第3話「ジェットフライヤー・ロマンス」 前編

前回までのあらすじ!
ペロペロ大好き変態教授・私。荷物の整理をする中で、シャーリー達は彼女の
趣味・AI(人工知能)製作と、彼女の母親について知ることとなるのだった!
シャーリー「…私も会ってみたいな。なあ、今お母さんはどこにいるんだ?」
私「……今はもう、空の上よ」


――ロマーニャ南部、カールスラント輸送トラック内――

?「……501基地まで、あとどれぐらいだ?」

兵士「……え、あ、ああ、はい。あと3時間ほどです。もうすぐですね……」オドオド

?「そうか。ありがとう」

兵士「は、はい……」(…改めて思うが……信じられん…こんな事が……)

?「…あ、そうだ」

兵士「!? は、はい! 何でしょうか!?」ビクッ!

?「…君、家族はいるのか?」

兵士「…? え、ええ。妻と…5歳になる娘がおりますが……」

?「そうか…君も"お父さん"か。いや、なに、私も父親でね。娘が501で働いてるんだ」

兵士「!!? む、娘さん、がですか……? し、失礼ですが…ひ、人の?」

父「……ああ。もちろんだ。れっきとした人間だよ……」

兵士「は、はぁ……そうですか……」(シェリー…パパもう限界だ…世の中ってホント不思議だよ…)

父(私の奴…501の皆さんに迷惑を掛けてなきゃいいんだが……)



――数時間後、501基地、ハンガー――

バルルルルルル…

シャーリー「よしよし、今日も絶好調だなぁ、私のマーリンエンジンは!」

シャーリー「私の付けてくれたツマミも、すっごくいい調子だし」

シャーリー「……あ、そうだ、一日一回は捻って検査した方がいいんだっけ……よっと」カチッ

≪アクセル!≫

シャーリー「……あれ? 何だ今の……」カチッ

≪ジョォーカァァー!≫

シャーリー「…………」カチッ

≪サイクロン!≫

シャーリー「……………………」

シャーリー「……私のやろおおおおおおお!」ダッ!


私「…まあ、というわけで、大事なのは穴が前後にあるということ! ここを間違えるとすげー悲惨よ」

整備兵2「教授! それでは同性同士の場合は……?」

私「後ろを使う事になるわね。けっこう歴史は古いのよ。
扶桑ではブシドーの一環として『シュードー』というのがあったし、ヨーロッパでも……」

シャーリー「私いいいいいいいいい!!!」バダーン!

整備兵1「う、うわっ! イェーガー大尉!?」(な、何で下着!? ご馳走さまです!)

私「……服くらい来たらー? 正直、アンタの裸にはこれっぽっちも……」

シャーリー「私のP-51Dにまた何か変なの付けやがったなぁぁぁぁ!?」

私「ああ、システム変換に伴う発声装置。分かりやすくて便利でしょ? ついでにちょっと新機能も……
あ、『サイクロン』の時はテクニカルモード、『アクセル』の時はスピードモード、『ジョーカー』ならバランスモードね」

シャーリー「ああ、言われてみれば……ってそうじゃない! なんであんなおじさんの声なんだよ!」

私「ローマ市内にいた冴えないおじさんに収録させてもらったわ。声はカッコいいのに、仕事が無いんですって。不憫ねー」

シャーリー「……どうせなら一言言ってくれよ」

私「ごめんごめん。音声デバイスの試作品に丁度良くって」

シャーリー「はぁ…… ところで……何してるんだ? 黒板なんか持ちだして」

私「『ぺロちゃん教授の楽しい人体の仕組み・理論編』」

シャーリー「…………」ハァ…

私「明日の『女の子の仕組み特別編』はぜひルッキーニちゃんやサーニャちゃんに教えてあげ……」

シャーリー「や、やめろ!」



――基地裏側通路――

ブロロロロ…

父「ああ、ここでいい。ここで下ろしてくれ」

兵士「え? ここでいいんですか?」

父「折角だし基地の中をちょっと散歩してみたいんだ。基地の人にはよろしく言っておくから安心しろ」

兵士「は、はあ……それじゃ、どうぞ……」

ダッ!

兵士「わっ! は、走って行っちゃったよ……早いな」



――ハンガー――

私「へーえ……おっ…うーん……」カチャカチャ

シャーリー「ど、どうかな?」

私「まあまあ形にはなってきたんじゃない? 魔導線の配線も大体いい感じね」

シャーリー「ホントか!? やったぁぁ!」

私「ああ、でも、この辺りにアソビが足りないわね。それから……」

ゲルト「……シャーロット・イェーガー大尉! そんな恰好で何をやっている!」

シャーリー「ああ、バルクホルンか。今私にストライカーの整備を評価してもらってるんだ」

私「おはよう、バルクホルン大尉。どう? あの本は」(おお…今日も凛々しいフトモモ……)

ゲルト「……素晴らしい、この一言に尽きる。世界中に妹が増えた気分だ…。
血の繋がらない妹、離れて暮らす妹、病弱な妹……妹の世界とはこれほどまでに深かったのだと、あらためて痛感したよ」ツヤツヤ

私「そう、それは良かったわ。気が向いたらいつでも、また部屋に来てね」

ゲルト「! な、か、勘違いするなよ! 私はまだ、お前を認めたわけではないからな!」

私「はいはい。…ま、気長に待ってるわ」

シャーリー(…流石に、本一冊では手懐けられなかったか……)

ゲルト「それで……えーと…何の話だったか……」

シャーリー「……私の格好の話じゃなかったか? …あっ」

ゲルト「ああ、そうだった! 何だその格好は! 今は戦闘待機中だぞ! ネウロイが来たらどうする――」クドクド

シャーリー(…あっちゃー、言わなきゃよかった)


――ウィッチ宿舎付近――

父(ふーむ……あれがウィッチの生活する所だな)

父(私のやつは……ウィッチでは無いからな、あそこにはいないはずだ)

父(……やはり、ハンガーや滑走路を探すのが先決だな。おそらくそこに……)

父(…………それにしても……広い……広すぎる…)

父(……くそっ、迷った……ついテンション上がって『ここでいい』なんて言ったばっかりに……)



宮藤「よしっ、と…じゃあリーネちゃん、そろそろ朝ごはんの支度しよっか!」

リーネ「うん! ……あれ?」

宮藤「? どうしたの、リーネちゃん?」

リーネ「…! あ! 芳佳ちゃん! 見て見て! ほら!」

テッコテッコテッコ…

宮藤「…! わ、い、犬だ! かわいいな……」

リーネ「ほんと…白くってピシッとしてて……でも、どこの犬だろ?」

宮藤「うーん、扶桑の柴犬みたいだけど……」

父「あ、済まないお嬢さん方。滑走路へはどっちへ行けばいいんだ?」


宮藤「」
リーネ「」


父「……ん?」








宮藤&リーネ「…い、犬がしゃべったぁぁぁぁぁぁ!!?」



――ハンガー――

坂本「ほう…これがカールスラントの最新型か」

ミーナ「正確には試作機ね。Me262V1……ジェットストライカーよ」

エーリカ「じぇっとぉ……?」

ミーナ「あら、ハルトマン中尉」

坂本「どうしたんだ、その格好?」

ゲルト「こ、こらハルトマン! お前も服を着んか!」

私「いや……その必要は無い! 依然! 問題は無い!」ジィィーッ!
(あああ! 今日も天使ねエーリカちゃん! ズボンから…ズボンからお尻が今にも…あああ顔埋めてペロペロしたい)

ミーナ「トゥルーデ…私教授まで?」

私「おはようございます、ミーナ中佐、坂本少佐。お2人とも、今日もまた一段とペロペ――
あ、いえお美しい……」

ミーナ「は、はぁ……」

坂本「あ、そうだ私。『機巧曲馬団』の7巻を読んだぞ」

私「あ、どうでした?」

坂本「まさかあいつが生きているとは……それから、舞台がいきなりガリアへ移ったのは驚いた」

私「これからさらに面白くなっていきますよ。だからぜひ……」

坂本「はっはっは! 分かっている! 借りに来いと言うのだろう? 勿論だ! 続きも気になるしな」

私「いつもありがとうございます。ところで、朝の一発と言っては何ですけど、ちょっとばかし脚をぺロ――」

ミーナ「私教授?」ゴゴゴッ

私「! は、はい! 何でしょう?」(…何だろ、気のせいか中佐から威圧感が……)

ミーナ「もう、私教授ったら……すっかり少佐と仲良くなったのね」ゴゴゴゴゴ

私「え? ええ、まあ……」(な、何だ……何だこの空気……?)

私(や、ヤバい! 何かヤバい! 話を、話を変えないと……!)

ゲルト「そう言えばミーナ、さっきから気になっていたんだが、これは何なんだ?」

私(!! あ、ありがとうバルクホルン! あんた女神よ……あんた本物の救世主<メシア>よ……!)

ミーナ「ジェットストライカーよ。ノイエ・カールスラントから船でロマーニャまで…そこからはトラックで届けられたようね」

私「トラック? 中佐、他に届け物は何かありませんでしたか?」

ミーナ「他? ええと、あそこにある50mmカノン砲と30mm機関砲4門ね」

私「あれ……? おかしいな、今日一緒に来るって言ってたのに……」

ゲルト「? 誰が来るんだ?」

シャーリー「私のお父さんなんだってさ」

ドタドタドタドタ…

坂本「ほう! 私の父上か。どんな方―― ん?」

宮藤「さっ…さっ! さっ! さかもとさぁぁぁぁん!!」ダッダッダッ!

ゲルト「ど、どうした宮藤! 何があったんだ! まさか…私に何かされたのか!?」

私「ずっとここにいたでしょうが!」

リーネ「い、い、い…犬が! 犬がしゃべ……!!」ガクガクブルブル

私「犬? …………! ま、まさか!」

テッコテッコテッコ…

父「……ここにいたか、私…さ、捜したぞ……」

私「!! お……お……

……お父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

ギュウウウウウッ!

父「こ、こら! 人前で抱きつくんじゃない!」






一同「…………えええええええええええええ!!!??!?」


ゲルト「い……犬…なのか……? 喋って…犬が……」

ミーナ「ま……まさか……」

エーリカ「へえー! どうなってるの?」

リーネ「さ、さあ……わ、私には何も……」

シャーリー「わ、私……その人…あれ? その犬は…いや、えーと……」

私「ああ、紹介するわね。私のお父さん」

父「私の父です。娘がいつもお世話になっております」ペコッ

ミーナ「あ、いえこちらこそ……どうもご丁寧に……」ペコッ
(渋い声ね……)

宮藤「わ、私さんのお父さんが…い、犬で……あれ? じゃあ私さんも犬? あ、あれ……? じゃあ耳と尻尾は…」

リーネ「落ち着いて芳佳ちゃん!」

ゲルト「…か、変わった奴だと前々から思っていたが…ここまでとは……
……!? じゃ、じゃあ、お前の母はこの犬と…!?」

父「誰が犬だ」

ゲルト「あ、すみません…えっ?」

坂本「……まさか……」パッ!

ギュイイイイイイン…

父「む、魔眼か?」

坂本「! やはり…機械! 私! まさかこの"父上"は……!」

私「…ええ。その通り。…正真正銘のロボットよ、お父さんは」

宮藤「!! ろ、ろぼっと、って…この前の、あの!?」

リーネ「す、すごい……普通の犬とぜんぜん見分けがつきませんよ!」

私「でしょ? 喋る以外は普通の犬よ」

父「『外見以外は人間』と言え!」

ミーナ「美緒からロボットの話を聞いた時は半信半疑だったけれど…目の前に実物がある以上、信じないわけにはいかないわね……。
でも、なぜここへ?」

父「……書類上はこいつの所有物になっていますから。私が最後の届け物、というわけです」

ミーナ「は、はぁ、なるほど…」(毛並み…挙動…そして声…とても人工のものとは思えないわ……何より自分で考えるなんて……)

坂本「…しかし、まるで本当に生きているようだ…。凄いな、ここまでの物を作れるとは……」

私「…いえ、私にはお父さんほど優れたAIを生み出す技術はありません。
私の生まれる少し前に…お母さんが奇跡的な技術で作成に成功したと……」

シャーリー「へーえ! さしもの私にも作れないものなんてあったのか」

私「…なによその顔」

シャーリー「いや、なーんでも?」

私「……私だってね、いつか……」


エーリカ「うっわー! すごい、モフモフだよ! ほんとの犬みたい」ナデナデ

父「こ、こら! いきなり撫でるんじゃない!」

エーリカ「じゃ、きちんと頼んだらいいの?」

父「う…そ、それは……」

ルッキーニ「わ! な、なに!? そのワンちゃん!」ダッ!

シャーリー「お、起きたかルッキーニ」

エーリカ「ルッキーニ、すごいよこのワンちゃん。お話ししてくれるんだー」

父「な! お、おい!」

ルッキーニ「!! しゃ、しゃべったぁ――!! ねぇねぇシャーリー! 聞いた!? すごいよこのワンちゃん!
ねーねー、もっとお話しして!」キラキラ

父「う…! そ、そんな目で見るな…」タジッ

私「……お母さんから聞いたんだけど、『扶桑の情に厚い下町親父』がAIのモデルなんだって」

シャーリー「……な、何で?」

私「さぁ?」


父「そ、そうだ私! 積み荷はどうだ? きちんと届いてるか!?」

エーリカ「わ、あったかい! すごいなー、どうなってるんだろ?」ナデナデ

ルッキーニ「ふふ~ん、もふもーふ!」モフッ

父「うごおっ! は、腹は……腹は……」ガクガク

私「ああ、このストライカーでしょ? きちんと届いてるわよ」パリッ コロコロ

シャーリー「ん? アメか、それ?」

私「あげないわよー、すっごくマズいから」レロレロ

シャーリー「……じゃあ何で食べてるんだよ」

私「……私は味覚が普通じゃないのよ」

シャーリー「…そんなの信じると思うか! このポケットだろ? それっ!」パッ!

私「あっ! こ、こら!」

シャーリー「いーじゃないか、丁度腹が減ってたんだ」パクッ

シャーリー「…………!!? うげえっ!!」ペッ!

私「……だから言ったでしょ? マズイって……」

シャーリー「げほっ! げほっ! な、何だよこれ…苦いやら生臭いやら……人の食べ物なのか!?」

私「……正確にはアメじゃないわ。…薬よ。痛み止めの」

シャーリー「……えっ?」

私「……ま、その辺りについては、聞かないでくれると嬉しいわね……」

父「…………私」

私「? 何、お父さん?」

父「……無理はするんじゃないぞ」

私「…やーね、分かってるわよ」

ルッキーニ「あ! 私アメ食べてる! いいなー、私にもちょうだい!」

シャーリー「…ルッキーニ、あれはアメじゃないんだってさ」

ルッキーニ「えーっ!? だってぇ……」

私「……ごめんなさい。いつかあげるから。ちょっと待っててね」

ルッキーニ「ちぇー。約束だよ? 忘れないでね?」

私「…大丈夫、忘れないわよ」


私「……で、これだっけ? 最新型のジェットストライカーは」

ミーナ「ええ。試作機よ。最高時速は950kmとあるわ」

シャーリー「950ぅ!? すごいじゃないか! へーえ……
なあなあ、これ私に履かせてくれよ!」

ゲルト「いいや! 私が履くべき――ん?」

私「……あっちゃー、これは……」カチャカチャ

ゲルト「!? わ、私!? なにをしているんだ!」

私「え? 機能チェックよ機能チェック」

シャーリー「お、おい…壊れたらどうするんだ?」

私「大丈夫大丈夫……それに、これ最初から壊れてるようなもんよ……うわー、誰よこれ作ったの…ガタガタじゃない。
こんなのよく実戦投入する気になったわねー。どこが『カールスラント製品は質実剛健』よ」カチャカチャ

ゲルト「……!! わ、私! 聞き捨てならんぞ! 取り消せ!」

私「えー? 事実よ事実。例えばほら、ここの魔導回路の出力なんかとっくに……」

ゲルト「ふざけるなっ! 我がカールスラントの技術は世界一だ! …どけっ!」ダッ

ピョンッ! …キュイイイイイイイイイン…!
ゴォォォォォォォォ…!!

私「……あーあ、乗っちゃった……」

ゲルト「……凄い……! 凄いぞ、これは!
どうだ私! 何の問題もないではないか!」

私「シャーリー、やめといた方がいいと思うわよ。あんなのに頼るぐらいなら、まだレシプロのが……」

ゲルト「なっ!?」

シャーリー「う~ん…そうだな、確かに、まだレシプロでやり残したこともあるし……
……ま、私が言うならな。ちょっと気になるし、私はパスするよ」

ゲルト「! ふ、ふふ…怖気づいたな、リベリアン!」

シャーリー「! な、何だと!?」

ゲルト「そんな奴の言う事を信じるとは…大方、自分以上の技術力を妬んでデッチ上げたに決まっている!」

シャーリー「…! 取り消せ、バルクホルン!」

私「……ま、そう思うなら構わないけど?」

シャーリー「え? い、いいのか?」

私「……そのうち嫌でも実感するでしょうよ、あれが欠陥品のポンコツだって」

ゲルト「!! ……言ったな…言ったな、私!
いいだろう! このジェットストライカーの素晴らしさを、その目に見せつけてやる!
リベリアン……勝負だっ!!」

シャーリー「…へっ?」



――数時間後、滑走路――

ペリーヌ「……で、この状況ってわけですわね」

私「どっちも負けず嫌いだからねー……あ、ペリーヌちゃん、ところでぺ――」

ペリーヌ「ペロペロはさせませんわよ!」

私「……ペリーヌちゃんはどっちが勝つと思う? って言おうとしただけなのに……」

父「…私…見境なくペロペロするのは止めておけとあれほど……」

私「いーじゃない、お父さん。私の存在意義、リーゾンディティールなんだから」

ペリーヌ「…貴女って人は本当、変な所で学がありますわね」

私「ロマーニャ語はもちろん、扶桑語ガリア語カールスラント語、オラーシャ語もスオムス語も話せるわよ」

ペリーヌ「…女性を口説く為、とかでしょう? どうせ……」

私「あ、分かる?」

ペリーヌ「……まったく……」ハァ

父「すまないお嬢さん…こいつは昔からこんな調子でな……」ハァ…

ペリーヌ「いえ、お気になさらず……」(しかし、驚きましたわ…あのロボットとかいうのが実在したとは……それにしても…)ジーッ

父「……ん? どうかしたか?」

ペリーヌ「い、いえ!」(…結構可愛いですわ…声は渋いですけれど……)


ペリーヌ「……で、今は搭載量勝負でしたっけ?」

リーネ「はい……あ、バルクホルンさんの勝ちみたいです」

宮藤「すごいなー…あんなに重いのを持って飛べるなんて……搭載量か」チラッ

リーネ「…!? よ、芳佳ちゃん? なんで私を…?」

私「おっきいのもちっちゃいのも大好物です」ジーッ

ペリーヌ「な、何の話ですの!?」

父「お、戻ってきたぞ」



――ハンガー――

宮藤「夕食はジャガイモですよ!」

シャーリー「ふーん…私は料理のことはよく分かんないけど……宮藤の作るものは何でも美味いなあ」モグモグ

父「おお、肉じゃがか」

宮藤「あ、お父さんの分もありますよ。はい、どうぞ!」カタッ

父「ああ、すまない。俺は食べられないんだ。消化器官を搭載してもらっていないからな」

宮藤「あ、そうなんですか…すみません。私さんはどうしますか?」

私「私はまだお腹空いてないし…あとで自分で食べておくわね」

シャーリー「たまにはみんなと一緒に食べたらいいのに……」

私「……ごめんなさいね」

父「…しかし、いいのか、私? あんな大口叩いておいて……上昇も搭載量も、レシプロはジェットに敵わなかったじゃないか」

私「…お父さん、あのジェットストライカー、お父さんの見立てではどう?」

父「……危ないな。このままでは……」


ゲルト「…………」ゲッソリ

宮藤「あの……バルクホルンさんもお疲れじゃないですか?」

ゲルト「……ん? ああ、宮藤……そこに…置いておいてくれ。今は……少し休みたいんだ」

宮藤「…………」



――夜、海の見える崖――

パチッ…パチッ…

シャーリー「……だぁーっ……ドラム缶が風呂になるなんて、大発見だなぁ……」チャプ…

宮藤「坂本さんがリバウにいたころは、よく使ったそうですよ」チャプッ

私「……」ゴクッ

ルッキーニ「……うりゃーっ!」バシャーン!

宮藤「わっ、わっ! る、ルッキーニちゃああん! 定員オーバーだよ!」バシャバシャ

私(グウッド…ベリィィグウッド! もっと! もっと情熱的に! ほら! 絡んで! もっと!)

シャーリー「……私ぃ? バレバレだぞ?」

私「そりゃー隠れようなんて思ってないもの」シレッ

宮藤「あ、あれ? 私さん? どうしたんですか?」

私「うーん…今日も綺麗な肌ねー…芳佳ちゃん」

宮藤「なっ! も、もう! 私さんったら!」カァァッ

ルッキーニ「? あ、私も入りたい?」

私「い、いや、私はいいわよ。どうも風呂は苦手で……」

シャーリー「そうか? 気持ちいいのに……疲れがどんどん取れていくぞ」

宮藤「バルクホルンさんも、入ればいいのに……疲れてるみたいでしたし」

シャーリー「ほっときゃいいって……」

ルッキーニ「ね、ね! 私! あのジェットストライカーって危ないの?」

私(おお……可愛いさくらんぼが2つちょこんと…! ……グレート!)
「どーかしらね…私がいじったら結構マシにできるんだけど……触らせてくれそうにないわね、あの愛国者さんは」 

シャーリー「…ジェットストライカー、か…進んだんだなぁ、技術も……」

私「……技術の進歩に、人の意志は介在しない。テクノロジーってのは、いっつも一人歩きで進んでいくものよ。
そして気を抜けば……いつの間にか人は、技術に振り回されるようになる。そうなったらお終いよ。人も、科学も……」

シャーリー「…………」

ルッキーニ「ねぇねぇ私! 私って何でも作れるんだよね!」

私「え? ええ、まあ、だいたいは、ね」

ルッキーニ「じゃあさ、いつか私とシャーリーの分のストライカーも作ってよ! 
あのジェットよりももーっと速くて、もーっとつよいやつ!」

シャーリー「お? 私のも頼んでくれるのか?」

ルッキーニ「うん! だってシャーリーといっしょに飛びたいもん!」  

私「……ふふ、結構かかるかもしれないわよ?」

ルッキーニ「ほんと!? やったぁ! 約束だよ、約束!」

宮藤「わぁ、すっごーい! よかったね、ルッキーニちゃん!」

ルッキーニ「うん!」

私「……気のせいかしら、今日はずいぶん約束をしてる気がするわ」



――翌日、海岸――

ペリーヌ「……で、今日もですの?」

リーネ「今日はスピード勝負なんですって」

私「…………」(…まずいわね。そろそろ)

宮藤「あ、スタートだ。お2人ともー! がんばってくださいねー!」

リーネ「……? バルクホルンさん、スタートしませんね。どうしたのかな…… !!」

ビュオオオオオオオオオオオッ!!!!

父「うおっ!?」

ペリーヌ「きゃっ! な、何ですの!?」

私(!! か、風で裾がめくれて……! 見えた!! おお…ブラバー!)

宮藤「……! み、見てください、私さん!」

私「何!? いま別の物見るので忙しい――ん?」

ヒュウウウウウウウウ……

リーネ「ば、バルクホルンさんが……お、落ちちゃう!」

私「!! くそっ! やっぱり……! お父さん! 中佐を呼んできて!」 

父「あ、ああ!」

宮藤「た、助けなきゃ……! 私さん! ストライカーをお願いします!」

私「オッケー! ついて来て!」

宮藤「はい!」




私(……ったく! だからあれほど言ったってのに……!)

私(…無事でいなさいよ、バルクホルン……!)



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最終更新:2011年07月29日 00:54
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