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VIPロックマンまとめ

Short Stories X -3-

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匿名ユーザー

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技術的お願い


12 名前:技術的お願い[] 投稿日:2006/10/14(土) 21:38:18.17 ID:KuQRxfiH0
技術的お願い



「調子に乗るなよ!! きさまぁ!!」
「お前は一体何を言っているんだ!?」
ハンター組織――本部に存在する施設の一つ食堂に、珍しいコンビがいた。
怒れる鷲型レプリロイド――ストーム・イーグリードと、掴みかかられるライト博士だ。

いつも閑散として、人の居ない食堂で、長い髪を振り乱すイーグリードの大声が拡散する。
「何故、尻尾のアタッチメントを開発しない!! 私のゼロを何だと思っている!?」
「あいつは誰が作ったかは知らないんだ! 製作者に聞け! 猫の耳をわざわざ作った、変態の製作者にな!」
自分より大柄の身体に迫られ、身長の関係で大きな胸で押し潰されそうになりながら、ライトは抗議する。

「その素晴らしい奴はどこ居る!? 話がしたい」
イーグリードが両腕と身体を離す。ライトは額に汗をかきながら抜け出た。

「知るか!」
「――死ねぇ!!」
ライトの子供らしい啖呵に、イーグリードが素早く竜巻を放つ。
ストームトルネードが小さいサイズの白衣を巻き込み、ズタズタにする。

白い装いは食堂の天井に、布生地を撒き散らした。
「…………な」
呆然とするライトに、イーグリードが勝ち誇ったように笑う。

13 名前:技術的お願い[] 投稿日:2006/10/14(土) 21:39:29.07 ID:KuQRxfiH0
「私を怒らせるからだ。もう――」
「は、白衣が……。エックスに新しく買って貰ったのに………ふぇ……ふぇええん!」
泣き出すライトが、大人気ないレプリロイドの言葉を遮る。
黒のシャツと、薄青のズボンだけになったライトが火が付いたように泣く。
目尻を押える二つの拳の下で、シャツに掛けられる赤いネクタイが揺れた。

「……………………良い」
「ひっぐ……うぅ…ふぇぇ……ん。―――え?」
イーグリードの呟きで、食堂に響く騒音は止まった。
頬を赤らめ、自分の顔をライトに近づける。両腕はまたもライトの肩に、今度は優しくかかった。

「今まで鼻持ちならない奴だと思っていたが……実に良い。そう、忘れていたが君も幼女だったな」
「な、何を言ってるんだ!? やめろ触るな……! 私は博士なんだぞ! 偉いんだぞ!」
何故か自分のシャツのボタンを外しながら、ライトの怯える顔を撫でるイーグリード。
赤いネクタイが引き抜かれる。
「さぁ、私と大空を飛んでみようか」
「や、やめろ!? 誰かー!! エックスー!! エックスー!!」


「きりきり歩け、イレギュラー!」
「何故だぁ!? 何故、愛の伝道師と呼ばれた私が!!」
イーグリードの襲撃は、ライトの声でかけつけた漆黒のレプリロイドのお蔭で未然に防がれた。
電子錠を両手首に填められ、食堂を後にするイレギュラー。

それに続く漆黒のボディ。メットの上に生える鋭いツノが、食堂の照明に淡く光った。
一度だけライトにそのバイザーが覆われた眼が向けられると、敬礼する。
ライトがそれに応え、軽く敬礼を返す。そしてハンターは食堂を出た。

「ひ、酷い目にあった……」
一人になった食堂で呟くライトは大きな疲れを感じた。

16 名前:技術的お願い[] 投稿日:2006/10/14(土) 21:41:33.73 ID:KuQRxfiH0
「ライト……博士………」
そこに小さな声がかけられた。
ライトと同じぐらいの背の少女――アイシー・ペンギーゴだ。
「あぁ、なんだ、ペンギーゴか」
振り向くライトの瞳に映る、ペンギンのメットを被った小柄な少女。

「おねがい……あるんだけど……良い?」
ペンギーゴは、両手の組み合わされた指を落ち着かなく、動かしながら言った。
「ん? あぁ、良いよ。私に出来る事があれば」
ライトは片手を掲げ、願いを了承した。

「あの……ね……。あ……………その……。胸って……大きく……できるのかな……」
ニヤリと笑い、ペンギーゴは言った。
「はぁん?」
ライトは眉を潜める。やったとばかりに笑みが広がるペンギン型の少女。

「ちょっと……した………冗談……。ただ、ちょっと……博士の……顔を……見に来た……だけ」
少し声のトーンを落とす。微笑みに悲哀が滲んだ。
「………エックスと何かあったか?」
ライトも苦笑を止め、真面目な顔になった。
ペンギーゴが首を振る。

「ううん……あれは……ケインの嫌がらせ……だったから。でも最近……それで……エックスの顔……みれない……かな」
二人の顔が曇る。
仕事上ライトは、ペンギーゴの事をよく知っていた。他のレプリロイドの相談役になる事も多い。

17 名前:技術的お願い[] 投稿日:2006/10/14(土) 21:43:01.47 ID:KuQRxfiH0
大体は解決できる事だが、ペンギーゴの‘乱暴された’と云う過去は重い。ライトは言葉に詰まった。
「気にしない事だ……そう言うしか、無いな……すまん」
結局、いつものような‘慰め’でしか声にならない。

俯くライトに、ペンギーゴが取り成す様に微笑みかける。
「博士……どうも……ね。やっぱり……言ってみる……もんだ……。楽に……なったよ……」
「ペンギーゴ……」
二人の少女は、少しだけ救われたかのように笑った。

「胸の事、考えておくよ。まぁ、期待はするな」
「ふふっ………処女………膜よりかは………楽……で……しょ?」
ライトが作る意地悪な笑みを苦いものにし、ペンギーゴはどうだとばかりに顎を突き出した。
「どっこいどっこいだよ、馬鹿………」

ペンギーゴが肩を叩く。
「でも…こうやって………自分の事………前向きに……見れるように……なるのは…良い事…。だから…感謝……」
「そうか」
最後に少女達は、食堂で小さく笑いあった。

「博士……」
微笑む二人に声がかけられる。
振り向く4つの瞳に入り込んだのは――泥まみれのスパーク・マンドリラーだ。


19 名前:技術的お願い[] 投稿日:2006/10/14(土) 21:44:06.10 ID:KuQRxfiH0
「マンドリラー!?」
ライトはその姿に驚き、ペンギーゴは汚物でも見たかのように舌打ちする。

「お願いが……あるんだ……」
山で遭難でもしたかの様な有り様のレプリロイドは、そんな二人に気にせず口を開いた。
「あ、あぁ……言ってみろ」
ライトは声を詰まらせながら言った。





「私を作り変えてくれ――マンドリラーと認識されないぐらいの規格変更で」
チーン。
どこから取り出したのかペンギーゴが、葬式で使うような鐘を鳴らした。


捕獲癖マック


139 名前:捕獲癖マック[] 投稿日:2006/10/15(日) 01:09:07.17 ID:lCj+7ug/0
捕獲癖マック


「おはようございます、博士」
「どうも」
ハンター組織――本部に存在する施設の一つ食堂に、珍しいコンビがいた。
漆黒のレプリロイド――ハンターに従属するマックと、その上に立つ者であるDr.ケインだ。

優雅にコーヒーをすするケインの前に、礼をしてマックは席に座る。
ケインは冷徹な瞳で、目前のハンターを観察した。
黒でカラーされたボディに、尖った角が生えるメットが印象的だった。
いつもはバイザーで覆われた素顔は、日の目に晒され、成年手前の少女がそこに居た。

「紫にペイントするよう、技術班に進言しようか」
マックを観察していたケインが唐突に口を開き、少女を困惑する。

「――は?」
「いや、気にしないでくれ」
頭の後ろで揺れる、二つの小さい髪の尻尾を見ながらケインは短く言った。
コーヒーを口にする。しばらく二人は沈黙した。

「イレギュラーの事件が多発してますよね」
会話が無いので、マックは最近の事柄を話の種に持ち出した。
彼女の右手には、頼んだコーヒーの入ったカップが握られている。
その横には砂糖の包み紙は大量に置かれていた。
ケインの視線に、マックは照れながら、甘党なんですと答えた。

「そうだな」
自分もコーヒーの追加を頼み、老体はマックの話の種を短く回収する。


143 名前:捕獲癖マック[] 投稿日:2006/10/15(日) 01:10:18.41 ID:lCj+7ug/0
「オレに出来る事があれば、言って下さいね」
見るからに甘ったるそうなコーヒーを飲む。砂糖が足りないのか、もう一つ開けてそれを投入した。

ケインにもコーヒーの替りが届き、何も入れずそのまま口にした。
マックはそれを見て、すごいですねと幾分感嘆を篭めながら呟いた。

穏やかな朝はゆっくりと過ぎる。
「イレギュラーになるメカニロイドの一覧表なんかあれば、解りやすいんですがね」
頬を突きながら、マックは飲み終わったカップをスプーンで弄る。

「そうすれば、何かと仕事が楽な気がしますよ」
漆黒のアーマースーツが無ければ、こうして見ると普通の女学生にも見える光景だ。

「存在する。普通は情報部か上の人間が持ち、下部の者へ伝達する書類だ――これだ」
現場の人間の小さな苦情に、ケインは紺のスーツ胸から青いファイルケースを取り出した。
机に置かれた、書類に口笛を吹くマック。

「差し上げよう」
ケインは片手を広げ、短く言った。
その場で礼をし、マックは書類を広げる。

黒い羽が生え、上空から奇襲する蝙蝠型メカニロイド――裸体のバットボーン。
蝙蝠が持つそれを背中に生やしている以外は、何も身に着けていない。

身体を丸めこちらに体当たりを敢行する――シーアタッカー。
一糸纏わぬ少女が、自身を抱きしめる写真が収められていた。


145 名前:捕獲癖マック[] 投稿日:2006/10/15(日) 01:11:02.44 ID:lCj+7ug/0

ホタル型夜間警備用メカニロイド――ホタリオン。
尻部に巨大な球体のライトが差し込められた全裸の少女が、空を舞っている。

様々なメカニロイドが、このファイルに‘詳細’に収められていた。



「……………………………………素晴らしい」
書類を食い入るように読み終え、マックが天空を見上げながら呟いた。
その様子に、片眉をひそめたケインがコーヒーをすする

「握手を!」
突然、椅子から立ち上がり、黒きレプリロイドは握手を求めてきた。

訳がわからず、強制的に握られる手。マックの掌は、汗でじっとりと濡れていた。
ケインは顔には出さないが、大変気分を害した。

「では、捕獲してきます!!」
そしてマックは大声を出し、疾風の如く食堂から退室した。

「私が頼んだのか?」
虚しく、ケインの呟きは駆ける黒い背には届かなかった。

電子音が胸から発せられる。
ケインは小型の端末を取り出した。そこには[ハンター暴走]と表記。
端末を操作し、映像を出す。


147 名前:捕獲癖マック[] 投稿日:2006/10/15(日) 01:12:19.96 ID:lCj+7ug/0
そこには、
『や、やめてくださーい!!』
『悪いがお前を捕獲する』
羽の生えた裸の少女と、その羽の色と同じカラーのボディを装着したレプリロイドがもみ合っていた。
腕を捻り上げ、片手にはロープを握るマックの狂笑がアップで映る。

『マックよせ!』
『いったい、マックはどうしたんだ!!』
『よし、みんなマックに行こうぜ』
高速道路で暴れる二人と、それを止める他のハンター。
『大人しくオレに捕獲されろ!!』










「イーグリードと同じようなタイプだったか」
軽い頭痛を覚え、ケインは端末を閉じる。
「負けない愛だって――」
昨日放送されていた音楽番組の歌の一つを口ずさみながら、ケインは食堂を後にした。




感染


242 名前:感染[] 投稿日:2006/10/15(日) 06:09:30.20 ID:lCj+7ug/0
感染



「おはよう、カメリーオ君」
「あ、クワンガーの旦那!! 旦那だ!! おは!! よう!! です!!」
ハンター組織――本部に存在する施設の一つ食堂に、そう珍しくないコンビがいた。
カメリーオとクワンガーの二人だ。

「旦那と呼称するのは、おかしい」
元気あるレプリロイドの席に近づく、銀髪の少女。
子供のようにサンドイッチを口いっぱいに頬張るカメリーオの頭を、優しく撫でる。
カメリーオは、その行為に椅子に座ったまま、身体をくねらせ喜びを表した。

「今日は君にプレゼントがあってね」
仕事の内容からこの食堂は朝でも、人は殆ど居なく、とても静かだ。

「プレゼント!? わーい!! わーい、わい!! とっても、嬉しいですね!!」
カメレオンを模したメットを被った少女は、目を輝かせて飛び跳ねた。
振動で机の上に置かれた、オレンジジュースのグラスが揺れる。

カメリーオのサンドイッチを一つ取り、それを食べると、もう一つの腕で胸から紙袋を取り出す。
不思議な事に、クワンガーの服装は黒装束の上下で袋が収まるスペースは無いはずだ。
「不不不……嬉しいかね。受け取りたまえ」
「テンションが上がります!!」
暗殺者である事を再確認させるような技術をみせながら、目前のはしゃぐ少女に手渡す。

243 名前:感染[] 投稿日:2006/10/15(日) 06:10:23.76 ID:lCj+7ug/0
「わーい!! なんだろうなー!!」
カメリーオは紙袋を急いで開ける。開いた口から、頭を入れる少女。

「…………………………………………わーい」
「不不不不……嬉しいかね」
青ざめたカメリーオが、紙袋から内包されていた物を取り出す。
雪のように白い帯。

「な、なんなのかな!? 不思議な物体!! カメリーオには、解らない!! でも、答えなくて良いですよ!!」
「これはね、私に変態というふざけた称号を与えた素晴らしいアイテムなんだ」
帯をカメリーオの手から抜き取り、手馴れた様子でそれの形を変える。

「ふんどし、という。どうぞ」
真っ白な下着が出来上がった。
「…………ごめんなさい、いらないです」
うわぁ、と言いながらカメリーオは断る。

「それは困る。今、この場で着用するのだ」
「ぎゃあ!」
クワンガー屈み、素早くカメリーオの股間に手を伸ばした。
短いスカートが脱がされ、淡い色のショーツがはぎ取られる。
食堂で、恥毛の生え揃わない秘唇が晒される。

「公開的なセクハラだー!!」
足元でまさぐるクワンガーを振りほどこうと、カメリーオは脚を激しく動かし暴れる。
「暴れるな、カメリーオ君」
銀髪の少女は冷静に、新たな下着――ふんどしを穿かせようとする。
露になった股間に、布で出来た帯が宛がわれた。


245 名前:感染[] 投稿日:2006/10/15(日) 06:11:33.06 ID:lCj+7ug/0
「ぎにゃー!! やめて!! お嫁に行けなくなるのは!! 必至!!」
帯が股下に通され、引っ張り上げられる。
「いたいいたい!! 食い込んでるの!! とっても、食い込んでるの!!」
きりきりと秘部に食い込み、カメリーオが悲鳴をあげた。

「不不不不不………変態という名誉――君にも進呈しようじゃないか」
ふんどしが必要以上に締められ、敏感である秘豆までが帯に刺激される。
三つ網を揺らす少女は、痛みと僅かな快感に顔を赤らめながら抗議する。

「い、いらない!! んん……んあっ!? もうやめて、クワンガーの旦那ぁ……んきゅっ!」
ふんどしから粘性のある液体が滲み出る。棘の生えた尻尾が、痙攣する身体と同じく震えていた。
「さぁ、君も私と同類に………不不不不不不不」
笑いながら銀髪の少女は、何度もふんどしを上下させる。ぐちゃぐちゃと音をたてる異様の下着。

「ふぁっ!? やだ!! やだよ!? こんなの変だよぉ…ああぅっ」
淫水で股間をべたべたにしながら、カメリーオが泣きじゃくる。
少女は執拗な愛撫に両足を震わし、床に倒れこみそうになる。

「あぁ………んっ!! 飛んじゃうの!! カメリーオは、どっかに飛んじゃうの!!」
「そうだ! 飛んで、私と同じ領域に跳躍する事を許可する」
カメリーオの切羽詰った声とクワンガーの意味不明な言葉が、食堂に響き渡る。

「やっ……あ、ああああっ!!」
喉を反らしカメリーオは絶頂の声をあげ、床に崩れた。
ふんどしから、その証が何度も噴き出す。少女の愛液は、本来は食事をする場所を汚した。

「おめでとう。君は、高みへの第一歩を踏んだ」
クワンガーが立ち上がり、カメリーオを優しげな目で見下ろした。
「……………うれしく………ないです……クスン」

246 名前:感染[] 投稿日:2006/10/15(日) 06:12:57.19 ID:lCj+7ug/0
「では、私は失礼しよう。明日もそれを穿くんだよ? クワンガーとの約束だ」
そう言い、暗殺者の少女は胸からクワガタ型の携帯を取り出す。
それを掲げ、変身と呟いた。
「…………………ついにイカれた」

「チェンジ、スタッグビートル!!」
クワンガーは目を見開いて叫び、風のようにカメリーオの前から消える。
少女は、神に頭がおかしいとしか思えない忍者の死を願った。

「ゼロ、大人しくこれを穿くんだ!!」
「どっから貰ってきやがった、そんなもの!」
「クワンガーは良い奴だ。こんな素晴らしい衣装があるとは……!」
――クワンガーの死は得られない。むしろ被害は増え続けている。

「ケイン博士。本部がとんでもない事に」
「何も話したくない」
――白い髪が全て後ろに流れた、オールバックの男は鎮痛剤を多用した。

「オクトパルド君、これを穿いた方が海洋生物的に素晴らしいよ」
「まぁ、本当なのですか?」
――何が悪かったのか、彼女達は思い出す事が出来ない。

「マック、何だか『ふんどし』ってヤツが今ホットらしいぜ」
「そんな事より捕獲だ」
――イレギュラーもある。


「アイちゃん………それは……?」
「魅力…………的?」
異常としか言えない感染は、ケインが微笑むまで拡散した。



元ネタはアメリカンジョーク


327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/15(日) 14:40:32.26 ID:XGsDqe0b0
【元ネタはアメリカンジョーク】

「おい、変態。ちょっといいか?」
「不、不、不……殺し合いなら、いつでも許可だよ……」
「フンドシで尻を見せつけながら歩いてるヤツが、普通だってのかよ」

 ゼロは猫耳を後ろへ向け、抗議の意を表す。
 視線の先にはフンドシから伸びる、白くて柔らかそうな太ももがある。

「す、少しグラマーだからって、見せつけやがって……」
「不、不、不……嫉妬は不許可だが、構わん。何の用だい?」

 発言と裏腹に、満更でも無いと微笑むクワンガー。
 ゼロは苦虫を噛み潰した顔で、話題を戻した。

「Xは、どうすれば怒る? お前なら知ってるか?」
「ふむ。そのような質問をする君に興味が湧くんだが、そこを解消してもらえるかな?」
「大したことじゃないんだ。ただ、長い付き合いだけど、あいつは一度も怒らない……
 一体、いつ怒るんだろうって思ってさ」

 しおらしく耳を寝かせるゼロ。そんな彼女にクワンガーは笑って答えた。

「そんなことはない。彼も怒ったことはある。相手はアイ君だ」
「なんだって!?」

 ゼロの顔が、手ひどい驚きに歪む。

「不、不、不。知りたいかい、ネコニャンダンス?」
「ネっ……!? ななな、なんでそれをぉぉおおおぉぉぉ!?」

328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/15(日) 14:41:33.44 ID:XGsDqe0b0
「さて、女顔が怒る話だったか。あれは、いつのことか……」
「待てよ! 見たのか、見てたのか!? コンチクショー!!」

 食い下がるゼロを無視し、クワンガーは回想を始めた。



「……はあ……どうしよう……」

 ペンギーゴはソファに座り、自分の半分ほどもあるクッションに頭を埋めていた。
 原因はケイン博士の一言――Xは中古のボディに興味は無い、と言っていたよ――である。
 わかっていた。もはや自分が薄汚れた、彼のそばに居られない存在であることは。
 あの日。ハンター組織から支給された家が台風で壊れた日。
 泊めてくれると言ったエックスの厚意にすがり……そのまま、居ついてしまっている。

「……本当は……私の家じゃ……ない……のにね……」

 彼を見ていると、たまに不安になる。無垢な心、あの眩しい笑顔に、溶けてしまう気がするのだ。
 それでもいいと思っていた。溶けて自分が無くなっても、ここに居られれば、それでいいと。
 それが『ずっと一緒に居たい』という気持ちへ変わったのは、何時のことだったか――

 真上にあった陽が傾き、部屋が飴色に染まる頃、ペンギーゴはようやく顔をあげた。

「……いけない……Xが……帰る……」

 のろのろ料理をはじめる。が、満足な支度ができるハズも無く、夕食はイワシ御飯のみとなった。

「ただいまー」
「おかえり……なさい……ご飯、出来てる……よ……」

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/15(日) 14:42:10.15 ID:XGsDqe0b0
 すっかり陽も暮れた頃、Xが帰ってきた。
 笑顔で出迎えた彼女を、彼は不思議そうに見つめる。

「アイちゃん……どうかしたの?」
「……え……?」

 精一杯の笑顔の仮面は、あっさり見抜かれ――その途端、彼女の心は限界に達した。

「え!? ちょっと、どうしたの?」
「はな……して……」

 ペンギーゴはその場に突っ伏して、泣いた。声を噛み殺して泣いた。
 細い、折れそうに細い肩を、そっと抱きしめる手。

「……放して……気なんか……使われても……苦しいだけ……だよ……?」
「なに言ってるの? ほら、ハンカチ貸すから。泣かないで」

 ペンギーゴは、いやいやをするように首を振る。
 わかっていた。Xが中古なんて言うわけがない。
 ケインの戯言を真に受けてしまった……愚かな自分が許せなかった。

 彼女が泣き止むまで、ずっとXは背中をさすってやっていた……


「いい加減にしろ! ただのノロケ話だろうが!」

 バンと机を叩き、ゼロが立ち上がった。クワンガーは、それを、さも楽しそうに見やる。

「落ち着きたまえ、ネコニャンダンス。話はこれからだ」
「ネコニャン言うな! 腹黒幼女のノロケは省略して、いつ怒ったかを言え!」


331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/15(日) 14:42:56.43 ID:XGsDqe0b0
 クワンガーは満足そうに目を細め……暢気に告げた。

「その日、アニマル横丁の録画が失敗してて、それで怒ったようだ」
「普通じゃねぇかぁぁああああぁぁぁぁぁ!!」

 ゼロの絶叫はハンター本部の建物と、ケイン博士の脳を揺さぶった。

【完】


二次的給与明細 海洋式


694 名前:二次的給与明細 海洋式[] 投稿日:2006/10/16(月) 18:55:07.11 ID:1aGPJPJU0
二次的給与明細 海洋式




「こんにちはー、なのですよ」
「あぁ、オクトパルドさん。どーも、こんにちは」
ハンター本部の前に立てられた巨大な公園。珍しい二人が会合した。
レプリロイド――オクトパルドとエックスである。

「散歩ですか?」
手ぶらの少女を目に、エックスは尋ねた。

「えぇー、そうなのですよー。お日様がポカポカしてるので」
ベレー帽を被った少女はニッコリと笑みを顔に出し、天を仰いだ。
真っ青な空に、日の光が眩しく照る。そよかぜが、季節柄だが冷たくもなく、心地良い。

「そうですねぇ。今日はいつもより、気持ち良い暖かさですよね。ご一緒しても?」
エックスもそれに習って、空を見上げる。
オクトパルドは嬉しそうに、頷いた。

大きな公園を、二人がゆっくりと歩く。
「散歩、好きなんですか?」
「あははっ。意外なのですかー」
前方を先に歩く少女の軽活な声が、エックスを微苦笑させた。

「いえ、ごめんなさい。でも、ちょっとだけ意外って思っちゃいました」
こちらも笑い、オクトパルドの隣に並んだ。足音だけが、静かな公園に響く。

695 名前:二次的給与明細 海洋式[] 投稿日:2006/10/16(月) 18:56:06.98 ID:1aGPJPJU0
そういえば、とエックスが前置きをし、オクトパルドをキョトンとさせる。
「どうも逮捕されたらしいですけど………大丈夫でした?」
あぁ、と呟く少女。表情は変わらず、いつもの柔和な笑顔だ。

「えぇー、問題ありませんでしたよー。――くそジジィと、くそカメレオンめ」
一瞬だけ険しい顔が現れた。

エックスは薮蛇になるのを恐れ、それ以上は追求しない。
市営のバスを破壊するという心理は、どこから来るのだろうか。そんな疑問を心にしまい、どこか虚空に投げた。

――何か譲れない理由があったのだろう。

「エックスさん、もうお昼は食べましたのですか?」
だいぶ歩き、常に笑顔を絶やさない少女が口を開く。

エックスは首を振る。
「いいえ、まだです。オクトパルドさんも?」
その質問に、オクトパルドは笑顔で応えた。少女が公園の奥を指差す。

「一緒に食べましょうか。この公園って、穴場の屋台が多いらしいのですよ?」
「へー、知りませんでした。面白そうですね」
少女が顎を引き、エックスが感心したように前方に視線を移した。

木々が等間隔で並ぶ道――並木道の奥にその屋台はあるらしい。つがいの小鳥達が空を舞う。

「ここら辺ですね」
少し進んだ所で、オクトパルドが立ち止まり、辺りを首でぐるりと見回す。
真っ赤な屋根を取り付けた車が、いくつか連なって鎮座していた。

696 名前:二次的給与明細 海洋式[] 投稿日:2006/10/16(月) 18:57:35.53 ID:1aGPJPJU0
「おー」
公園を漂う、食欲をそそる匂いにエックスが唸る。
頭に鉢巻を巻いたレプリロイド達が、ここで商いをしていた。
ね、とばかりにオクトパルドが首を傾げてみせた。エックスが微笑む。

「何、食べましょうかねー」
「そうですね。どうしようかなぁ」
二人が、いくつもの屋台を前に悩む。
経営するレプリロイドは、みな寡黙で、公園に妙な静けさがあった。
客はエックスとオクトパルドしか居ない。

「あー!! 姐さん!! 姐さん!! 知り合いが!! 居ますよ!!」
「あーん?」
そこに聞き覚えのある声が降りかかる。
二人が視線を向けると、屋台の一つに立つ、カメリーオとマンドリラーの姿があった。

「電気野郎と、ゴミのカメレオンが………」
二人の姿にオクトパルドが舌打ちした。

「いらっしゃいませ!! 何名様でしょう!! 二名なんでしょう!!」
公園にカメリーオの元気が溢れる声が響く。
「まだ、ここで食べるとは言ってないけどね……」
エックスはその声に苦笑しながら、それでも二人の屋台の椅子に座った。
オクトパルドも再度舌打ちしながら、隣に座る。

「いらっしゃい……」
屋台の奥にいるのは、タンクトップに白い鉢巻をピンクの髪に巻いた女性。
少し、やさぐれた感じをエックスは覚えた。
「マンドリラーのお姉さん……。いったい何をしてるんですか?」
客寄せか助手らしきカメリーオに手を振りながら、疑問をぶつける。

697 名前:二次的給与明細 海洋式[] 投稿日:2006/10/16(月) 18:58:45.29 ID:1aGPJPJU0
「何って、みりゃ解るだろ? 屋台だよ屋台」
「いや、それぐらいは。――じゃなくて、ハンターの仕事とかは? 今日は非番ですか?」

オクトパルドは屋台の机の上に、脚を載せてふんぞり返っていた。とんでもなく品が無い。

エックスの質問に、マンドリラーが顔を歪めた。目には殺意。
少年は少し身を引いた。

「ハンターだあ? なんで私が、あんな苛められて嬲られて、酷い目に合うのが仕事みたいな所にっ」
けっ、と吐き捨てる女のレプリロイドに、いつもの姿は無い。

事情を少なからず知っているオクトパルドが、鼻で笑った。

「だから副業をしてな………。――まぁ、いい注文は」
エックスは頷き、屋台の中を見る。
「ラーメンですか」
「あぁ、私の得意料理だ。唯一の」
腕を掲げ、菜箸を持つマンドリラー。カメリーオがその横で踊る。

「だろうな」
ベレー帽の少女が、小馬鹿にするように短く言った。手で少女の態度をたしなめる、エックス。

「じゃあ、ラーメンで。このスペシャルってやつを」
「同じでいい」
二人が注文し、屋台の二人が頷く。
「了解」
「わーい!!」

「お待ち」
しばらく経ち、湯気の立つスープに浸されたラーメンがエックス達の前に現れる。

698 名前:二次的給与明細 海洋式[] 投稿日:2006/10/16(月) 18:59:47.24 ID:1aGPJPJU0
「わー」
色とりどりの食材が散りばめられたのを見て、少年が目を輝かせた。
マンドリラーは満更でもなさそうに、頬を緩める。
「いただきます」
エックスとオクトパルドが異口同音に、食前の挨拶を言ってラーメンに取り掛かる。
「おいしいですねぇ」
箸を右手に、蓮華を左手にエックスが隣の少女に声をかけた。

「ほんと、美味しいな。マンドリラーさんって凄いんですねぇ」
「よせよ………」
目前の少年の言葉に、マンドリラーは頬を赤らめ、顔を背ける。
「そういや、カメリーオさんは?」
「知らん。後ろで何かやってる。注文は出たのに、何やってんだ」
二人そろって首を傾げた。

「あの―――これ、なんだ? スペシャルって………」
と、唐突にオクトパルドが沈黙を破り、目下に置かれたラーメンを指さした。

「え? あぁ、何のスペシャルかって事か?」
マンドリラーが質問に応える。

「――海鮮のスペシャルだ。様々な魚やら、いろ―――」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
オクトパルドが口から放たれた悲鳴が、言葉を遮る。
エックスとマンドリラーはぎょっとし、すばやく後退った。

「死ねぇええええええええええええ!!」
遅れて爆発と衝撃。
一瞬の閃光の後、屋台が吹き飛ぶ。
マンドリラーが錐揉みしながら空を舞い、エックスも同じく宙を回転する。

699 名前:二次的給与明細 海洋式[] 投稿日:2006/10/16(月) 19:00:41.77 ID:1aGPJPJU0
「あぁ………ああああ……私は……仲間を………そんな……」
煙が引き、爆撃の中心から呆然と佇むオクトパルドが白い帳から現れる。
絶望が顔に広がっていた。

「オクトパルドさん!! カメリーオが作ったのを食べて!! 頑張って!! 作りました!!」
かかる能天気な声。

空気を読む事が苦手な少女が作ったのは、
「タコ焼きラーメン!! 珍妙な愛の味!!」

「ぎゃおおおおおお!?」
「アイちゃん………ごめん」
やっと少女が怒った原因が解ったマンドリラーが叫ぶ。エックスは目を瞑り、死を覚悟した。


――オクトパルドはそんな少女に微笑み、優しくそのラーメンを受け取った。
そして再度、微笑み、
「そぉい!!」
ラーメンをカメリーオの頭に叩き付けた。





「ケイン博士、公園全体が――」
「彼等は、非番も静かにできないのか……」
老体の男は、痛む頭に鎮静剤を多用し、椅子にもたれかかった。

「――だいたい非番に問題が起きてます」



海洋式尋問


914 名前:海洋式尋問[] 投稿日:2006/10/17(火) 14:15:55.14 ID:VyNGFb7Y0
海洋式尋問


「オクトパルドさん……」
「こんな所で、会うとは奇遇なのですね」
真っ暗な部屋――。
四角く切り取られた、硬質な部屋に珍しい二人が顔を合わせる。

「まさか、僕が公園の件を尋問するとは………」
一人は本部の人手不足を嘆く少年――エックス。
「運命とは、いつだって皮肉なものなのですよ?」
もう片方は上品に指を組むベレー帽の少女――ランチャー・オクトパルドだ。

「ええっと、僕が尋問する事になったのですが」
「はい、よろしくお願いしますのですよ」
少年は苦笑し、少女は微笑する。
エックスの方が態度としては、あれだが、先日の事を鑑みれば少女のほうが異常だ。
何も無かったかのように振舞う少女の資料を読みながら、エックスは尋問を開始する。

「えーと、公園を爆撃した――」
「えぇ、『私がおかしくなって、当たり構わず破壊し尽した』と上に報告すれば良いのですよ?」
エックスの言葉を片手でやんわりと遮りながら、少女が言った。
女顔の尋問官は困ったような顔をする。

「いや……あの、事件の詳細を――」
「私の口から言うんデスか?」
狭い尋問室に殺意が漏れた。オクトパルドは微笑こそ崩さないが、目は笑ってはいない。
青い少年が首を激しく縦に振る。
「おかしくなって、当たり構わず破壊す尽くしたで良いです」
「ふふっ、物分りが宜しくて嬉しいのですよー」

915 名前:海洋式尋問[] 投稿日:2006/10/17(火) 14:17:04.80 ID:VyNGFb7Y0
「結構、時間余っちゃいました」
尋問は手早く終了した。
頬をかきながら、エックスが腕時計を見て進言する。

「なら世間話でもー。あ、私に対する質問でも良いのですよ」
「あー、オクトパルドさんに………じゃあ、何でスクール水着を制服にしてるんですか?」
微笑む少女に、少年は日頃の疑問をぶつけた。

「――第6艦隊に聞けよ、女顔」
再び、尋問室に殺意が広範囲に席捲。
「ご、ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!」
直ぐに謝った。

「あ、お腹が空いてるんですよね。そうです、そうに決まってます。今すぐ頼みましょう」
エックスは目を反らしながら、粗末な壁にかかる端末を操作した。

5分もしないうちに、警官のレプリロイドが二つの重箱のような物を持ってくる。
「ここのはカツ丼じゃ、ないんですって」
沈黙するオクトパルドを、上目遣いで見ながら、取り成す笑顔で蓋を取ってやるエックス。

「面白いですよね、ウナ重だなんて――――――あ」






「エックス…………まだかな…………」
「アイシー・ペンギーゴさんですね。実はご主人が――」

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