No.1「迷い人とリンゴ」
俺は、たった一人で生きていた。
親が事故で死んでから親戚に盥回しされて厄介者扱いだ。
学校では気にくわない奴を皆、殴ったりと問題行動ばかり起こした。
周りの人間は俺の事を悪だと思っているんだろうな。
そんな中、子供が車に轢かれそうになった。子供の母親が悲痛な叫びをあげた。
車に轢かれそうになった子供を突き飛ばして助けたのはいいが・・・俺は死ぬだろうな。
なんで、あんな事をしたんだろうか、少しだけ後悔している。
碌でもない人生だったが、この世ともおサラバか・・・。
行き先は地獄だろうな。いや、最後に善行をしたんだから天国に連れてってくれよ。
俺の意識は、途絶えた・・・。
――――――――――――――――――――――――海岸
オレ「・・・あっ?」
眼が覚めると砂浜に倒れていた。
少しだけ、暗い・・・時間的には深夜だな。
オレ「・・・確か、俺は車に轢かれた筈なんだけどなぁ。」
あの時の光景を思い出す。
子供を突き飛ばして助けたのはよかったが、俺は車に轢かれた。
じゃあ、なんで生きているんだ?
オレ「ま、いいか・・・どうせ、俺の事を悲しんでいる奴になんていねぇし。」
周りをキョロキョロと見渡すと古城がある。
となると・・・ここは外国か。
オレ「まぁ、雨風は凌げるし、食い物も魚や果物でも調達すれば問題ないか。」
色々と考えるのは後にして、男は古城の方へ向かう。
――――――――――――――――――――――――食堂
オレ「・・・やっぱ、誰か住んでいるのかな。」
ここに来るまでは、埃っぽい所は何もなかった。
掃除されていると言う事は、誰か住んでいると考えられる。
オレ「食い物はーっと。」
ゴソゴソと厨房にある食い物を漁る。
リンゴを発見、6つほどいただく。
缶詰は合ったけど缶切りを探すのがメンドクサイので諦めた。
水で洗ってから、そのままマルカジリ。
シャクシャクと音が鳴る。
オレ「さーて、これからどうしようか。」
リンゴをムシャムシャ食べながら基地の外へと出た。
≪翌朝≫
男が入った古城は第501部隊のストライクウィッチーズの基地だった。
そして、ウィッチ全員がミーティングルームにて召集された。
宮藤「一体、どうしたんですか?」
リーネ「食堂が荒らされていたんだって・・・。」
ペリーヌ「全く、食堂を荒らすなんて不届き者ですわ!!」
ミーナ、坂本が入ってきた。
ミーナ「おはようございます、皆さん。もう知っているかもしれませんが食堂が荒らされたという報告は聞いてますね。」
エーリカ「それで、盗まれたのは?」
坂本「・・・リンゴが6つほどだ。」
バルクホルン「不審人物を見つけ次第、捕まえるぞ!!」
ウィッチーズ達は早速、犯人捜しを開始した。
――――――――――――――――――――――――基地の森林
オレ「・・・朝か。」
ンーッと背伸びする。太陽の光を浴びる。
オレ「やっぱ、夢じゃなかったのか。」
眼が覚めていたら元の世界に戻っていた、という漫画的な展開を考えた。
いや、元の世界に戻ったとしても俺は死んでいるかもしれないし、
俺が死んで清々している奴らの事を考えると・・・イライラとした。
オレ「くそっ!!」
樹を蹴って八つ当たりして鬱憤を晴らす。
3つ目のリンゴを取り出してムシャムシャと齧る。
フッと見ると誰かこっちに来る。
宮藤「あっ!!リーネちゃん、あれって!!」
リーネ「もしかして・・・不審人物!?」
やっべ・・・見つかったか。
まだ手を付けていないリンゴを取り出して、二人に目掛けて投げる。
二人は慌てて脚を止め、その隙に逃げる。
リーネ「これって・・・リンゴ?」
宮藤「坂本さんに知らせよう!!」
一方のオレは再び、基地の中へと入る。
使われていない部屋があるだろう。
何処かに隠れて、ほとぼりが冷めてからここから離れる。
オレ「さーて、『いたぞー!!』げっ!?」
声の方を見ると今度は茶髪の怖そうな女が来やがった。
リンゴを取り出して投擲するが、女はそれを掴んで投げ返した。
しゃがんで避けるが女は目の前に立っていた。
後ろからも声が聞こえる・・・逃げるのは無理ダナ。
俺は手をあげ、降参のポーズをとる。
――――――――――――――――――――――――執務室
ミーナ「貴方が、食堂を荒らした泥棒さん?」
オレ「腹が減っていて、リンゴを3つ食っただけだ。」
最も二つは追ってきたあんたらに投げたがな、と言い加える。
バルクホルン「貴様は、何処の者だ?」
オレ「俺か?日本という国の出身者だ。知っているだろう?」
坂本「日本?・・・扶桑の事か。」
地図を広げて扶桑に指さす坂本。男はゆっくりと頷く。
それから、互いに情報を交換した。
この世界についてだが・・・、
今は1945年、つまり第二次世界大戦の時代にいるというわけだ。
だが、違うのは人間同士で争っていない点とウィッチ、ストライカー、ネウロイがいるという点だ。
後半はどれもこれも聞いた事がない情報ばかりだ。
オレの世界の事について話たが・・・信じられなく驚いた顔をしていた。
坂本「こことは違う世界から来たものか・・・。」
オレ「ああっ、そうだ。」
坂本「本当なのか?」
オレ「こんな、状況で嘘言うバカはいねぇよ。」
バルクホルン「貴様・・・!!」
男の態度に憤るバルクホルン。
ミーナ「やめなさい、バルクホルン大尉。オレさんも挑発的な態度を取らない様に。」
オレ「へいへい・・・。で、俺の処遇はどうなる?」
ミーナ「・・・貴方をここに置く事にするわ。」
バルクホルン「ミーナ!?」
オレ「モノ好きな女だな。」
ミーナ「貴方を連行して掴んだ時、魔力を感じたのよ。
もしかしたらウィッチとしての才能があるかと思ってね」
さっき話していた、ウィッチとしての適性者の事か。
それがあるとストライカーを履いて空を飛ぶ事が出来るんだっけ?
俺には行くあても無いし、第二の人生を歩むのも良いかも知れんな。
答えは決まった。
オレ「その話、乗ってやるよ、隊長さん。」
最終更新:2011年04月07日 18:24