34 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:30:14 ID:peWKZa7o0
僕が交番勤務になって早半年
世間では大正デモクラシーで自由主義・民主主義と声高に叫ばれていたりして
時代は激動の一途を辿ってるようだが、僕の勤務している交番は平和そのもの
たまに事件が起こっても
「きゃーひったくりー」
ちょっと待ってくださいね。今すぐ追いかけますから
天を仰ぎ目を伏せ「八百万の神よ。我が神道に従い力を貸してください」
僕の背後に後光のように紋章が浮かび上がる
「神力解放「足速」」
言葉通り足が速くなる神力であり、その使い手は日本に数人しかいないと聞く
警察や軍の一部に魔法部隊が出てきている昨今で何故稀有な存在なのかは分からないが、能力の違いなら分かる。
それは魔法が多種多様な異能なのに対し、神力は異能の中で唯一「術者の身体能力を強化する力」だということ
大正になって大通りは整備され「あすふぁると」というものが敷き詰められ
随分と固くしっかりとした道になったが、横道に一本逸れるとまだまだ土煙舞う道ばかりだった。
曲がり角が来るたびに滑らないように気を付けながら追いかけていく
何個目かの曲がり角が過ぎたら追いついた。
おいついたと思ったら勢い余ってそのままひったくりの身体ごと壁に衝突した
壁が脆かったのが幸いしたのかひったくりもろとも転がった
壁と僕に挟まれた犯人は気を失ってるのか動かない。というか気を失ってるだけと信じたい
「いたたた」
身体を起こそうとすると転がる時に打った場所と関節が痛かった。
「手、貸してやろうか?」
いつの間にいたのか背後から懐かしい声が聞こえた
「玄明さん」
「まーだ神力に振り回されてんのか?しかたのねぇやつだな」
今年で50歳になるこの男性は、少し湾曲した杖を持った豪快という言葉の似合う年相応の出で立ちだった
35 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:31:22 ID:peWKZa7o0
玄明さんは、僕が神力に振り回されていた学生時代に
「神力に頼る場面を作っちまうから振り回されるんだ。神力が無くてもいいほどに強くなれ」
と言って僕に剣術を教えてくれた。
そのおかげかどうかは分からないが、打ち込むことで集中力が付き身体が強くなり
結果的に神力を発動しても、そうそう振り回されることはなくなった
「お久しぶりです」
「おうおう、久しぶりだな。ここら辺に来る用があったから顔でも見ようと思ったら
俺の前を阿呆みたいな速さで駆け抜けていく奴がいたのよ。
面白そうだって思ってついてきたらこの惨状だったわ」
「はははは」
乾いた笑いしか出てこなかったのは言うまでもない
気を失ったままのひったくりを交番に担ぎ入れると先輩に
「知り合いが来てるんだろ?今日はお手柄だから少しお茶でもしてきな」
と言われ、確保までの経緯を説明してお言葉に甘えた。
玄明さんは僕の頭一つ分大きい
上を向きながらの会話になるので、長く話していると首が痛い
「そういや、もうすぐパレードがあるんだろ?」
「ああ、原敬宰相就任パレードですか」
「そうそう、それそれ。折角来たんだから顔でも拝んでやろうかと思ってな」
「10月1日の午後ですね。ここ僕の勤務している交番の前を15時に通るんで、
僕らも一応沿道の警備しなきゃいけないんですけど」
「15時か、ありがとな」
「いえいえ。間違っても石投げたりしないでくださいよ」
「……お前、俺をなんだと思ってるんだ」
「冗談ですよ」
二人して声出して笑った。
36 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:32:09 ID:peWKZa7o0
「主人公」
ああ、今日は懐かしい顔に会う日の巡りなんだなと自分を強引に納得させながら声の方向に向いた
「やあ、瑠璃」
「なんで、ぎこちないのよ。まあいいわ、今日は貴方に有り難い話を持ってきてあげたの」
「いや、結構です」
即答したのがまずかったのか、凄い剣幕で迫ってこようとしたが後ろから伸びた手に止められた。
「まあまあ、瑠璃嬢。今日は任務で来たんやから、ちゃんとした説明はお兄さんに任せようや」
そういう大坂訛りがあるこの男は
禰宜田久丞と言って、僕の学生時代の良く言えば悪友、悪く言っても悪友だ。
二人の攻防を横目に気品ある出で立ちの男が僕の目の前に立った。
この人は白洲蒼と言い、瑠璃の兄であり警察特別部隊の最年少小隊長である。
「やあ、主人公。君は今から僕らの部隊に一か月限定配属され特別任務に就くことになる」
「わー。なんだかそのいきなり有無を言わせない雰囲気学生以来ですね」
「急で申し訳ないが、辞令も持参している。後で確かめてくれ
そこの君、奥を使わせてもらうよ」
そういうと「はっ」と一声とともに先輩が敬礼から右足を引き奥部屋への通路を開けた。
誰か知らなくても肩章の力は偉大である。
「どうぞお茶です」
求められてもないが、白洲蒼・瑠璃兄妹の気品の前にいつの間にか出してしまっている。
「ありがとう。早速本題なのだが、原敬宰相のパレードを狙った魔法テロが計画されているらしいことを
うちの情報部が掴んでね。しかし、うちの小隊は瑠璃と久丞の検索、探査などが得意な鏡コンビ」
久丞が小声で「一緒にせんといてーな隊長」と突っ込んでいたが無視されている
「協力支援型の私に放射型の
結城楓と攻撃、支援、探査はいるが盾がいなくてね」
「……盾になれと言うことですね」
「頭の回転が速くて助かるよ。では、早速結城君と合流し」
「その、使っていただけるのはありがたいのですが、いいんでしょうか?」
「まだ、根岸上官を殴ってしまったことをいっているのかい
あれは、君が殴ってなかったら私が殴っているところだよ。
どんな凶悪な犯人でも見捨てていいということにはならないからね」
「そやで、それが警察の正義言うなら自分らで変えていこーや」
肩をバンバンと叩きながら久丞がそう言った。
「ですが、万が一テロ組織が過激派だった場合攻撃主体の部隊に任せた方がいいのでは」
「そう思うかもしれないが、それだと手柄を独り占めできないだろう。
君のように思って上官に手を出してしまわないといけない組織は、私が早く出世して変えなければいけない」
特異な力を持っているのに交番勤務にさせられたのは、上官を殴ってしまったからだ。
殴ってしまった事実、それ自体は許されることではない。
しかし「どうせそいつ(犯人)は生きててもしょうがないから捨ておけ」と言い放った上官を
「しかしながら」と止めようとした僕に対し「それが警察の正義だ」と頑として聞いてはくれなかった。
自分の信じている正義は間違って違っていたのかと自問自答しなかった日はなかった。
でも、こうして自分と同じ考えを持つ人が現れたというだけでも僕は知らずに涙を流していた。
「何泣いてんのよ。兄さんに協力するの?しないの?」
「……するに決まってるじゃないですか」
37 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:32:41 ID:peWKZa7o0
それからの日々は忙しかった。
細かな情報収集するために足を棒にして駆けずり回り、探査に付き合って護衛もした。
しかし、なかなか尻尾は掴めず、ようやくテロ組織の動きが掴めたのは当日の午前中だった。
「相手にも強力な魔法使いがいたようで、当日までかかってしまったが
人出の多いパレード付近での戦闘は観衆を巻き込んでしまうため、何としてでもその前に確保だ」
「はっ」
くしくもテロ組織が狙うルートは以前勤めていた交番の裏からだった。
交番の奥部屋で瑠璃と久丞が鏡で探査魔法をを最大限に展開しながら待ち構えた。
探査範囲を交差するように検索することで、範囲の中に明らかに人ひとり分の空間が空いているのをみつけた。
見つけたと同時に二人はこと切れるように倒れ込んだ。
「よくやった瑠璃には跡賀谷のせんべいを好きなだけ買ってあげるからな」
それを聞いた瑠璃はにっこり力なく微笑む
「自分には」
そういう久丞の耳元でそっと楓さんが「後でね」と言った。
ニヤけ顔が気持ち悪いが放っておいて白洲隊長と楓さん、僕は交番から駆け出した。
駆けながら八百万の神に願った
「神力解放「耐魔」」
これで異能の力に気持ち耐性が付く
求められたからにはきっちり盾の役目をこなす
交番と探査結果のちょうど中間で、明らかに異質な力の流れを持った人がいた
38 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:33:14 ID:peWKZa7o0
「先手必勝!我が力光の雨となりて「片喰」」
僕の後ろを走っていたはずの楓さんがいつのまにか前に出て魔法を紡ぎだす。
楓さんの制服の胸に描かれている紋章を中心として周りに小さな光が浮かび上がる
光は質量を持ちつぶてとなって右手の動きに応じて一斉に向かっていく
しかし、相手は読んでいたかのように
無数に飛んでくる光のつぶてを難なくかわした。かわしながら魔法を完成させる。
「放つは「六戦・雷電」」
相手がそう言い放つと同時に僕は楓さんの前に両手両足を思いっきり広げで構えた
容赦なく降り注ぐ魔法による雷撃
「耐魔」といっても死ぬのが防げる程度であり痛いものは痛い
少しの間動けそうにない
「急ぎ過ぎだ。結城君いつも通り挟むよ」
「はい」
そういうと白洲隊長と楓さんは相手を挟むように同距離を保ちながら対峙した。
「我が力光の束になりて「蔓」」
手を居合のように構え引き抜くと何もなかったはずの手の内に長く鞭のような形状をした魔力の束が現れ
相手に襲いかかる。しかし、それも難なくかわされたと思ったが
相手の向こうにいた白洲隊長の構えていた両手に反転させられ鞭の先はそのまま相手の足首に絡みついた
「なにぃっ」
明らかに動揺した声色だったが、すぐに対抗しようと魔法を発動させる言霊を放つ
「放つは「六戦・雷電」」
先ほどと同じように雷撃が迸る。楓さんはすぐさま「蔓」を解き回避した。
回避した楓さんに向かうのかと思いきや二人を相手に分が悪いと思ったのか背を向け走り出した。
走る先には、大通りには珍しくなくなった電柱が
「まさかっ!!?」
珍しく白洲隊長の焦る声が聞こえた。
相手は懐から出した短刀を電柱と電柱の間に投げつけた。見事に切れた電線が道路に垂れてくる
白洲先輩が走り寄るより先に切れた電線の両端を持った相手は電気が流れたのか激しく震えた
「放つは「六戦・雷電珠」」
先ほどの雷撃がくらべものにならないぐらいの雷の玉が頭上で激しい音を鳴らす
僕は動けるようになってきた身体を無理やり起こして何とか駆け寄ろうとする
「流石にあれは防げないだろう」
そういうと白洲隊長は両腕をかざし魔法の壁を作り上げる
そこにそんなに早くはない速度で雷の玉が向かってきたが、魔法の壁は雷の玉を包み込んだ。
包み込まれた中でも激しく暴れるのか、白洲隊長の腕の皮膚が見る間に裂けていく
それでも声を上げることはなく顔を歪めながらも集中力を切らさなかった
「どうしてですか!?僕が、僕に盾となれと」
「君には、これからも盾役を続けてほしいからね。ここで失うわけにはいかないのだよ」
そういうと「はっ」と気合の入った声とともに壁もろとも雷の玉が霧散した。
「すこーし無茶したかな」
「喋らなくていいわよ」
背中を僕が支え、皮膚が裂けた腕を「蔓」で巻きつけ止血する
白洲隊長と同じように力を使い果たしたのか相手も倒れ込む
39 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:33:50 ID:peWKZa7o0
「二人とも気を抜くな……もう一人いるぞ」
その人は、歩きながら杖の右端右手で持ち、真ん中を左手で持ってから
抜いた。
抜かれた刀身は誰彼も魅了するように光輝いていた。
「玄明さん」
「いやな、刀で日本がかえられねぇかなと思ってな。
そこの倒れ込んでる男がいる組織に今回力を貸そうと思ったんだわ」
「そ、そんな」
楓さんはそっと白洲隊長を置き、胸の紋章へ力を集中させた
「我が力結束せよ「片喰一品」」
光の塊が人の上半身を覆うぐらいの大きさの塊となって玄明さんに襲いかかった。
玄明さんは刀を上段に構え面白くなさそうに振り下ろした。
「魔法だろうが神力だろうが、使うのが人である以上、人は対応できるんだよ」
巨大な光の塊は玄明さんのまえで二手に分かれ霧散した。
このままでは全員やられてしまう、逃げるにも人ひとり運ぶのが精いっぱいだろう
僕は覚悟を決めて白洲隊長の腰にあるサーベルを拝借した
「ほう、一度本気でやってみたかったんだ。神力使ってもいいぞ」
玄明さんがニヤリと笑う。
「言っておくが、気を引いて二人を逃がそうとか思うなよ。本気でこないとその女を立っていられなくする」
身体も目線もこちらに向いているが、切っ先だけは楓さんの方を向いていた。
「玄明さん考えなおしてくれませんか?」
「考えなおす?俺の考えは昔から変わらんから直しようがない。
剣のみに生きてきた男が信ずる正義を全うしようとしているんだ。邪魔をするな」
「貴方の正義がそうだとしても僕は自分の正義をおしつけます。玄明さんが言ってくれたんですよ。
「神力が強化系なのは、神様が純粋に人を守りたかったんだろうな」って
だから僕は、この力を人を守るために使います!!!」
「よく言った。なら止めてみろ」
「そうします。八百万の神よ。我が信念に従い力を貸せ、神力解放「強化」」
僕の背中に後光のように紋章が光り、全身を包み込んだ。
神力を使っている。それでも五分だった。
十合目を切り合ったところで、玄明さんが刀で一気に押し込むようにきた。
僕はそれを何とかいなして正眼に構え直す。
「ほう、やるな」
「褒めてくれるのは嬉しいんですが、このままじゃ勝てませんよね」
「そうだな。どうするよ」
僕は強化を解いた。一か八かかけないと勝てそうにない
右肩から斜め下に切り付けながら「神力解放「速手」」
神力をサーベルを持っている右腕だけに集中させた
この切り付けは難なくかわされた。しかし、ここまでは予想通り
左に流れたサーベルを右にそのまま振り抜く
「かはっ」
あまりの衝撃に玄明さんがもんどりうつ
「も、もう立たないでもらえませんか?僕神力使い過ぎでもう立てないんです」
「アバラ何本も持っていかれたのに出来るか」
「そりゃ良かったです」
「何故、さっきの斬撃は手首を切り返さなかった。サーベルの腹で叩くよりその方が確実だったろう」
「何故って、そんなことをして切りどころ悪く死んでしまったらどうするんですか
悪いことをしたからって殺していいってのはなしです」
「まいったまいった。取り敢えず、ここは逃げるとする。
その男は前から気に食わなかったから今回の首謀者にしておいてくれ」
そういうと、何事もなかったかのようにスタスタと来た道を帰って行った。
「元気じゃないですか……」
追いかけようにも神力を使い切って思うように身体が動かない
「あいつがいるうちは刀で世を変えるのは難しそうだな」
40 :改善出来てるかな?:2013/06/12(水) 01:34:24 ID:peWKZa7o0
<後日談>
テロの情報は前々から他の部署も掴んでいたようだが
実際に捕まえること出来たのがうちだけであり
白洲隊長は諜報部弐式の部長に抜擢され、部下も増えた
僕も今回の活躍と白洲隊長の推薦により諜報部の隊員となった。
実行犯で一人である玄明さんを諜報部弐式を中心に探したが、ようとして足取りはつかめなかった。
どうも玄明は偽名だったことは掴めた。確かにこちらに刃を向けたが、実被害が無かったため
首謀者を探すついでにいたら、ぐらいの位置づけになってしまった。
それから2年が過ぎたある日
普通選挙となった国政選挙を報じる新聞に
あの人が僕が知っているのとは違う名前で出ていた
「私は私の正義を信じ、古き良き日本を取り戻して見せます!」
41 :名無しさん:2013/06/12(水) 01:57:06 ID:0Vn9rfXA0
いるかいらんか分らんが感想
前より大分コンパクトになったな
魔法のバトルは面白いね
主人公の同期が魔法使った所は地の文だけでなくセリフも少々与えてやらんと空気よ
あと、コンパクトな分キャラがわちゃわちゃしてるかな
やっぱり、最後の玄明とのバトルは納得いかんな
右肩から斜め下に切り付けながら「神力解放「速手」」
神力をサーベルを持っている右腕だけに集中させた
この切り付けは難なくかわされた。しかし、ここまでは予想通り
左に流れたサーベルを右にそのまま振り抜く
「かはっ」
ってそれまで結構いい感じで競り合ってたのにあっさりすぎんよ
たった一手付け足しただけで不意をつかれるのは玄明に強者のイメージがつかないな
もうちょい工夫した方がいいかも
ちなみに黙れや人の作品にケチつけんなksって思ったら言って
俺のレス消すから
42 :名無しさん:2013/06/12(水) 01:59:57 ID:peWKZa7o0
いやー普通に剣劇思いつかなかった
捨て身で全身強化をやめて手の速度だけ変えるってオチだけが先行しちゃった
43 :名無しさん:2013/06/12(水) 02:12:22 ID:peWKZa7o0
ああ。少し思いついた
切り合った十合内に追加
玄明が無造作に横に薙いだ刀を前に向かおうとした身体を無理やり止めてかわそうとした
だが、躱しきれなかった切っ先が制服の胸元を容易に切り裂く
躱しきれないならこちらからと細身のサーベルを右肩めがけて突き出した。
読まれていたのか、右肩と右足を少しだけ後ろに下げて躱され下から上に刀を振り上げてきた。
その衝撃に痺れる手のひら
落とさないようにするのがやっとだった僕の頭めがけ頭突きが飛んできた
凄い衝撃でよろける足を無理やり後ろに身体ごと持っていき
無様な形で転がるように距離とった
44 :名無しさん:2013/06/12(水) 02:17:33 ID:ttFyCWPM0
剣劇は幽遊白書の飛影対時雨読みながら考えたらいいと思う!
最終更新:2013年06月13日 09:46