少女が能力者になるきっかけのお話
長くなりそうだからまとめてみた。
※糞長い。こんなことになるならSSスレに書けばよかった・・・。後悔はしているが反省はしていない。
ちょっと街から外れた場所で少女は暮らしていた。
そこは山のすぐ近くで人通りは少なかった。
何故そんなところで暮らしているかというと、ただ単に少女の両親が山好きなだけ。
親は二人とも働いていた。いわゆる今多い共働きだ。
少女にはお兄さんがいたが2、3年前に家を出て行きそれからは帰ってこない。
なので少女は学校から帰ってくるといつも一人。
だが、家の近くに山から流れてくる川があるのでそこで良く遊んでいた。
少女とその家族は平和に暮らしていた。
でも生活は辛かった。父親の仕事は安定していたが、母親は就職難ってこともあり仕事を転々としていた。
大変だった。でも少女はそんな暮らしが楽しくて、幸せだった。
帰って来た時は一人だが、ちょっとすれば母親が帰って来てくれる。夕飯を食べ終わるころには父親も帰って来てくれた。
場所が学校から離れてるので友達とは遊べないがこれでも少女は幸せだったのだ。
ある日の日曜日。
その日は特別だった。家族皆で街にお買い物をしに出掛けた。
昼から出掛けて、映画を見て、デパートでショッピングというのを楽しみ、レストランで夕食を頂いた。
夕食はとても美味しかった。それにショッピングでは白い熊のぬいぐるみを買って貰えた。
少女は思った。─────こんな日が永く、ずっと続けば良いのに・・・と...
次の日 月曜日。
いつもと変わらない平凡な一日だった。
朝起きて、学校に行き、勉強をして、帰ってきて、川に遊びに行って、帰ってきたらご飯を食べる。
違うことは少女のベットの枕もとに熊のぬいぐるみがあることぐらい。
だが、もう一つだけいつもとは違かった。
それは夕飯を食べ終わっても父親が帰ってこないのだ。
母親も心配していた。いつも帰ってくる時間をだいぶ過ぎても父親は帰ってこなかった。
その次の日になっても父親は帰ってこなかった。
こんなことは一度も無かった。父親は必ず出かけたその日のうちに帰ってきていた。家族のために・・・
だが、次の次の日になっても......
いちようもしものために父親がお金をちょびちょび貯めていたのが幸いし生活はできていた。
でも、父親がいきなり、連絡もなしにいなくなってしまい、それにいつかはお金も底を尽き、生きていけなくなる・・・
未来のことがはっきりわかる母親は鬱だった。
しかし・・・
父親が帰ってこなくなってから数日たったある日・・・
少女が目覚めると泣き声がした。
その声を聞いて慌てて部屋を出て、泣き声のもとへ向かう。
それは、リビングからしていた。
リビングで母親が泣いていたのだ。何かを抱えて・・・
少女は最初、それがなんだかわからなかった。いや、わかっていたのかもしれない。それを認めたくなかっただけかもしれない。
だって母親が抱えているものは・・・
いなくなった父親なのだから...
次の日
昨日から母親はずっと泣いていた。朝起きても泣いていた。
もう涙は出ていなかった。たぶん枯れてしまったんだろう・・・
少女は"いってきます"そう呟いて学校に向かった。
学校は普通だった。いつも通りだった。なにも変わらない、学校だけは父親がいなくなっても変わらなかった。
学校から帰ってきて家の前。
少女は気付いた。母親が泣いていないことに。
慌てて家の中に入る。
母親はリビングにいた。もう動くことはない父親を抱きしめて、母親はテレビ・・・いや、ビデオを見ていた。
そのビデオは少女にはなんなのか理解できない・・・
宗教のビデオだった。
少女は目覚める。ベットから降りると、少女は思う。
いままでが夢ですべてしっかり元通りに戻っていると・・・
でもそんなのは夢のまた夢。
リビングに行くと、母親がビデオを見ていた。やっぱり少女はそのビデオがなんだかよくわからなかった。
"おはよう..."と母親に挨拶するが母親は無言で父親を抱きしめたままビデオを見つめていた。
少女はそのまま学校に行き、帰ってくる。
帰ってきても母親はビデオを見ていた。そして気づいたのが家の中に結構な大きさの壺が置いてあった。
そんな日常がずっと経った。
そして母親が可笑しくなって数十日たったある日の日曜日・・・
"ピンポーン"と家のチャイムが鳴り響く。
親は壺を大事そうに抱えながらいつものごとくビデオを見ているため、少女が出ることになる。
少女が玄関を開けるとそこにはスーツを着た、大人の人が3人立っていた。
少女はその人たちに向って言葉を言おうとしたがその人たちは少女がいるのにもかかわらず無理あり扉をこじ開け中に入って行った。
少女は部屋でおとなしくしている。
母親が「部屋に行って」と喋ったのだ。
糸の切れた操り人形みたいに動かなくなった父親を見てから初めて聞いた、母親の言葉。
少女にはなにもできなかったのにあのスーツの人たちにはできた・・・
そう、少女は思っていた。
少女が自分の部屋で大人しく熊のぬいぐるみと遊んでいたらリビングのほう...母親とスーツの人たちがいるところでドタドタと音が聞こえてきた。
しかし少女はそれを聞かない振りをして布団の中に包まる。
そしたら次に母親の鳴き声が聞こえてきた。
それを聞いた少女はいてもたってもいられなくなり、部屋を飛び出す。
リビングに着いたときにはパチンッと音が聞こえ母親の倒れる姿を見た。きっとスーツの奴が母親を叩いたのだろう。
母「なんで・・・あなた達はパパが帰ってくるって言ったじゃないですか。」
母親は泣け叫びながら立ち上がり、怒鳴る。
A「しつこいですね・・・さっき言いましたよね。もうあなたの夫は死んだと。」
スーツの一人が言う。
母「だから私はあなた達の言ったことを聞いて、お金も払い、勉強もしました。」
母親は唾を飛ばしながら叫ぶ。少女は驚いていた。あんな姿の母親は見るのが初めてだったから。
B「けど、この頃お金が支払われて無いんですよ。もう底を付いてしまったのでしょう?」
スーツ姿の男の2人目が言う。
母親の体がビクッとなる。さっきまでの姿は無く、いきなり脅える子犬のようになる。
B「その様子だと・・・図星ですね。だからあなたには用が無いんです。」
そして3人目がカチャとなにかを取り出す。
それは銃だった。少女には偽者か本物かはわからなかったが直感では凄く危ないと感じていた。
A「後で、感ずかれて通報されたら厄介なのでね。ここで始末させてもらいます。」
1人目が言い、3人目がまたカチャと音を鳴らす。
B「あぁそれと・・・」
2人目がそれに続いて言葉を紡ぐ。
B「父親を殺したのは私達ですから。」
バァーンと一軒の家の中に轟音を鳴り響かせた。
少女はその音に耳を塞いだ。
そしてさっきのスーツ姿の奴の言葉を思い出す。
お父さんは、あいつらに殺された・・・?
そして少女は見る。額から血を流して倒れていく母親の姿を
お母さんもあいつらに・・・
A「さて、あなたはどうしますか?」
スーツ姿の1人がこっちを見る。
A「娘さん?」
その目は異常だった。人を見る目ではなく・・・・・・
少女の事を物で見る目だった
少女は脅えた。
スーツ姿の男が近づいてくる。そして少女の髪を掴みこっちに引き寄せる。
A「ほぅ・・・なかなかの美貌。ここで殺すのはもったいないですが・・・しかたありませんですしね。」
少女の顔を見てにやける。そしてカチャと音を鳴らして3人目が銃を向ける。少女は恐怖で脅える
少「た、助けて・・・ 助けてお兄ちゃぁぁん」
そして少女は叫んだ。助けを求めるために・・・
A「・・・」
無言で少女の髪を引っ張りながら投げ捨てる。少女はそのまま飛んで地面を転がる。髪は5,6本抜け落ちる。
B「兄がいるのですか・・・ まぁ邪魔になったらこのように殺してしまえば良いんですけどね。」
3人目が銃の引き金に手を掛ける。
お父さんが死んだ。
お母さんが死んだ。
私もこれから死ぬ。
お兄ちゃんも死ぬかもしれない。
少女の精神は限界だった。
そして少女は思う。
私達家族が死ぬのならば・・・
死に追い込んだこの人たちも天に召されるべき。
それを実行するのは"私"
バァーンとさっきと同じ音が同じ家の中で鳴り響く。
A「ふぅ・・・やっと終わりましたね 後はこの家を燃やしましょうか。」
B「そうですね。終わりました。久しぶりにみんなで飲みましょう。」
3人目はコクコクと頷く。
少「なにが終わったの?」
A「なっ・・・」
スーツ姿の男達が一斉に振り向く。
B「なんで・・・お前・・・・?」
その言葉に少女は首をかしげる。
A「くっ、撃てぇぇぇ 殺せぇぇ。」
その言葉を引き金に3人目が銃を発射する。
だが、銃弾は少女に届く前に何かの壁でもあるかのように速度を落として途中で凍りつく。
カチャ、カチャ、カチャ
銃の発砲が止み、弾倉が空なことを知らせる音が聞こえる。
A「なっ・・・なんだこいつ うらぁぁぁぁ。」
1人目が懐からナイフを取り出し少女に走る。
少女はフフッと笑い。
目の前に一輪の花が咲く。そして少女はそれを掴む。
すると少女の手は氷に覆われる。それと同時に手の甲から一本の氷でできた剣ができあがる。
A「化け物・・・化け物だお前はぁぁぁぁぁ。」
1人が切りかかる。
その攻撃を少女はしっかりと受け止めて
少「そうね、私は化け物かも知れないわ。」
そのまま流れるようにスーツ姿の男の腹へ氷の剣を突き刺し、抜く。
すると男は刺されたところを中心に凍っていった。
B「ぐぅぅ・・・なんですかこいつは!」
2人目も銃を抜き、少女に向って銃を乱射する。
さっき同じように銃弾は途中で減速し、凍りつく。
少「これじゃぁつまらないから。」
と言って少女の周りに無数の花が出来上がる。
少「楽しくしましょ?」
その大量の花が少女の周りを回転し始め、少女を中心として小さな竜巻が出来上がる。
B「くそっ、くそっ、くそっ」
それでも男は銃を撃ちまくる。
しかし銃弾は花の高速回転によってできた竜巻に弾かれ、兆弾しめちゃくちゃな方向へ飛んでいく。
C「・・・・・・・ッ」
複数回弾は兆弾し、その一発が3人目の頭に直撃し血を噴き出しながら倒れる。
B「嫌だ・・・まだ死にたくない・・・ うわあぁぁぁ」
それで気づいたのか男は銃を捨て、逃げ出す。
少「だ~め。逃がさない。」
不敵な笑みを浮かべて、少女の周りで起こっていた竜巻は一気に規模を広げていく。
その竜巻に巻き込まれた場所、家具はすべて凍っていく。
倒れて死んだ3人目の男も当然凍る。
2人目も外に出ることはできたが、竜巻に追いつかれ凍りついた。
少女はすべて終わったことを見届けると凍りついた家の中を歩き、自分の部屋に戻る。
そしてそこから買ってもらった熊のぬいぐるみを抱きかかえて家の外に出る。
家は夏だというに氷で覆われ、何もかも凍っていた。
そこには恐怖で顔を歪めたスーツ姿の男が氷の彫刻となっていた。
それを見てフフッと笑う。そして少女は呟いた。
「生き残っちゃった。・・・わたしはこれからどうすれば良いのかな?」
少女は熊のぬいぐるみを抱えながら山に向かって歩き始めた。
~終~
一人の青年が走ってくる。
目的地に到着し、そこにある家を見て
「おいおい・・・いったい何がどうなってんだ・・・・・・?」
~これは別のお話で~
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