― 次の日 ―
昨日は半袖でも外を歩くことができるぐらい暖かったのだが、今日は少し肌寒い
俺はいつものように医務室で事務を済ませる
ウィッチたちは午前、午後と訓練に励む
そして、夜。俺とウィッチたちはミーティングルームに集められた
坂本「みんな揃ったところで話がある。今日、これから『肝試し』を行う!!」
宮藤「えぇっ!?き、肝試し!?」
扶桑組はなにやら騒いでいるが、扶桑組以外は何のことやらさっぱりわからない
シャーリー「なぁなぁ、"きもだめし"って何だ?」
坂本「そうか、みんな知らないんだな。宮藤、説明してあげてくれ」
宮藤「わかりました!えーっと…肝試しは怖い場所へ行かせて、その人の恐怖に耐える力を試すことです!」
俺「こ、怖い場所だと!?!?」
俺は大きい声をあげてしまった
宮藤「どうしたんですか!?俺さん」
俺「い、いや…なんでもない…」
シャーリー「ふ~ん…なんでもないねぇ~」ニヤニヤ
シャーリーは俺の弱点を知っている
俺は幽霊などのホラー系が大の苦手。当然、肝試しのような事は耐えることができない
しかし、男たるもの怯えてはいけない
ルッキーニ「ねぇねぇ!その"キモダメシ"ってどこでやるの?」
坂本「場所は、この基地にある地下室で行う!」
ミーナ「一応、安全だから安心してね」
リーネ「よ、芳佳ちゃん…だ、大丈夫だよね?…」
宮藤「大丈夫だよ!私がいるから!」
リーネ「芳佳ちゃん…!!」
ペリーヌ「き、肝試しぐらい…ら、楽勝ですわ…」ガクガク ブルブル
エイラ「そういうツンツン眼鏡が一番怖がってるんじゃないカ?」
ペリーヌ「そ、そんなことありませんわ!!」ブルブル
サーニャ「だ、大丈夫かな…」
エイラ「サ、サーニャは大丈夫ダ!!わ、わ、私が…////」
バルクホルン「ふむ、精神面を向上させるためには、いい訓練になるかもしれない」
エーリカ「そうやってすぐに訓練、訓練……少しは遊ぶことぐらい考えなよ……」
坂本「では、くじ引きでペアを決める!」
坂本少佐はそういうと、箱のようなものを用意し、そこに入っている棒のような物を
ひとりひとり一本ずつ引かせた
ペアは次のようになった
宮藤・サーニャ
リーネ・ペリーヌ
ミーナ・ルッキーニ
坂本・エーリカ
シャーリー・バルクホルン
エイラ・俺
エイラ「なんでサーニャと一緒じゃないんだヨ~!!」
俺「悪かったな!俺で!!」
坂本「ハルトマンか!はっはっはっ、ビシバシ行くぞ!!」
エーリカ「えぇ~!?」
宮藤「サーニャちゃん!がんばろう!」
サーニャ「うん!」
リーネ「ペリーヌさん、震えているけど大丈夫ですか?」
ペリーヌ「ふ、震えてなどいませんわ!!」ブルブル
リーネ「………」
ミーナ「がんばりましょう、ルッキーニさん」
ルッキーニ「うん!お化け見つけたら、追っかけてみよう~!!」
ミーナ「それは駄目よ。勝手な行動はしてはいけないわ」ゴゴゴゴゴ
ルッキーニ「うじゅじゅじゅじゅ……!!!!」ブルブル
バルクホルン「なぜ私が貴様と!!」
シャーリー「私だって!なんで堅物と一緒なんだよ…」
坂本「では、地下室に移動する!」
俺たちは長年開けられていないような扉を通り、真っ暗闇の地下室へとたどり着いた
坂本「ここは暗いから、足元に注意しろ!そして、各ペアにこれを渡す」
坂本は一組一組にランタンを渡した
坂本「明かりが無いよりはマシだ。最初に出撃するペアは……サーニャ・宮藤ペアだ!!」
「二人とも道はわかっているな?」
宮藤「はい!わかってます」
サーニャ「大丈夫です」
ミーナ「では、二人とも気をつけてね。それと、魔法は非常時以外使用禁止よ。いいわね?」
宮藤「はい!行こう!サーニャちゃん!」
サーニャ「うん!」
2人は仲良く、手を繋いで暗闇に消えていった
エイラ「ぐぬぬぬぬぬぬ…!!」
俺「ぐぇぇぇ……く、首を絞めるな……」
10分後、二人は何事も無かったかのように帰ってきた
バルクホルン「ど、どうだった!?二人とも!」
宮藤「暗くて少し怖かったですけど、特に何もありませんでした!」
サーニャ「怖かったな……」
坂本「次は…リーネ・ペリーヌだ!」
リーネ「は、はい!」
ペリーヌ「幽霊なんて存在しませんわ…存在しませんわ…」ガクガク ブルブル
クロステルマン少尉はなにやらぶつぶつと喋っている
二人もサーニャ・宮藤ペアと同様に手を繋いで、暗闇に消えた
リーネ・ペリーヌ組が帰ってくると、ミーナ、ルッキーニ、シャーリー、バルクホルン、坂本、ハルトマンが後に続いた
全員、何事も起きなかったようだ
そして、最後のペア
俺「」ガクガク ブルブル
エイラ「どうした俺、震えてるゾ」
俺「な…なんでもない…」ブルブル
シャーリー「俺~ 男だからこういうの得意だろ?」ニヤニヤ
俺「も、もちろん……得意だ…」ブルブル
シャーリー「よかったな!エイラ! 何かあっても俺が守ってくれるって!!」
エイラ「な、何言ってんだヨ!!///」
俺「ははは…俺に任せろ…」ガクガク
リーネ「俺さん…? 顔が笑っていませんよ?」
俺「そ、そんなことないさ…ない…ははは…」ブルブル
やべぇぇぇぇっ!!
今すぐここから逃げたいんですけど!!
こんなに暗いなんて想像してなかったから!!
シャーリーは俺のことからかってくるし…
みんなは俺がホラー苦手なんて知らないもんな…
ええい!男としてビシッと行くか!
ファイト!俺!!
坂本「では、二人とも行けっ!!」
俺たちは暗闇へと歩いていった
俺「…………」
エイラ「………」
俺「……な、なんか喋れよ!」
エイラ「そういうオマエこそ喋レ!!」
俺「…………」
エイラ「…………」
スオムス娘は気まずそうにしている
怖がっている素振は感じられない
リトヴァク中尉と共に夜間哨戒をしているから、暗闇には慣れているのだろうか?
俺は…恐怖で頭の中が真っ白だ
足も震えっぱなしだし…
暗闇の中で頼りになるのはランタンだけだった
しかし、途中でランタンの明かりが消えた
俺「うおっ!? な、なんで明かりが消えたんだ!?」
エイラ「知らないヨ…それより俺、いつもと違って大人しいゾ。もしかして、怖いのカ?」
俺「そ、そんなはずねぇだろ!!」
といいつつも、内心物凄く怯えてる
ランタンの明かりが消えた次は、どこからともなくドンッという音が聞こえてきた
ドン…… ドン……
俺「お、おおおおい……スオムス娘だろ?…この音は…」
エイラ「し、知らないヨ……」
ドン…… ドン……
俺「き、き、気のせいだよな!! な?」
エイラ「そ、そうダナ!!」
俺たちは周りの音を無視して、歩き続けた
俺「…音も無くなってきたし……そろそろゴールも近いな」
ゴールが近づいてきたことで少し俺は安心した
しかし、ゴール前に難関が待っていた
ズシン… ズシン…
エイラ「お、オイ!? 人が歩く音聞こえないカ!?」
聞こえる…
このズシン、ズシンていう音はなんなんだ?
怖ぇ……
ズシン… ズシン…
音はどんどん大きくなっていく
俺「や、ヤバイ!! 隠れるぞ!スオムス娘!!」
エイラ「え!?お、オイ!!」
俺《…ふぅ…よかったぜ…こんな所に部屋があって……》
エイラ《で、でもナ……》
俺《狭いぐらいがまんしろ!!》
エイラ《そんなこと言われてモ……》
俺たちは急いで近くの小部屋に逃げ込んだのだが、その部屋は非常に狭い
クローゼットぐらいの大きさしかない
エイラ《お、オイ……あまり動くなヨ……》
俺《仕方がねぇだろ……狭いんだから…》
ズシン… ズシン…
依然、足音が近くでしている
俺《くそっ! 早くどこか行ってくれよ……それにしても…ここ暑いな…》
狭い部屋に2人がいることで、室内気温が急上昇する
俺は額に汗を徐々にかき始めていた
エイラ《…暑い……》
俺《…うぅ……》
汗が服に徐々に染みていく
気持ち悪さから、俺は上着を脱ぎたくなった
俺《…なぁ…服脱いでいい?…》
エイラ《ハァ!?//// なに言ってんだヨ!!///》
俺《…あ゛あ゛っ! 我慢できねぇ!!》
エイラ《ま、待テ!!////》
俺はスオムス娘が密着している所で、器用に上着を脱いだ
エイラ《…う……////》
俺《ふぅ…スッキリしたぜ!》
スッキリしたところで足音がしないか耳を澄ましてみたが、足音は聞こえなかった
いったい何だったのだろう…
俺《音もしないし…そろそろ出てみるか…》
エイラ《そうダナ》
俺たちはドアを静かに開けた
すると目の前に…
騎士「………うぅ…」
俺・エイラ「」
煙で形どられた騎士が立っていた
どう見ても……幽霊……
俺・エイラ「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」
俺たちは一目散に逃げた
俺「ス、スオムス娘ぇ!!速く走れっ!!」
エイラ「仕方がないだろ!! 私はこれでも女なんだゾ!!」
俺「あ゛あ゛あ゛っ!!」
俺はあの幽霊から逃げる一心で、足の遅いスオムス娘をお姫様だっこした
エイラ「な、ななななにすんだヨ!!/////」
俺「足の遅いスオムス娘と走ってたら、殺されちまうっ!! うおおおおおっ!!」
エイラ(…俺…意外と頼りになるナ……////)
俺は走った、ゴールを目指して…
ウォォォォォッ!
坂本「おっ、俺の声が聞こえてきたぞ」
ミーナ「でも、なにかから逃げているみたいね」
俺「うぉぉぉぉっ!! はぁはぁ……逃げ切ったぜ……」
俺たちはゴールした
なんとか、あの幽霊から逃げられたぜ…
宮藤「お、俺さん…? なんで裸なんですか?…」
俺「あ 」
エイラ「…は、早くおろせヨ!!/////」
俺「あ、ああ…」
シャーリー「俺~ なんで裸でエイラをお姫様だっこしてたんだ~?」ニヤニヤ
俺「こ、これはだな…深い訳が…」
言えない…
怖くて逃げてきたなんて……言えない!!
エーリカ「俺、汗びっしょりだよ」
俺「お、おう…」
坂本「では、これで肝試しを終了するっ!!」
― その日の夜中 ―
俺「…はぁ……怖くて眠れねぇ…」
俺は未だにあの騎士の幽霊が目の前にちらつき、眠れない
俺「………はぁ……」
そうだ、こういう時は楽しいことを考えよう
例えば……例えば………
ハルトマンに医学を教えているときにしよう!!
俺は幽霊を忘れる為に、ひたすらそのことを考え続けた
俺「……そろそろ…眠くなってきたな…」ウトウト
そんな時、ドアが音をたてて開いた
俺「……誰だ!?」
しかし、返事は無い
俺「……ま…さ…か……あの幽霊…」ガクガク ブルブル
やばい…こんな時に限ってトイレに行きたくなってきた
怖くて行けねぇよ…
俺「………」
恐怖で震えているとき、俺の足元に何かいるのに気づいた
俺「うおっ!? だ、誰だ!?」ブルブル
足元の"何か"が布団の中で動いている
俺「………」ガクガク
もはや恐怖で声も出ない…
俺「…もう…駄目だっ……」
俺は死を覚悟した
しかし、現れたのは騎士の幽霊ではなく、ハルトマンだった
エーリカ「どうしたの?そんなに震えて」
俺「……はぁ……なんだ…ハルトマンか…」
俺はホッと胸をなでおろした
俺「それより何しに来たんだよ…」
エーリカ「俺と一緒に寝ようと思って来た」
俺「………自分の部屋に帰れ…」
エーリカ「えぇーっ!? キスは良くても、一緒に寝るのは駄目なの~?」
俺「…キ、キスはまた別だろ……それにあれは…仕方が無く…」
エーリカ「仕方が無くねぇ……ふぅ~ん……それじゃ、おやすみ…」
俺「お、おい!?勝手に寝るな!!」
エーリカ「すやすや……」
俺「……はぁ……仕方が無い…今夜だけだぞ…」
口では仕方が無くハルトマンを寝かせてあげているように言っているが、
実際来てくれて嬉しい
なぜなら、ハルトマンのおかげで恐怖が和らいだからだ
ハルトマン…Thank you……
続く
最終更新:2011年04月10日 09:22