羽根あり道化師

シンデレラ

最終更新:

ayu

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定期公演終了。
よっしゃ終わったーなんて一息つく暇もなく、今度は学校際での劇に向けて練習開始。
演目は『シンデレラ』
今回はちょっと趣向を変えてミュージカルっぽくやる予定。
歌うし踊るし衣装の早変えだってやっちゃいます。

あぶらかたぶらちちんぷいぷいびびでばびでぶー。ちろりろりーんなんて効果音と共にあたしは杖を振り、歌って踊ってシンデレラはボロ服からドレスに早変わり。
今回の主役は一年生。フランス人とのハーフだかで金髪青い目の正に美少女。イメージぴったり。しかもなんだかって劇団に入ってるとかで実力もある。
もう(私の中で)主役決定状態だったのに「部長の方が適役かと…」とか言ってくれちゃうカワイイ子!シンデレラは君しか居ない!(ちなみに王子は前回のロミオ。)
「さぁシンデレラ、これを」
差し出したのは硝子の靴。
「まぁ素敵!どこに飾ろうかしら!」
「馬鹿かお前は!」
「だって部長、硝子の靴なんて履いたら絶対靴擦れ起こします!痛いじゃないですか!」
「考えるな!良いの、物語なんだから。小さな矛盾点には目をつむれ。それから部長ではなく魔法使いのおばあさん。シンデレラ、分かった?」
「…はぁい」
シンデレラはシュンとして返事をする。
「さ、続きやるよ」
「はい」
私は笑って魔法使いのおばあさんの表情をつくる。
「シンデレラ行ってらっしゃい。けれど、12時までには帰っておいで。魔法が切れてしまうから」
「ありがとうおばあさん。――ここで12時なんてすぐじゃないですかとか言っちゃだめなんですよね?」
「シンデレラ戻ってきて。王子みたいになってはいけない。私は貴方に可愛いままで居て欲しいんです」
「え…でも先輩が…」
「王子ーーーーーーーーーーーーーー!!」
「あはははははははははははははっ」
「笑うな王子!姫を汚すなぁ!」

こんな練習。だけどやっぱり実力はある訳で。
もちろん本番は成功。拍手喝采めでたしめでたし。

  + + +


小さい頃から思ってたけど、硝子の靴の価値なんて高が知れてるよね。
舞踏会の最中も、いつ割れるかとシンデレラはハラハラしていたに違いない。
…夢が無い。



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