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激戦地 スオムス

本日、人類の存亡を賭けた大作戦が行われる

ここ最前線の男達は、部隊に何刷か配布される新聞で作戦を見守った

「…成功するといいな…」

「ばかやろう…成功させなくちゃいけねぇんだよ…」

俺「……ふぅ…」

今日から長くて、過酷な日々が続いていくだろう

ここにいる男達やウィッチ、全世界の人々は、ただ勝利を目指して、戦っていく…




大規模作戦が実施されて3日後、早くも朗報が飛び込んできた

「お、おい!! ヴェネチア公国が…ネウロイから解放されたみたいだぞ!!」

「おおおっ! やったぞ!!」

「意外とこの戦い、早く終わるかもな!!」

新聞一面には、ヴェネチアを開放した501と504で持ちきりだった

作戦の第一段階が成功し、陣地は喚起に沸いた

一面の中で、エーリカが写っている写真を見つけた

相変わらず、いい笑顔だった

俺「……ふっ…」

思わず笑みがこぼれた

新兵「……あれ? もしかして今…ハルトマン中尉見て、笑いました…?」

俺「ぎくっ!? え、ええっと………ははは…」

新兵「ま、いいんですけど……」

エーリカとの関係がバレれてから、周りの男達の反応が変わった

その…睨まれているというか……

まぁ、良くは接してくれるんだが…

塹壕を出て、煙草を吸おうとした時、いきなり爆撃音が辺りに響いた

ドゴォォォン!!

俺「うわっ!? な、なんだ!?」

音がして間もなく、大音量で警報が鳴り始めた

ウゥゥー ウゥゥー

「敵襲!!敵襲!! 」

俺「や、やばいな…」

「敵は、ステルス型ネウロイ! 発見次第、攻撃せよ!!」

「ち、ちくしょう……どこだ…?」

発見に手間取っている間に、次の攻撃が襲ってきた

しかも、俺の近くの塹壕へ直撃した

「ぐわぁぁぁっ!」

俺「お、おい!? 大丈夫か!?」

攻撃を喰らってしまった兵士の元へ、俺は駆け寄り、治療を始めた

「み、見えたぞ!! あそこだ!!」

一人の兵士がネウロイを発見し、それに続いて陣地にいる火砲・銃口が火を噴いた

発見には手間取ったが、見つけてからは意外と簡単にネウロイを撃破することができた

「よっしゃぁぁぁ!」

「手の空いてるものは、負傷兵を確認して、司令部へ搬送しろ!!」

俺「…よし…少し動かすぞ…」

俺は負傷した兵を担ぎ、司令部へと搬送した

搬送し終えた俺は、他の負傷兵の治療にもあたった

今回の攻撃は塹壕に何本ものビームが直撃したにもかかわらず、幸いな事に死者が一人も出なかった

後に聞いたのだが、今回のような攻撃は3日に一度はあるらしい

ここにいる男達にとって襲撃など、日常茶飯事

これからもステルス型ネウロイの襲撃は続いていく…


ヴェネチア解放から1週間後、長期化が予想される帝政カールスラント奪還作戦が敢行された

それと同時に、オラーシャ奪還作戦も敢行された

今回の作戦の肝である、この2つの作戦の行方を、俺は塹壕で読む新聞を通して見守った


奪還作戦を開始してから、2ヵ月後

新聞が伝えてきたのは、各航空団の一時撤退という事ばかりだった

やはり、苦戦しているらしい

ここの作戦が長引けば長引くほど、人類は窮地に立たされていく

何とかしてでも…成功させてもらいたいものだ




ついこの前までは、一時撤退などの嫌な記事で埋め尽くされていた新聞だが、奪還作戦敢行からちょうど、半年後の新聞には

カールスラント、オラーシャの大半を解放という勝利の記事で埋め尽くされた

この記事を読んで、俺を含め、ここ最前線の男達は大いに喜んだ

カールスラント、オラーシャのどちらかでも解放されれば、ここスオムスに救援が来る

そうすれば、戦いは一気に終わりへと近づくのだ


スオムスが極寒の季節へと入りかけたとき、待ちに待った知らせが、ここ最前線に届いた

「お~い! カールスラントが…! カールスラントの奪還作戦が成功したぞー!!」

伝令が興奮気味に、陣地中を走り回って、グッドニュースを知らせていた

その知らせを聞いた瞬間から、辺りはお祭り騒ぎとなった

「イヤッホォォォッ! この戦いも、あと少しで終わりだぁぁぁっ!!」

「よっしゃぁぁっ!」

新兵「やりましたね! 俺さん!!」

俺「ああ!」

俺もこの知らせに、素直に喜んだ

新兵「それに、あと2日ほどで501がここに来るそうです!」

俺「ほ、本当か!?」

新兵「はい! ……それと……やっと…ハルトマン中尉と再開できますね…俺さん……」ゴゴゴゴゴゴ

「…そうか…そういう事になるのか……嬉しいだろうな…俺医師は…」ゴゴゴゴゴ

「…おれたちの目の前で、イチャイチャされるのか……あ゛ぁぁぁぁっ!」ゴゴゴゴゴ

俺「ははは……お、落ち着けって……」

この時期にもなると、周りの奴等とは古い付き合いとなってきた

みんな優しくて、良いヤツだ

ただ…エーリカの話になると、俺に物凄く冷たいが……


― 2日後 ―

運命とは残酷なものである

本来なら何事もなく、一年振りに501のみんなと、エーリカと逢えるはずだった

しかし、今日は朝から敵の大規模攻撃で、俺たちの陣地は崩壊寸前となっていた

更に、501と504はスオムスへ行く途中で、敵の攻撃に遭ったため、支援が遅れるとの報告も俺たちの耳へと入ってきた

「貴様らぁぁぁっ! 死んでも、ここの陣地を突破させるなぁぁぁぁっ!」

「ここを攻め落とされたら、スオムスどころか世界の終わりだぞぉぉぉっ!」

普段温厚な部隊長が我を忘れたかのように、咆えている

それに奮起されたかのように、周りの兵士は塹壕の中から必死に迎撃した

俺は負傷兵の治療に明け暮れていた

俺「…くそっ! もう…医薬品が……」

肩にぶら下げていたバックの中を見てみても、包帯すら残っていなかった

俺「…仕方が無い……おい、お前! コイツの傷口を強く圧迫してろ!!」

俺は近くにいた兵に呼びかけ、応急の止血法を試した

もう医薬品が無い為、手で圧迫するしか方法が無い

空では、507と思われるウィッチも必死に戦っていた

しかし、ネウロイの数が多すぎて、一向に攻撃は収まらない

俺「……そろそろ…本格的にヤバイかもな…」


「誰か…! 誰か、弾薬を持ってきてくれ!!」

「くそっ… 数が多すぎる!!」

「ちくしょう! また速射砲がやられた!! もう、大砲は一つも残ってねぇぞ!!」


俺「……もう…駄目…か……」

弾薬も不足してきたらしく、迎撃の砲火が段々と弱くなっていった

俺は生まれて初めて、死を覚悟した

たぶん俺だけではない

ここで戦っている全ての兵士も覚悟しただろう

俺「…煙草でも…吸うか…」

塹壕の中に俺は座り込み、ポケットにあった最後の一本に火を付けた

そして、俺はビームと銃弾が飛び交う空を見上げて呟いた

俺「……一度でいいから……もう一回…エーリカの笑顔が見たかったな……」

501で過ごした楽しい日々を頭に思い浮かべながら、恐らく来るであろう"最後の時"まで…一服を楽しむことにした


「た、隊長!! もう迎撃する力はありません! 撤退命令を!!」

部隊長「駄目だ! 撤退だけは許可できない!!」

「で、ですが…! このままでは、犬死です! どうかご決断を!!」

部隊長「…犬死は避けなければならない……出来る限りの抵抗をし、弾薬が尽き次第、撤退する……」

「りょ、了解です! おい!伝令はいるかーっ!?」

部隊長「………いや…! 撤退命令は取り消しだ!!」

「なっ…! なぜ…なぜです!?」

部隊長「……あれを見てみろ!!」

「あ…あれは………ウィッチ…!?」

伝令「隊長!! 501と504が支援のため到着しました!!」

部隊長「…やっと…おれたちの女神さまが来てくれたか……」

「し、しかし!! 501と504は敵の攻撃で支援が遅れると……」

部隊長「細かい事はどうでもいい! ようし! 反撃するぞ!! 全火力をもって、ウィッチを援護しろぉぉっ!!」

「うおぉぉぉっ!! ウィッチが来たぞー!!」

「これで…これで勝てるぞ!!」

「くそったれネウロイめ!! 人間様の恐ろしさを思い知らせてやる!!」

俺「……ウィッチ…ウィッチだと!?」

俺はくわえていた煙草を地面に放り投げ、急いで塹壕を飛び出した

すると、空の向こうから多数のウィッチが編隊を組んで、ネウロイに攻撃を仕掛けようとしていた

俺「…どうして……確か支援は遅れるはずだったのに……」

先ほどまで劣勢だった俺たちだが、ウィッチがさらに支援に来てくれた事で形勢は逆転した

新兵「俺さん! 塹壕飛び出してると危ないですよ!!」

俺「お、おおう!!」

戦いの途中で行方を見失っていた新兵が、ひょいと現れ、塹壕の外へ飛び出していた俺を、塹壕内へと引きずり込んだ

新兵「やりましたよ俺さん!! 501と504、そして507のトリプルアタックですよ!!」

俺「へ?」

新兵「だから! 501と504が支援に駆けつけて来てくれたから、507と合わせてトリプルアタックですよ!!」

俺「あのウィッチたちは…504と501なのか!?」

新兵「はい! これで俺たち勝てますよ!!」

俺「…来てくれたのか……」

先程まで、空で孤軍奮闘していた507に頼もしい援軍が加わった

防戦一方だったが、一転 攻勢へと打って出た

そして、ウィッチたちの目ざましい活躍もあり、何とかしてネウロイを退ける事が出来た

「やったぞぉぉぉぉ!」

「何とか前線を越えられずに済んだな…」

「ウィッチさんたち! ありがとな~!」

男達は抱き合ったり、喚きあったりしながら、上空を飛んでいるウィッチに向かって手を振っていた

俺「なぁ…この後…あのウィッチたちはどこに?」

新兵「えっと、ここから遠くない飛行場に着陸すると思いますが…」

俺「…よし…! ちょっと行ってくる!」


続く

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最終更新:2011年08月01日 15:51
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