― 翌日 ―
俺はまだ夜が明けぬ頃、気晴らしに基地の外を散歩していた
"…ハァ………オマエは、ハルトマンに恋をしているんだヨ…"
俺「………知らねぇよ……恋なんて…」
それもそうだ。小さい頃は遊ぶか勉強だけだった
ろくに女とも話さず、生きてきた
俺「……はぁ……俺は…ハルトマンに…」
俺は本当にハルトマンに恋をしてしまっているのだろうか?
そんな疑問を胸に抱きながら歩いていると、基地の隅で目立たない所で、ある木々を見つけた
俺「……これは…なんの木だろ…?」
ピンク色の花をたくさん咲かせており、ときどき吹く風に花びらを散らしていた
以前、扶桑の本で見たことがあるような気がする
確か"桜"というものだったような気がする
俺「……綺麗だ…」
思わず桜の美しさに見惚れる
扶桑人にとって桜は特別なものと聞いている
俺はこの桜の木のことをウィッチたちは知っているのかなと思い、知らせに基地へと戻った
坂本「ほう、桜がこの基地にあったのか!」
俺「ああ、基地の隅っこにひっそりと生えていたよ」
坂本「そうか、そうか! 宮藤、ちょっと来てくれ!」
宮藤「は、はい!何ですか?」
坂本「俺医師が桜を見つけたらしいんだ。 今日は訓練も無いことだし…花見でもしようと思ってな」
宮藤「お花見ですか!? やったぁ~!!」
坂本「それでだ、花見の為の料理を宮藤とリーネで作って欲しい」
宮藤「はい!わかりました!」
宮藤軍曹は手をポンと叩き、嬉しそうにキッチンへと向かった
坂本「俺医師、ほかのみんなにもこの事を伝えといてくれないか?」
俺「了解~」
俺は一人ひとりに声をかけ、桜がある所へと案内した
最後のヴィルケ中佐を誘い、案内し終えたところで坂本少佐が号令をかけた
坂本「みんな集まってくれたな! では、花見とは何か。宮藤、頼む」
宮藤「はい! えーっとですね… お花見は桜などを鑑賞して、季節感を楽しむことです!」
「そして、桜を見ながら、おいしい物を食べるんです!」
宮藤軍曹は多彩に表情を変えながら喋る
坂本「まぁ、今日は昼食を外で食べるということだ」
エーリカ「へぇ~! おもしろそうじゃん!」
バルクホルン「扶桑には本当にいろいろな風習があるな」
ルッキーニ「ねぇねぇ!早く食べようよ!」
宮藤軍曹とリネット曹長は箱のようなものを運んできた
ペリーヌ「あの…宮藤さん、これは……?」
宮藤「あっ、これは重箱と言ってですね、この中にたくさん料理が入ってるんですよ!」
宮藤軍曹は箱の蓋を開けると、色とりどりの食べ物が姿を現す
ペリーヌ「こ、これは綺麗ですわ…」
俺「確かにスゴイな」
坂本「それでは、始めるとするか!!」
― しばらくして… ―
俺「い、いいの!? 俺、飲んじゃうよ!?」
ミーナ「ええ、今日ぐらいは許します」
俺「いやっほぉぉぉぉっ!!」
なんと、今日限定で禁酒が解禁となる
しばらく飲んでいなかった酒だにあって、やや興奮する
俺はグラス一杯にワインを注いで、一気に飲み干した
俺「おぉ……胃にしみる…」
エーリカ「俺、そんなにお酒飲んで大丈夫?」
俺「自慢じゃないが、俺は一度も酔ったことが無い」
エーリカ「そうなんだ~ でも、飲む過ぎには気をつけてよ~」
みんなが美味しい食べ物を食べつつ、談笑している最中に坂本少佐がみんなに呼びかけた
坂本「さて、ここで花見の定番! 王様ゲームをしたいと思う!」
宮藤「お、王様ゲームですか!?」
俺の周りは皆騒いでいるが、俺は何のこっちゃ
俺「待て待て、王様ゲームって何だ?」
シャーリー「俺、知らないのか?」
エイラ「私も最初はわからなかったけどナ… あんな恐ろしいゲームだったとハ…」
俺「みんな知ってるのか?」
ミーナ「俺さんがこの基地に来る前に1度だけ王様ゲームをやったのよ。だから、みんな知っているのよ」
俺「ほう、それでルールは?」
ミーナ「ルールは、かくかくしかじか…」
俺「なるほど…」
ミーナ「でも、私はこのゲームはあまり…」
ヴィルケ中佐は少しダークな表情を浮かべる
坂本「それでは、始めるか!!」
坂本少佐は一人ずつ、くじを引かせていく
俺は……6番か
坂本「では、配り終えたな! それでは…」
「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」
バルクホルン「私だ」
エーリカ「うわっ…トゥルーデが王様…」
バルクホルン「なんだハルトマン、嫌そうな顔をして」
エーリカ「なんでもないよ…」
坂本「では、命令を頼むぞ」
バルクホルン「そうだな……3番がエイラのモノマネをする」
エイラ「わ、私のモノマネ!?」
坂本「それで、3番は…」
シャーリー「3番は私だ…」
ルッキーニ「シャーリー! がんばって~!」
シャーリー「お、おう! それでは…いくぞ!」
「わ、ワタシはサーニャと一緒じゃないとムリダナ(・x・)」
モノマネをシャーリーがした瞬間に、あちこちから笑い声が飛び出す
エーリカ「にゃはははは! エイラにそっくり!」
エイラ「そ、そんな事はないゾ!!///// それに、なんでサーニャなんだヨ!!///////」
シャーリー「えー だってさ、エイラっていつもサーニャ、サーニャ言ってるじゃん」
エイラ「い、言ってなイ!!//// そ、そうだよな、サーニャ…?」
サーニャ「…シャーリーさんのモノマネ…エイラにそっくり」
エイラ「サ~ニャァァァァァッ……」
スオムス娘はがっくしと肩を下ろした
ミーナ「それでは、次の王様を決めるわよ」
俺は再びくじを引く
俺は……2番
ミーナ「それでは…」
「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」
宮藤「わ、私が! 私が王様です!」
ペリーヌ「宮藤さんですの? あまり変な命令はしないで欲しいですわ」
宮藤「へ、変な命令?」
エーリカ「ん~ 例えば胸を揉むとか」
リーネ「よ、芳佳ちゃん……」
宮藤「ハ、ハルトマンさん!そんな命令しませんよ!!」 (くっ………)
バルクホルン「ハルトマン、宮藤に失礼だぞ」
エーリカ「そう? 宮藤って結構、胸のこと好きだと思うんだけど」
バルクホルン「……確かに…」
宮藤「バ、バルクホルンさんまで……」
坂本「それでは、宮藤! 命令を」
宮藤「あ、はい! それでは……2番の人の苦手なものを教えて下さい!」
俺「げっ!?」
エーリカ「おやおや~ その反応だと2番は俺だね」
エイラ「俺の苦手なものカ、気になるナ」
ミーナ「それでは俺さん、お願いね」
俺「…はぁ………俺の苦手なものは、バナナと鯱だよ…」
リーネ「俺さんってバナナ嫌いなんですか?」
俺「ああ… あの食感と味が……」
ルッキーニ「えぇ~!? バナナ甘くておいしいよ?」
俺「……俺に言わせてみたら、バナナは食べ物じゃない…」
サーニャ「あの…俺さんって好き嫌い激しいんですか?」
俺「そんなことは無いな。 ただ、バナナが駄目なだけだよ」
坂本「それと、何で鯱が嫌いなんだ?」
俺「あ、ああああの黒と白のおぞましい模様……目のような白い丸…」
「…冗談じゃないが、鯱と生で対面したら、子供みたいに泣きじゃくるね…」
エーリカ「へぇ~ シャチが嫌いなんだ~ ふぅ~ん…」
「それじゃぁ……がおーっ!!」
俺「は?」
ハルトマンは両目を手で隠し、なにやら叫び声をあげて、俺に襲い掛かってきた
エーリカ「あれ? 俺泣かないの?」
俺「…な、なにが?………もしかして…さっきの鯱のモノマネ?」
エーリカ「うん!そうだよ」
俺「………鯱ってがおーって鳴くのかよ?」
エーリカ「知らないよ~」
俺「はぁ………」
少し呆れていると、シャーリーが俺の脇腹をつんつんと押してきた
俺「な、なんだよ…?」
シャーリー「なぁ俺、苦手なものはバナナと鯱だけかな~?」ニヤニヤ
俺「(ギクッ!!) な、なにが言いたいんだよ……」
バルクホルン「ん?まだ、俺医師の苦手なものがあるのか?」
ルッキーニ「なになに~? 教えて!!」
くそっ! シャーリーめ…
み、みんなに言えるはずねぇだろ…
実は俺、お化けが大嫌いなんだよね~って……
恥ずかしいし…なんか悔しいし…
宮藤「俺さん…?」
俺「あ、ああ……なんでもない…」
シャーリー「早く言わないと……あの夜の事バラしちゃうぞ~」ニヤニヤ
エーリカ「よ、夜の事!?」
坂本「ほほう、私も気になるな!」
サーニャ「私も気になります」
エイラ「俺…やっぱり変態だったんダナ…」
俺「ち、違う!!」
バルクホルン「では、シャーリーと何があったんだ?」
俺「それは……」
これが絶体絶命って状況なのか?
言い逃れは出来なさそうだし…
かと言って、バラすのも…
ミーナ「俺さん、言わなかったら、禁酒・禁煙1年間延長ね♪」
俺「はぁぁぁぁっ!? なんで、これと罰則が関係するんだよ!?」
ミーナ「口が悪いですねぇ~ さらに2年間延長かしら?」
俺「う………」
ペリーヌ「早く喋ったほうが、楽になるのでは?」
ルッキーニ「そうだよ!俺!」
宮藤「な、何だかよくわからないですけど……俺さん!がんばってください!!」
リーネ「俺さん!ファイト!!」
俺「……仕方がねぇな……今日ダケダカンナー」
サーニャ「…エイラそっくり…」
俺「ん?なんか言ったかな?サーニャ中尉?」
サーニャ「いえ、なんでもないです…」
俺「おう…リトヴァク中尉は妖精みたいだ…」
サーニャ「?? 俺さん、何か言いましたか?」
俺「いや、なんでもない」
エイラ「ホレホレ、早く喋れヨ」
俺「ちっ……わかったよ…」
「あの夜はだな……」
俺はあの夜の出来事をみんなに喋った
そして、俺の苦手なものは幽霊と鯱とバナナということを
今なら言える
穴があったら入りたい…
エイラ「へぇ~ お化けが怖いお子様だったのカ~」ニヤニヤ
俺「う、うるせぇ!! 怖いものは怖いんだよ!!」
坂本「はっはっはっはっ! 男なのにだらしないぞ!俺医師!!」
俺「…そ、それを言うなよ……」
エーリカ「よしよ~し、怖くない怖くない~」
ハルトマンは俺の頭を子供をあやすように撫でる
俺「な、ななななにすんだよ!!///////」
エーリカ「ん? 頭ナデナデしただけだよ?」
俺「そうじゃなくて!!//// なんで、俺の頭を撫でるんだよ!?////」
エーリカ「俺がお化けを怖がらないようにした!」
恥ずかしさのあまり、つい大きい声を出してしまった
これじゃぁ……まるで俺が子供じゃないか…
ミーナ「それでは、次いきましょう!」
坂本「その前に、みんなこれを飲んでくれ!!」
坂本少佐は一人一人にある飲み物を渡す
ルッキーニ「なにこれ?」
宮藤「肝油かな?」
バルクホルン「か、肝油だと!?」
坂本「違う違う、まぁ飲んでみてくれ!」
坂本少佐の飲めという強気の言葉に圧倒され、みんなは液体を飲み始める
これが大惨事の始まりであった……
宮藤「つぎろおうらまだれでるか~?」ポワワーン
シャーリー「わ、わらしらよ~!」ベロンベロン
坂本少佐がみんなに飲ませたのは、扶桑独特の製法で作られた扶桑酒だった
バルクホルン「りべりあんか~はらくしろ~!」
もはや何を言っているか解読できないほど、みんなは酔っている
酒に強そうな人も扶桑酒にはかなわないようだ
俺は日頃から酒を飲んでいるので、何ともないが…
シャーリー「じゃぁら~ 9ばんのひとが~ 7ばんのおでこにkiss!!」ポワワーン
ルッキーニ「きゅうばんられ~?」
エーリカ「わたし~!!」
エイラ「なならんはだれだ~?」
俺「……俺…だ……」
エーリカ「にゃはははは!いっくよ~!」
少しのお酒では酔わないハルトマンも扶桑酒のおかげでパワーアップ
俺「待て待て!!」
エーリカ「ん~ それっ!!」
チュッ
俺「くっ……////」
ルッキーニ「おれ~ かおまっかっか~」ベベベベローン
宮藤「ほ、ほんろだ~!!」
この後も、スオムス娘とリトヴァク中尉が抱き合ったり…
宮藤軍曹がシャーリーの肩を揉んだりと色々な事が起きた
なるほど…今、王様ゲームの恐ろしさがわかったよ
隊長が嫌がるのもわかる気がする
最終更新:2011年05月03日 22:03