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羽根あり道化師
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とおいとおい、僕の幻影

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vice2rain

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ミルディアン王国の歴史は長い。
3000年もの間、一度たりとも他国の傘下にされることなく、孤高を保ち、そして初期の頃から王国としては十分すぎる程立派に、美しく、強い王国であったという文献が多数残されている。
そのミルディアンが何故侵略を受けても無事だったのか?
それには古代の軍神王アルバートがかかわっているとされている。
もはや人とは思えぬほどの剣さばきをもって敵陣に先頭をきって乗り込み、少数精鋭の兵を率いて陥落させたという事実が多数見受けられている。
そしてそのアルバートの秘剣を受け継いでいるからこそ、ミルディアンの王たちは代々強いのである。



とおいとおい、僕の幻影



「あ?アルバート?会ったことあるよ。」

歴史の本片手に期待をこめた瞳で聞いたレオンに、ヴァイスはなんのことはないように、目をあわせることもせずに答えた。
考えてみれば、自分よりは明らかに年下であるように見えるこの少年は、少年などでは決してなく、自分よりもはるかに永く生きている、いわば生きた歴史のようなものだったのだ。

「本当?!どんな人だったか覚えています?」

さらに期待を込められた目で見られてヴァイスは軽くため息をついたが、おとなしく思い出すことにした。何しろ数千年前の話。いかに聡明な彼でも少しは時間がかかるというものだ。

「・・・あ。」



―見た目はレオンに似ている。襟足の長さはアルバートのほうが少し永かっただろうか、前髪に赤い線が一筋はいっていたように思う。突然変異らしく、彼は結構気にしていたらしい。黙っていればとてもクールに見えるのだろうが、かなり子供らしい性格をしていて、ヴァイスよりも明らかに年上なのに完全に精神年齢は下回っていた。

 「バイス君!この構えどうですか?!」
 「…どうといわれても…それはどういうつもりだ?そして何度言えばわかるんだ?僕はバイス、ではなくヴァイス。」
 「えー、ここで敵からの真正面からの攻撃を防いで、こっちで横の太刀を防ぐんですよー。画期的で」
 「ばか者が。後ろからこられたらどうする。大体僕が使っておいていうのもなんだが、二刀流は本来型から外れているんだ。隙が大きくなっても仕方がない。あきらめて左手の手から剣をはずすんだな。」
 「でも二刀流カッコイイじゃないですか!僕もやりたいですっ!」
 「どうなってもしらんぞ、戦に出るのだろう?普通は指揮のみにとどまるのだがな…お前でも命を落とせば国は乱れるのだぞ。」
 「だから今教えてもらってるんですよー。よいしょっと。」
 「ちょ、ちょっとまて!それはなんだ!」
 「大きな剣でしょう?これを引き抜けた人は最強の剣士になれるそです。」
 「たわけ!こんなもの引き抜けるものがいるか!」
 「地面において両端から引っ張れば・・・」
 「それは抜刀とはいわんっ!」
 「まぁまぁ、そういわずに♪」
 「・・・はぁ」
 「わー!本当に抜けたー!」
 「で・・・後始末はどうつけるつもりだ?」
 「あ・・・。」


―ヴァイスはしばし考えていた。
彼の記憶にあるアルバートのことといえば、大方こんなことのようなものだ。そして、くすっと笑うと、こう一言。

「…レオン、お前に激しく似てると思うよ。」
「本当!?うわ、嬉しいな!僕の尊敬するご先祖様なんですよ!」
「うん、そっくりそっくり。」

…ドジで不器用で馬鹿正直なところがだけどね、とヴァイスは心の中で付け足したとか足していないとか。



この話は元々漫画に書いてたんですが、文字にしたらどうなるかなーと。


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