マスタリングは、全パート楽曲全体にエフェクトを掛けて 曲の質感や音量を調整して、様々な再生環境で聴きやすくする作業のことです。 ミキシングのように積極的に音色を変化させるようなことはあまりしません。
マスタリングにおけるEQはあくまで周波数帯域の出具合を調整するもので 音色を変化させるためのものではありません。 マスタリングではリニアフェーズのパラEQを使います。 ミキシングの段階できちんとできていればあまり細かく弄る必要はありません。 初心者は、ハイ上がりの音になりがちなので気をつけましょう。 ドラムの金物などでうるさくなってしまった高域をマスターのEQで処理しようとすると ボーカルがこもってしまうので、そうなったときはミキシングからやり直しましょう。
マスタリングにおけるコンプとリミッターは、音圧上げと質感の変化に使われます。 あまり圧縮しすぎるととてつもなく聴きにくい音になるので気をつけましょう。 どうしても不安なときはVUメーターを見ながら調整するとよいでしょう。 ニコニコ動画や最近の曲はコンプやリミッターを深めにかける傾向があります。 コンプやリミッターを深めにかけると音がとても大きくなり質感も大きく変化しますが 強弱のニュアンスや立体感がなくなります。 どれくらいかければ良いというのは個人の感性によりますが、 コンプやリミッターのかけ過ぎによって音楽が死ぬことがあるので気をつけましょう。 また、DAW上のピークメーターでは0dBを超えていないのに、 D/Aコンバーターによるアナログ波形への変換によって インターサンプルピークが0dBを超えてクリッピング(音割れ)が発生することもあります。 そうさせないための対処法は、SSLのX-ISM(フリー)というプラグインでインターサンプルピークを監視したり、 Sonnox Oxford LimiterやTC Electronic MD3 BrickWall Limiterといった インターサンプルピーク問題に対応したリミッターを使うことがあげられます。 インターサンプルピークについてはここに分かりやすい解説があります。