか?
彼の誕生そのものこそが世界の誕生であり、
世界の誕生こそが彼の誕生といっても過言ではなかったのである。
世界の誕生こそが彼の誕生といっても過言ではなかったのである。
それが当然であるのだろう、彼は何を思う訳でもなくただ決められた行動を開始した。
黒いシルクハット、黒いスーツ。
無から突如現れた現代的なオフィスと、それに似つかわしくない格好の中年の男はこう定義づけられたのだ。
「御伽迷子捜索書」
彼には外の者を知る力が与えられた。
同時に、外を守る義務を与えられた。
同時に、外を守る義務を与えられた。
そこに存在するのは自分の意思であるのかそれともプログラムであるのか、それを彼が思うことはただの一度もなかったのである。
とある本棚の片隅に放置された、長編小説集のノートを彼は見出した。
幾度となく書き直しの線が引かれた古いノートにはあらゆる世界とあらゆる人物が描かれている。
幾度となく書き直しの線が引かれた古いノートにはあらゆる世界とあらゆる人物が描かれている。
その中でふと、彼の眼にとまった者が一人いた。
最初は、無神経といっても過言ではなかっただろう。
自分を守るために、傍若無人でいたかった。
一人でも生きていると証明していたかった。
しかし同時に、誰かと同時に生きていたかった。
自分を守るために、傍若無人でいたかった。
一人でも生きていると証明していたかった。
しかし同時に、誰かと同時に生きていたかった。
その者に課せられた罪は「時間」である。
かつて力を求め、手にした力に愕然とした少年は長い時と、長い冒険を経て青年へと成長したものの、その成長スピードは彼が忌み嫌っていた竜のそれと何ら変わりのないものである。
最初は拒否をし、やがて脅え、否定し、ようやく受け入れることができた時にその者の物語は終わった。
ある時は異端の研究員、ある時は帝国の魔術兵器、ある時は風来の僧侶。