525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/11(水) 23:15:14.19 ID:33MOrt2O0
「太りそうだぜ」
泳ぎ疲れたゼロと、海を見てぼんやりしていたエックスが向かったのは食堂。
大きな窓に囲まれていて、そこからの眺めもデッキと同じく良い。昼の光が、室内に強く差し込む。
二人の目前に広がるのは、沢山の料理だ。
「太りそうだぜ」
泳ぎ疲れたゼロと、海を見てぼんやりしていたエックスが向かったのは食堂。
大きな窓に囲まれていて、そこからの眺めもデッキと同じく良い。昼の光が、室内に強く差し込む。
二人の目前に広がるのは、沢山の料理だ。
「その分、前にいっぱい動いたから良いんじゃないの?」
様々な料理が皿に盛り付けられ、長机に並べられる。
エックスはその一つのパスタ料理を手に取り、自分の小皿へと移した。
「やれやれ………女を解ってないな、エックスは」
ゼロは言葉とは裏腹に、目に付く物を片っ端から自分の所へ持っていった。
様々な料理が皿に盛り付けられ、長机に並べられる。
エックスはその一つのパスタ料理を手に取り、自分の小皿へと移した。
「やれやれ………女を解ってないな、エックスは」
ゼロは言葉とは裏腹に、目に付く物を片っ端から自分の所へ持っていった。
「同じ職場のレプリロイドも居るから、やめて。はしたない」
「良いじゃねぇかよ――あ、これ美味しい。だいたい、なんであいつ等もここに居るんだよ――これも、イケるな」
エックスは説得するのを諦め、自分の食事に取り掛かった。
「ハンターは、ハンターの船に居ろよ。一緒にランチなんかしやがって」
少女の視線の先には黒いボディに包まれた、イレギュラーハンター達がてきぱきと各々に料理をよそっていた。
「良いじゃねぇかよ――あ、これ美味しい。だいたい、なんであいつ等もここに居るんだよ――これも、イケるな」
エックスは説得するのを諦め、自分の食事に取り掛かった。
「ハンターは、ハンターの船に居ろよ。一緒にランチなんかしやがって」
少女の視線の先には黒いボディに包まれた、イレギュラーハンター達がてきぱきと各々に料理をよそっていた。
「食事ぐらいしたって、良いじゃない。それに、中から旅船を守る役目でもあるんでしょ、彼等は」
エックスはそれ以上言葉を重ねず、ゼロの頭を撫で、彼女の言葉を制した。
「ふ……ん」
撫でる手のひらに身を任せながら、ゼロは小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「嫌いみたいだね。同じハンターなのに」
パスタを食べながら、不思議そうに言った。昨日の夜の事もあり、エックス自身も組織には好感が持てなくなってはいるのだが。
エックスはそれ以上言葉を重ねず、ゼロの頭を撫で、彼女の言葉を制した。
「ふ……ん」
撫でる手のひらに身を任せながら、ゼロは小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「嫌いみたいだね。同じハンターなのに」
パスタを食べながら、不思議そうに言った。昨日の夜の事もあり、エックス自身も組織には好感が持てなくなってはいるのだが。
「――なんでかな? 意識はして無いんだけどな。なんとなく、好きにはなれないんだ」
自分でも解らない、とゼロは続けて、他の料理に手を伸ばす。
「なんとなく、ね……」
自分でも解らない、とゼロは続けて、他の料理に手を伸ばす。
「なんとなく、ね……」
突然、黒尽くめのハンター達が立ち上がりだした。料理を叩き置き、椅子を蹴散らしながら窓に向かう。
エックスは自分達の言葉で怒りを覚えたのかと思ったが、ハンター達の慌てぶりから、そうではないらしい。
エックスは自分達の言葉で怒りを覚えたのかと思ったが、ハンター達の慌てぶりから、そうではないらしい。
537 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 00:02:33.06 ID:25X215nE0
「なんだぁ?」
デザートとして出たケーキのクリームで口元を真っ白にしたゼロが、疑問符を挙げながら立ち上がる。
窓から外を覗くハンター達は何を見たのか獣のように呻いて、腰から銃を引き抜く。
そして食堂から、駆け足で出て行った。
「なんだぁ?」
デザートとして出たケーキのクリームで口元を真っ白にしたゼロが、疑問符を挙げながら立ち上がる。
窓から外を覗くハンター達は何を見たのか獣のように呻いて、腰から銃を引き抜く。
そして食堂から、駆け足で出て行った。
エックスが顔を引き締めながら、窓に近づく。
大きなガラス越しからの海の風景。
空から高速で、客船と貨物船、そしてハンターの船で構成される船団に接近する黒い影を捉えた。
「イレギュラー………!」
黒い影は、いつぞやのハチ型の戦闘ヘリだった。5機が鏃状に展開し、こちらに向かって突き進む。
大きなガラス越しからの海の風景。
空から高速で、客船と貨物船、そしてハンターの船で構成される船団に接近する黒い影を捉えた。
「イレギュラー………!」
黒い影は、いつぞやのハチ型の戦闘ヘリだった。5機が鏃状に展開し、こちらに向かって突き進む。
すぐさま客船は、空飛ぶ襲撃者に囲まれた。
その内の一機のハチ型ヘリから何本ものロープが垂れ下がり、ローターに揺らぎながらいくつもの人影がデッキに降り立つ。
エックスは、通路を走る時間を惜しみ、食堂のガラスを蹴り割って、黒が散らばるデッキへと跳ぶ。
先にガラス片がデッキへ降り注ぎ、遅れて青いレプリロイドが砂埃を上げ着地する。
その内の一機のハチ型ヘリから何本ものロープが垂れ下がり、ローターに揺らぎながらいくつもの人影がデッキに降り立つ。
エックスは、通路を走る時間を惜しみ、食堂のガラスを蹴り割って、黒が散らばるデッキへと跳ぶ。
先にガラス片がデッキへ降り注ぎ、遅れて青いレプリロイドが砂埃を上げ着地する。
「――なかなか劇的な登場の仕方です。72点程あげますよ?」
乾いた拍手が鳴った。
皮手袋に包まれた手を持つのは、幼い顔立ちの少女。
斜めに被られる真紅のベレー帽から、蜂蜜色の長い髪がアップに小さくして纏めあげられているのが見える。
上空のローターが、学生用の水着に羽織られた、肩が突っ張った軍用コートの裾をはためかせる。
乾いた拍手が鳴った。
皮手袋に包まれた手を持つのは、幼い顔立ちの少女。
斜めに被られる真紅のベレー帽から、蜂蜜色の長い髪がアップに小さくして纏めあげられているのが見える。
上空のローターが、学生用の水着に羽織られた、肩が突っ張った軍用コートの裾をはためかせる。
「こんにちは、初めましてなのです。私、ランチャー・オクトパルドなのです。――よろしくなのですよ?」
コートの裾を両手で掴み、丁寧にお辞儀をする。自分の言葉に自信が無いのか、可愛らしく首を傾げてみせた。
物静かな態度だが、油断は出来ない。クワンガーのような存在が、それを裏付ける。
エックスはオクトパルドから目を離さず、周りを確認する。
自分の目の前でコートをめくる少女と、その周りを囲むメカニロイド。
コートの裾を両手で掴み、丁寧にお辞儀をする。自分の言葉に自信が無いのか、可愛らしく首を傾げてみせた。
物静かな態度だが、油断は出来ない。クワンガーのような存在が、それを裏付ける。
エックスはオクトパルドから目を離さず、周りを確認する。
自分の目の前でコートをめくる少女と、その周りを囲むメカニロイド。
ヘリから落下してきた、二門のミサイルランチャーを両手にした、コートを着込んだ人影等が円陣を組んでいる。
黒い装いの少女の頭から垂れ下がるコードの先には、豆電球が有り、少女達がアンコウ型のメカニロイドだと解った。
黒い装いの少女の頭から垂れ下がるコードの先には、豆電球が有り、少女達がアンコウ型のメカニロイドだと解った。
553 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 00:44:24.34 ID:25X215nE0
「イレギュラーですよね……?」
バスターを構え、少女の出方を伺う。周りのメカニロイドからは、こちらに手を出す気配は無い。
「イレギュラーですよね……?」
バスターを構え、少女の出方を伺う。周りのメカニロイドからは、こちらに手を出す気配は無い。
「はい、そう言われていますのですよ。人間からは」
オクトパルドは人間という単語で、目を鋭くさせるが、すぐに柔和な表情を作り上げる。
「エックスさん、あなたをお迎えにあがってきたのですよ? ボスの所へ、ご招待しに来たのです」
オクトパルドは人間という単語で、目を鋭くさせるが、すぐに柔和な表情を作り上げる。
「エックスさん、あなたをお迎えにあがってきたのですよ? ボスの所へ、ご招待しに来たのです」
「ボス……というと、この事件を引き起こしてる人物の事ですか?」
眉をひそめ、オクトパルドを見つめる。ローター音が、バタバタと騒々しい。
「さっ、一緒に行きましょうです。ヘリなら、すーぐに付いちゃうのですよ?」
少女はそれには微笑んだだけで答えず、手袋に包まれた片手をエックスに差し出した。
ハチ型ヘリが、二人に向かって高度を下げる。
「この船に居る全ての人間は、もちろん殺すのですよ? レプリロイドは、捕虜にしても良いのです」
眉をひそめ、オクトパルドを見つめる。ローター音が、バタバタと騒々しい。
「さっ、一緒に行きましょうです。ヘリなら、すーぐに付いちゃうのですよ?」
少女はそれには微笑んだだけで答えず、手袋に包まれた片手をエックスに差し出した。
ハチ型ヘリが、二人に向かって高度を下げる。
「この船に居る全ての人間は、もちろん殺すのですよ? レプリロイドは、捕虜にしても良いのです」
――困惑しながら手を取るエックスの耳に、少女の信じられない声が届いた。
「皆殺しにしたら、100点ですよー」
頷くメカニロイドに、微笑みながら告げるオクトパルドは、やはりイレギュラーだった。
手を勢いよく、振りほどく。
頷くメカニロイドに、微笑みながら告げるオクトパルドは、やはりイレギュラーだった。
手を勢いよく、振りほどく。
「な、なんですかー? 何か悪い事、私、し、しちゃいましたかー?」
オクトパルドが驚き、困った顔をした。
アンコウ型のレプリロイドも、船室に向かうのをピタリと止めた。
オクトパルドが驚き、困った顔をした。
アンコウ型のレプリロイドも、船室に向かうのをピタリと止めた。
「人間を皆殺しにする……? いったい何を考えてるんですか!?」
泣き出しそうになる少女を気にせず、激昂する。
「ふぇ……何を……って、よ、よく解らないですよ?」
「あなた達がそのつもりなら、僕は行けません。ここで、あなた達と戦います……!」
しどろもどろになる、少女にバスターを再度向け、エックスは決意の声をあげる。
アンコウの少女達はそれに合わせ、ミサイルランチャーの砲門をエックスに向けた。
泣き出しそうになる少女を気にせず、激昂する。
「ふぇ……何を……って、よ、よく解らないですよ?」
「あなた達がそのつもりなら、僕は行けません。ここで、あなた達と戦います……!」
しどろもどろになる、少女にバスターを再度向け、エックスは決意の声をあげる。
アンコウの少女達はそれに合わせ、ミサイルランチャーの砲門をエックスに向けた。
554 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 00:49:27.94 ID:25X215nE0
「…………………………………あ、あぁ」
「………え?」
ローター鳴り響くデッキの上で、オクトパルドが小さく呟く。
「…………………………………あ、あぁ」
「………え?」
ローター鳴り響くデッキの上で、オクトパルドが小さく呟く。
「そうなんデスね。あなたも、そうなんデスね……? あはは……そうなんデスね。ククク……そうなんデスね」
「な、何を言ってるんですか……?」
涙を流すのかと思われた少女が笑う。ニタリと、どこか失望したように。
エックスは怒った顔から、反転。頭の中で警鐘が鳴った。
「な、何を言ってるんですか……?」
涙を流すのかと思われた少女が笑う。ニタリと、どこか失望したように。
エックスは怒った顔から、反転。頭の中で警鐘が鳴った。
「馬鹿なレプリロイド。愚かなレプリロイド。下らないレプリロイド。守るなんて――人間を守るなんて」
怨嗟の声。今まで、健気にエックスの機嫌を取り成した少女のものとは思えない。
「人間が好きなのデスね? 守りたいのデスね? ――あぁ、そうDEATHか」
怨嗟の声。今まで、健気にエックスの機嫌を取り成した少女のものとは思えない。
「人間が好きなのデスね? 守りたいのデスね? ――あぁ、そうDEATHか」
オクトパルドが姿勢を低くし、背中から六本の赤き触手がコートを突き破り、一気に飛び出す。
うねる触手の先端に取り付けられた銃口が、驚愕するエックスを睨む。
うねる触手の先端に取り付けられた銃口が、驚愕するエックスを睨む。
「喜べ、作戦を変更してあげるのDEATHよ。お前を解体して、海にばら撒いてやる――シュート」
親指で自分の首を薙ぎ、メカニロイドに『殺せ』と命じる。
親指で自分の首を薙ぎ、メカニロイドに『殺せ』と命じる。
全方位から、海蛇の形をしたミサイルが迫る。
エックスは地を蹴り、上空へと逃げる。
連鎖する爆発。ミサイル等が大爆発し、デッキを赤とオレンジで蹂躙した。
エックスは地を蹴り、上空へと逃げる。
連鎖する爆発。ミサイル等が大爆発し、デッキを赤とオレンジで蹂躙した。
自由落下しながら、バスターを発射。
煙が晴れ、黒き姿を見せたアンコウ型の少女の頭部を粉砕した。
鉄の破片がぶちまけられる甲板に着地し、横転する。
転がる青いメットの先を、火煙の尾を引く矢が掠めた。
煙が晴れ、黒き姿を見せたアンコウ型の少女の頭部を粉砕した。
鉄の破片がぶちまけられる甲板に着地し、横転する。
転がる青いメットの先を、火煙の尾を引く矢が掠めた。
「援護が欲しいな……!」
叫びながら射撃し、横手に居たメカニロイドの胸部を撃ち抜く。
叫びながら射撃し、横手に居たメカニロイドの胸部を撃ち抜く。
572 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 01:49:32.43 ID:25X215nE0
海蛇がどこからともなくエックスを襲う。
右手からやってきた三発のミサイルを撃墜し、お返しにエネルギー弾で目前から攻撃してきた少女を破壊する。
海蛇がどこからともなくエックスを襲う。
右手からやってきた三発のミサイルを撃墜し、お返しにエネルギー弾で目前から攻撃してきた少女を破壊する。
散らばる機器の破片が落ちる前に、青きレプリロイドは素早く上方に射撃した。
戦闘を空から見下ろすハチの頭部――コックピットが弾け、錐揉みしながら海面に激突する。
戦闘ヘリは、デッキに届く程の巨大な水柱をあげて爆発した。目障りな傍観者が消える。
戦闘を空から見下ろすハチの頭部――コックピットが弾け、錐揉みしながら海面に激突する。
戦闘ヘリは、デッキに届く程の巨大な水柱をあげて爆発した。目障りな傍観者が消える。
「やるのデスよ、こいつ。あはははははは。――撃ちまくれ!!」
何が彼女を怒らせたのは解らない、ただメカニロイドとの戦闘を離れて傍観する少女の顔は、憎しみに満ちていた。
エックスはバスターを何度も放ち、ランチャーを放つ少女達を地に沈める。
何が彼女を怒らせたのは解らない、ただメカニロイドとの戦闘を離れて傍観する少女の顔は、憎しみに満ちていた。
エックスはバスターを何度も放ち、ランチャーを放つ少女達を地に沈める。
「あの子、AIがおかしいんじゃないのかな……」
呟きながら、バスターで波状に撃ち込まれるミサイルを攻撃。落としきれなかったのは、横に跳んで回避する。
デッキに着弾し、船を大きく揺らす。
ハンター達の船や他の船がどうなっているのか確認したかったが、際限無く迫るミサイルに、自分の事すらままならない。
呟きながら、バスターで波状に撃ち込まれるミサイルを攻撃。落としきれなかったのは、横に跳んで回避する。
デッキに着弾し、船を大きく揺らす。
ハンター達の船や他の船がどうなっているのか確認したかったが、際限無く迫るミサイルに、自分の事すらままならない。
アンコウのイレギュラーの一人が、突進しながら海蛇を放つ。
尾ひれを激しく振るミサイルがエックスを襲うが、太陽の光で作られた弾がそれを許さない。
アンコウとエックスの間で爆発し、少女の視界が泡立つ様に膨らむ黒煙で失われる。
戦場で目を擦るイレギュラーに無慈悲なバスターが貫く。煙をあげる大穴を胸に作り、アンコウの少女は倒れた。
尾ひれを激しく振るミサイルがエックスを襲うが、太陽の光で作られた弾がそれを許さない。
アンコウとエックスの間で爆発し、少女の視界が泡立つ様に膨らむ黒煙で失われる。
戦場で目を擦るイレギュラーに無慈悲なバスターが貫く。煙をあげる大穴を胸に作り、アンコウの少女は倒れた。
乱射されるミサイルから、姿勢を低くしながら体勢で合間を縫うように射撃し続ける。
三人のアンコウ型イレギュラーはまとめて撃ち抜かれ、同時に爆発を起こしながら破壊された。
ヘリから舞い降りたアンコウ型はこれで全てだ。
三人のアンコウ型イレギュラーはまとめて撃ち抜かれ、同時に爆発を起こしながら破壊された。
ヘリから舞い降りたアンコウ型はこれで全てだ。
「なかなか美しく戦ってるのは、69点ものなのDEATHよ? ――さっさと殺せ!!」
二人きりになった甲板に、勇ましく腕を組むオクトパルドの賞賛と怒声が響く。
ベチャリと、水が跳ねる音。音源に向くエックスの瞳に映りこむのは、新手のメカニロイドの姿。
魚類を思わすヒレが脛や肘に取り付けられた数人の全裸の少女が、右手のデッキの端から現れる。
ぬめぬめした裸体を晒しながら、鈍い動きで迫る少女達の尻からはカールを巻く尻尾――タツノトシゴのメカニロイドだ。
二人きりになった甲板に、勇ましく腕を組むオクトパルドの賞賛と怒声が響く。
ベチャリと、水が跳ねる音。音源に向くエックスの瞳に映りこむのは、新手のメカニロイドの姿。
魚類を思わすヒレが脛や肘に取り付けられた数人の全裸の少女が、右手のデッキの端から現れる。
ぬめぬめした裸体を晒しながら、鈍い動きで迫る少女達の尻からはカールを巻く尻尾――タツノトシゴのメカニロイドだ。
96 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 21:08:51.66 ID:zwiiOXO20
端整な顔に張り付く長い髪から海水をしたたらせ、シーアタッカーがのろのろと迫る。
端整な顔に張り付く長い髪から海水をしたたらせ、シーアタッカーがのろのろと迫る。
「――あなたは戦わないんですね」
数体のタツノオトシゴのイレギュラーを横目で睨みつけながら、エックスは皮肉を吐く。
「0点に近い挑発DEATHね。ボスが最後に戦うのは美しい――あたりまえの事なのですよ?」
オクトパルドは片手を挙げ、この状況でなければ頭でも撫でてあげたいぐらいに、ニッコリと笑う。
数体のタツノオトシゴのイレギュラーを横目で睨みつけながら、エックスは皮肉を吐く。
「0点に近い挑発DEATHね。ボスが最後に戦うのは美しい――あたりまえの事なのですよ?」
オクトパルドは片手を挙げ、この状況でなければ頭でも撫でてあげたいぐらいに、ニッコリと笑う。
そして微笑む少女の両隣から、コートを着込んだ二つの人影が降って来た。
アングラーゲでは無く、首元に大量の棘が生えた首輪を付けたウツボ型メカニロイド――ウツボロスだ。
アングラーゲでは無く、首元に大量の棘が生えた首輪を付けたウツボ型メカニロイド――ウツボロスだ。
「愚かなレプリロイドは、どこまで頑張るのですかね。あっけなく死んだら、めーなのですよ?」
挙げた片手を断首台の刃のように降ろし、ウツボロスが身構え、シーアタッカー等が自身をかき抱いた。
挙げた片手を断首台の刃のように降ろし、ウツボロスが身構え、シーアタッカー等が自身をかき抱いた。
横手に飛ぶエックス。身体を丸めたタツノオトシゴの少女達が、高速で横を抜けた。
回避する青い身体に、二人のウツボロスが一気に間合いを詰める。
回避する青い身体に、二人のウツボロスが一気に間合いを詰める。
黒い皮手袋をはめた手刀と、直線の拳がエックスを襲う。
漆黒の一閃を首を傾げて避けるが、右手のウツボロスが放つストレートがまともに腹部に当たった。
漆黒の一閃を首を傾げて避けるが、右手のウツボロスが放つストレートがまともに腹部に当たった。
宙を自分の意思では無く飛ぶ少年。
初撃を損じたシーアタッカーが再度丸まり、独楽の様に吹き飛ぶエックスに体当たりを敢行する。
オクトパルドが会心の笑みを浮かべた。
追撃する5つの回転する裸の少女達――それが、エネルギーの火線に襲われる。
初撃を損じたシーアタッカーが再度丸まり、独楽の様に吹き飛ぶエックスに体当たりを敢行する。
オクトパルドが会心の笑みを浮かべた。
追撃する5つの回転する裸の少女達――それが、エネルギーの火線に襲われる。
苦痛を噛み締めながら、エックスは不利な体勢でバスターを放ったのだ。
惜しむ事無く晒していた裸体の一つに穴が空き、爆発しながら落下するシーアタッカー。
惜しむ事無く晒していた裸体の一つに穴が空き、爆発しながら落下するシーアタッカー。
連続する射撃が、デッキに存在する敵に向かう。
他のシーアタッカー等も、腕を吹き飛ばされ、脚が消失するなどの被害を受け、硬い甲板に打ち付けられた。
ウツボロスは逸早くジグザグに動きエネルギー弾を回避し、もう一人がオクトパルドを掴み上げ、後ろへ退がる。
他のシーアタッカー等も、腕を吹き飛ばされ、脚が消失するなどの被害を受け、硬い甲板に打ち付けられた。
ウツボロスは逸早くジグザグに動きエネルギー弾を回避し、もう一人がオクトパルドを掴み上げ、後ろへ退がる。
106 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 21:16:43.32 ID:zwiiOXO20
損傷に身体をガクガクと振るわせるタツノトシゴが伏せるデッキに着地する。
「おなか、いたい……」
腹部を押さえるエックスは頭を屈め、横に薙がれた黒いブーツを避けた。
ウツボロスの回し蹴りが空を切り裂く。
瞬間的にバスターを放つが、翻る拳にオレンジの弾は打ち砕かれた。
損傷に身体をガクガクと振るわせるタツノトシゴが伏せるデッキに着地する。
「おなか、いたい……」
腹部を押さえるエックスは頭を屈め、横に薙がれた黒いブーツを避けた。
ウツボロスの回し蹴りが空を切り裂く。
瞬間的にバスターを放つが、翻る拳にオレンジの弾は打ち砕かれた。
両者の間で太陽のエネルギーが散らばる。エックスは後方へステップ。
メカニロイド特有である無表情な顔を持つ少女の踵が、甲板に穴を空けた。
メカニロイド特有である無表情な顔を持つ少女の踵が、甲板に穴を空けた。
「エックス!!」
高い声が背中に当たり、デッキから船内を通す扉から赤き少女が飛び出した。
アーマーをクワンガーに破壊されているので、水着の状態でこの戦場に躍り出る。
「あらら。これはゼロさんじゃありませんか。こんな所で、びっくりなのですよ?」
六本の触手を左右に揺らめかしながら、馬鹿にしたように口元を押さえるオクトパルド。
高い声が背中に当たり、デッキから船内を通す扉から赤き少女が飛び出した。
アーマーをクワンガーに破壊されているので、水着の状態でこの戦場に躍り出る。
「あらら。これはゼロさんじゃありませんか。こんな所で、びっくりなのですよ?」
六本の触手を左右に揺らめかしながら、馬鹿にしたように口元を押さえるオクトパルド。
「白々しいんだよ、トリガーハッピー。団体を引き連れやがって……さっさと失せろ、サディスト野郎!!」
ウツボロスに身体を抱えられて挑発する少女に、ゼロは罵倒を吐いた。
エックスがこの隙に、ゼロの隣まで走る。
ウツボロスに身体を抱えられて挑発する少女に、ゼロは罵倒を吐いた。
エックスがこの隙に、ゼロの隣まで走る。
「――トリガーハッピーにサディスト野郎……0点、いやマイナス物なのですよ」
睨みつける赤きレプリロイドに、負けず劣らず目付きを険しくするイレギュラー。
ウツボロスの腕から飛び降り、赤と青に中指を立てる。
睨みつける赤きレプリロイドに、負けず劣らず目付きを険しくするイレギュラー。
ウツボロスの腕から飛び降り、赤と青に中指を立てる。
「言葉を慎め、薄汚い猫型レプリロイド!! お前から縊り殺してやるのDEATHよ!?」
海と空を震わす怒声と共に、旅船のデッキの上空に黒い影が集まる。
残りのヘリ――四機のハチ型ヘリだ。
「くっ………!」
呻くゼロと、腹部を押えるエックスに、オクトパルドの忠実なメカニロイドが降下する。
海と空を震わす怒声と共に、旅船のデッキの上空に黒い影が集まる。
残りのヘリ――四機のハチ型ヘリだ。
「くっ………!」
呻くゼロと、腹部を押えるエックスに、オクトパルドの忠実なメカニロイドが降下する。
瞬く間にシーアタッカーとアングラーゲの集団に囲まれる二人。
122 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 22:03:35.32 ID:zwiiOXO20
「青いゴミのレプリロイドは嬲り殺しが、100点なのですよ」
アングラーゲ等のミサイルランチャーが二人に向けられ、シーアタッカーが体当たりを準備する。
「青いゴミのレプリロイドは嬲り殺しが、100点なのですよ」
アングラーゲ等のミサイルランチャーが二人に向けられ、シーアタッカーが体当たりを準備する。
「薄汚い猫には、お前がレプリロイドである前に、女である事を教えてやるのDEATHよ……!!」
「お前は一度AIのメンテを受けろ。自分が何を言ってるのか、解って無いだろ?」
オクトパルドの触手が怒りに震え、触手の先がその怒りをゼロに向ける。
揺らめく赤と、冷や汗を流す赤。
「お前は一度AIのメンテを受けろ。自分が何を言ってるのか、解って無いだろ?」
オクトパルドの触手が怒りに震え、触手の先がその怒りをゼロに向ける。
揺らめく赤と、冷や汗を流す赤。
「自分の性別に絶望しながら、死ね!! それが貴様が生まれてきた『理由』だ!!」
オクトパルドの顔が戦いの興奮か愉悦に歪んだ。
「ゼロ!! 避け――」
オクトパルドの顔が戦いの興奮か愉悦に歪んだ。
「ゼロ!! 避け――」
「くたばれ、イレギュラー!!」
それに覆いかぶさる野太い声。
マズルフラッシュと轟音の嵐が吹き荒れる。列を成す銃弾が広範囲にばら撒かれた。
それに覆いかぶさる野太い声。
マズルフラッシュと轟音の嵐が吹き荒れる。列を成す銃弾が広範囲にばら撒かれた。
ゼロが出てきた扉から、ぞろぞろとハンター組織の隊員が編成を組みデッキに溢れる。
「お待たせしまして、申し訳ありません! 船内に居たイレギュラーを排除するのに手間取りまして」
黒一色のレプリロイドの一人がイレギュラーの集団に銃を放ちながら、声をあげる。
「お待たせしまして、申し訳ありません! 船内に居たイレギュラーを排除するのに手間取りまして」
黒一色のレプリロイドの一人がイレギュラーの集団に銃を放ちながら、声をあげる。
ボディから火花を連続的にあげるメカニロイド達。
撃ち抜かれるというよりは、削り取られる形でバタバタと機能を停止していった。
撃ち抜かれるというよりは、削り取られる形でバタバタと機能を停止していった。
ハンターの一人が、背中から巨大な黒い筒を外し、空に向けて構える。
ロケットが煙の尻尾を引きながら、ハチ型ヘリ――ビーブレイダーに着弾。
自身を犠牲にして、空中で大きな花火を作りあげる。
ロケットが煙の尻尾を引きながら、ハチ型ヘリ――ビーブレイダーに着弾。
自身を犠牲にして、空中で大きな花火を作りあげる。
イレギュラー集団は一気に押し込まれ、黒のレプリロイド達によって蹴散らされていく。
127 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 22:08:07.11 ID:zwiiOXO20
「………………?」
ゼロとエックスはお互い違和感を感じ、前方に眼を凝らす。
二人のウツボロスが前に立ち、迫りくる銃弾を拳で弾き飛ばしていく――その後方。
――赤きベレーを被った少女が親指の爪を噛み、薬物中毒者のように自分の小柄な身体を震わしていた。
「………………?」
ゼロとエックスはお互い違和感を感じ、前方に眼を凝らす。
二人のウツボロスが前に立ち、迫りくる銃弾を拳で弾き飛ばしていく――その後方。
――赤きベレーを被った少女が親指の爪を噛み、薬物中毒者のように自分の小柄な身体を震わしていた。
グリーンの両目には、自分の部下たちが殺戮されてゆく光景が映る。
「駄目なのですよ……隊長。私の部隊が助けを求めているのです……」
ウツボロスが鉄壁の壁として、オクトパルドに向かう銃弾を逸らす。
イレギュラーの集団は、もう数少ない。
「駄目なのですよ……隊長。私の部隊が助けを求めているのです……」
ウツボロスが鉄壁の壁として、オクトパルドに向かう銃弾を逸らす。
イレギュラーの集団は、もう数少ない。
「駄目……なのです。どうして、そちらの方を先に救出するのですか……」
操縦席から火を噴きながら、ハチ型のヘリが落下する。海に巨大な水柱。
操縦席から火を噴きながら、ハチ型のヘリが落下する。海に巨大な水柱。
「私たちが……」
ゼロとエックスの困惑の瞳に見つめられる少女の頭が俯き、幼い顔が泣き出しそうに歪んだ。
――オクトパルドは『何処』を見ているのか。
ゼロとエックスの困惑の瞳に見つめられる少女の頭が俯き、幼い顔が泣き出しそうに歪んだ。
――オクトパルドは『何処』を見ているのか。
「――私たちが、レプリロイドだからなのですか……?」
そして、俯いた顔が跳ね上げられた時には、狂気に引き歪む―――‘あの’笑顔があった。
そして、俯いた顔が跳ね上げられた時には、狂気に引き歪む―――‘あの’笑顔があった。
「人間め! 人間め! 人間めぇぇぇ!!」
回転するウツボロスの両腕越しに、オクトパルドが力の限り吼えた。
「こいつ!! ………エックス!!」
経験豊富、そして卓越した技術を持つゼロの勘なのか、エックスを甲板に押し倒す。
回転するウツボロスの両腕越しに、オクトパルドが力の限り吼えた。
「こいつ!! ………エックス!!」
経験豊富、そして卓越した技術を持つゼロの勘なのか、エックスを甲板に押し倒す。
「みんな死ねぇぇええええええええ!!」
エックスが見たのは、覆いかぶさるゼロの貧相な身体。
そして、その後方から、空を隠すかの様に扇状に広がるミサイル群。
エックスが見たのは、覆いかぶさるゼロの貧相な身体。
そして、その後方から、空を隠すかの様に扇状に広がるミサイル群。
連続して爆裂する衝撃と轟音にもまれながら、エックスは意識を失った。
160 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 23:11:12.41 ID:zwiiOXO20
――どうして、自分達レプリロイドより弱い人間達を守らねばならないのですか
――どうして、自分達レプリロイドより弱い人間達を守らねばならないのですか
私が疑問を持ったのはいつ頃からだったのだろうか。
「んく……あふ………んんっ……は、はふぅ。……き、気持ちいいのですか……?」
四角く、狭い部屋。私たちの家――戦艦で慰安部員として使われた時から?
男性器に囲まれ、私は教えられた通り、『仲間』を奉仕する。
ニチャニチャと、いやらしい音を出す私の両手。
キスもした事が無い私の唇も、交接する器官でふさがれる。断続的に押し込まれ、喉が苦しい。
四角く、狭い部屋。私たちの家――戦艦で慰安部員として使われた時から?
男性器に囲まれ、私は教えられた通り、『仲間』を奉仕する。
ニチャニチャと、いやらしい音を出す私の両手。
キスもした事が無い私の唇も、交接する器官でふさがれる。断続的に押し込まれ、喉が苦しい。
――どうして、人間達を守らねばならないのですか
――私は頑張ってますよ? 人間を守って、イレギュラーと戦って、第6艦隊で一生懸命頑張ってるのですよ?
「………ビクビク……してますのですよ? ふふふ……まだ我慢しなきゃ、めーなのですよ」
教えられた言葉を紡ぐ。
「んにゅう……いっぱいなのですよ? こんなにお相手できて、私は嬉しいのです」
教えられた言葉を紡ぐ。
「んにゅう……いっぱいなのですよ? こんなにお相手できて、私は嬉しいのです」
――レプリロイドと云うだけで……どうして、こんなにも。
私の武装である触手のバックパックは剥ぎ取られ、衣服も破り捨てられてる。
気に入っていた白いパンツだけが、私の足に引っかかてるだけ。私の裸は『仲間』に余す事なく晒された。
「んちゅ……もう、出るのですか? くふぅん……私にちゃんと……はぁ……かけてくれなきゃ、0点なのですよ?」
男の人のモノから真っ白な液体が飛ぶ。人間の種。
顔に、胸へ、体中に大量の精液がかけられた。
気に入っていた白いパンツだけが、私の足に引っかかてるだけ。私の裸は『仲間』に余す事なく晒された。
「んちゅ……もう、出るのですか? くふぅん……私にちゃんと……はぁ……かけてくれなきゃ、0点なのですよ?」
男の人のモノから真っ白な液体が飛ぶ。人間の種。
顔に、胸へ、体中に大量の精液がかけられた。
「白い海に入ってるみたいです……100点満点ですよ?」
微笑み、私は心にも無い事を言い放つ。
いつから私は、こんな笑顔が上手になったのであろうか?
――妊娠しないからと言う。レプリロイドからと言う。どうしてなのですか? 私、悪い事しましたか?
微笑み、私は心にも無い事を言い放つ。
いつから私は、こんな笑顔が上手になったのであろうか?
――妊娠しないからと言う。レプリロイドからと言う。どうしてなのですか? 私、悪い事しましたか?
162 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 23:12:53.15 ID:zwiiOXO20
「隊長! 私の部隊が……!」
「人間の部隊が先だ、オクトパルド。――お前の部隊はレプリロイドで構成されてるのだろう」
「隊長!?」
「隊長! 私の部隊が……!」
「人間の部隊が先だ、オクトパルド。――お前の部隊はレプリロイドで構成されてるのだろう」
「隊長!?」
――どうして?
「はやく救出を!! 向こうの部隊の被害はまだ軽微です!!」
「くどいな、オクトパルド。私は言ったぞ、お前もお前の部隊も‘レプリロイド’なのだろう」
「くどいな、オクトパルド。私は言ったぞ、お前もお前の部隊も‘レプリロイド’なのだろう」
――レプリロイド? 助けを求めてるのですよ。悲鳴をあげてるのですよ。人間と同じように。
「やれやれ、損害は少なく済んだな。‘レプリロイド’は全滅したが、人間は20人救出」
「…………酷い。…………酷すぎるのですよ」
「僥倖だな」
「…………酷い。…………酷すぎるのですよ」
「僥倖だな」
――私の名前を呼びながら、『仲間』は死んだのですよ?
「オクトパルド。第3部隊が呼んでいる――‘あれ’、だそうだ」
――どうして、自分達レプリロイドより弱い人間達を守らねばならないのですか
私の携帯端末に、大規模なイレギュラー事件が発生したとの情報が入った。
――レプリロイドのための世界を創造………そのための反乱
私は、あなたたちの道具じゃない。
私は自分を壊した――イレギュラーになるために。
私は人間なんか守らない。………こんなにも弱く、そして汚い人間など。
私は人間なんか守らない。………こんなにも弱く、そして汚い人間など。