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羽根あり道化師
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羽根あり道化師

赤い靴

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ayu

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赤い靴



「――赤い靴はたちまち踊り出しました」
ぺらり、と本のページをめくる音。
私の通っている小学校で週に一度行われている本の読み聞かせ。私は赤い上履きを履いて、それを聞いていた。
『赤い靴』
最後には木こりのおじさんに足を切り落としてもらう。童話なのに夢が無いと思う。でもキライな話じゃない。
小人たちを言いくるめて死体を持ち帰ろうとするような変体王子も実質百十六歳の大年増に口付けするような王子も居ないから。夢のある話には本当は夢が無い。最終的に何かを失ってしまうような話のほうがいっそ清々しいとすら感じる。

踊れや踊れ、赤い靴。

教会の門番がその言葉を唱えるごとに、赤い靴はますます激しく踊り出す。

お嬢さん、赤い靴を履いて教会に来てはいけないよ。

おばあさんの目を盗んで買った赤い靴。おばあさんは目が悪い。でも赤か黒かの見分けくらい付きそうなものなのに。
赤い靴は茨の道を進みます。
腕も足も傷だらけです。
ごめんなさい、ごめんなさいおじいさん。どうかこの靴を止めてください。
いい加減止めて上げりゃあ良いのに。たかだか二回の反抗で大人気無い。

あら?向こうで誰かのお葬式をしているわ。…まあ、あれは私のおばあさんのお葬式!!

ただ二回、赤い靴を履いて教会に行っただけで親の死に目に会えなくするなんて、あの門番はきっと悪魔だったにちがいない。
教会の門番ならば、イエス・キリストに仕えているのではないのか。
お前の主は人を許せと、罪を許せと説いたのではなかったか。
それとも十字架に掛けられた時に気でも変わったのだろうか。もしキリストが罪人は死ぬまで追い詰めろと一言でも言ったのならばこの門番の行動も頷ける。
だけどそんな事は無い。
「――そして少女は孤児院の子供達に正しい行いをする事を説きながら幸せに暮らしました。おしまい」
幸せ、なのだろうか。私には子供達に苦労話を聞かせながら暮らしましたと聞こえるのだけど。
キライじゃない。だけど、スキにもなれない。
まあ童話なんてそんなもんだ。
その本質は『夢なんて無いんだよ』ってこと。
『不思議の国のアリス』くらいちんぷんかんぷんな話のほうが気持ち良い。しかも本当に夢落ち。

はあ。じっとしているのにも疲れた。
体を動かしたい。
体育館で、少し踊ってみようか。
せっかく、赤い靴を履いていることだし。



End



童話ってつっこみどころ満載で面白いよね。

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