7/16-2

シナリオ 7月16日(月曜日・祝日)・その2

 遠い日の幻影



八十記に教えられた場所は駅の中だった。[pcm]

真緒「……でもさ、普通こんな近くで迷子になるかな?」[pcm]

奏「それがリオなんだよセンセ」[pcm]

真緒「……一人にはさせられないな」[pcm]

芽衣子「寺井莉緒……まさか魔王様の気を引こうとわざと?」[pcm]

奏「メーコ?」[pcm]

芽衣子「許すまじ……」[pcm]

和「しかし、いないな」[pcm]

せえら「ええと、たしかにこの辺だと思いますけど」[pcm]

真緒「……見当たらないな」[pcm]

改札から離れた場所だからか、辺りには人気も無い。[pcm]
だから見落としてるとは考えにくい。[pcm]
ここじゃ無いとしたら、いったいどこに行ったのか。[pcm]

せえら「あら?」[pcm]

和「お! いたぜ! あれそうだろ?」[pcm]

阿部高が指を差した場所に誰かがいる。[lr]
莉緒だ。[pcm]

真緒「でかした阿部高!」[pcm]

和「へへ」[pcm]

せえら「行きますわよ」[pcm]







莉緒「………」[pcm]

構内の片隅に莉緒はいた。[pcm]
一人ぽつんと座って、見るからに寂しそうに……[pcm]

真緒「莉緒……」[pcm]

莉緒「……ま…おぐん……」[pcm]

顔を上げた莉緒の目には涙が溢れていた。[pcm]
その涙を拭くこともせず、ただ涙声でぼくを呼ぶ。[pcm]

昔、こんな事があったような気がする。[lr]
莉緒とぼくでこんな事が……[pcm]

芽衣子「貴様! いったいなんのつもりだ」[pcm]

奏「リオ? だいじょぶ?」[pcm]

莉緒「……う、うん。もう大丈夫……」[pcm]

せえら「まったく、ふらふらしてるからですわよ」[pcm]

莉緒「……う、うん」[pcm]

和「ま、見つかって良かったじゃないか。[lr]
なぁキミぃ?」[pcm]

真緒「………」[pcm]

和「なんだ? どうしたんだ?」[pcm]

真緒「……あ、いや、なんでも」[pcm]

遠い記憶が思い出せそうで思い出せない。[lr]
……もどかしい。[pcm]

いや、今は思い出すより先に──[pcm]

真緒「莉緒、もう大丈夫だから。ほら、立てるか?」[pcm]

まだ泣き止まない莉緒に手を差し伸べる。[pcm]
少しうつむきながら莉緒が手を取った。[pcm]

触れあう手にも懐かしさを感じる。[lr]
また少しだけ昔の記憶が……[pcm]


莉緒「………」[pcm]

真緒「怪我はないな?」[pcm]

莉緒「……うん」[pcm]

真緒「良かった。心配したんだぞ」[pcm]

莉緒「……ごめんなさい」[pcm]

真緒「いいよ。でも、どうして迷子になったんだ?」[pcm]

莉緒「……一人でトイレに行ってて、戻ったら誰もいなくて……」[pcm]

真緒「それで探し回って迷子って所か?」[pcm]

莉緒「うん……」[pcm]

真緒「まったく……」[pcm]

莉緒「………」[pcm]

真緒「ほら、もう泣かない」[pcm]

莉緒「……うん」[pcm]

真緒「まったく、一人にはさせられないな」[pcm]

莉緒「……うん」[pcm]

真緒「ほら、涙拭いとけ」[pcm]

莉緒「………」[pcm]

差し出したハンカチを受け取らず、ただ見つめている。[pcm]
嫌がっているわけじゃなくて、莉緒はたしかこういう奴だった。[pcm]
泣き出すと固まって、しばらく泣き続ける子だった気がする。[pcm]
だからぼくは──[pcm]

莉緒「あ」[pcm]

ハンカチで涙を拭いてあげた。[lr]
皆が見ている前だというのに、照れや恥ずかしさは無かった。[pcm]

ごく自然に振舞えたのはきっと、教師じゃなく、幼馴染のお兄ちゃんに戻っていたせいだろう。[pcm]

真緒「はい終わりっと」[pcm]

莉緒「あ」[pcm]

真緒「泣きべそで歩いたらみっともないからな。
それに、変な誤解も受けかねん」[pcm]

莉緒「……あ、ありがと真緒くん」[pcm]






芽衣子「……な、なんなのだこの雰囲気は」[pcm]

奏「ちょーラブラブだし!!」[pcm]

せえら「ま、まったくこの馬鹿センコーは!!」[pcm]

和「幼馴染か……こいつは強敵だぜ!」[pcm]

真緒「お、お前ら変な事言うなって。ぼくは莉緒が心配で」[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

芽衣子「魔王様、騙されてはなりません。涙は女の武器なのです」[pcm]

真緒「女の武器?」[pcm]

芽衣子「はい。魔王様が情に厚いお方なのは魔界中の誰もが知っております。[l]
おそらくその事をこやつは聞きつけたのでしょう」[pcm]

芽衣子「ふん、寺井莉緒。魔王様は騙せてもこの私は騙されないぞ。[l]
猿芝居は止めにして貰おうか」[pcm]

莉緒「な、なんですって……」[pcm]

芽衣子「貴様に涙は似合わぬよ。色仕掛けなどテラリオンも堕ちたものだな」[pcm]

莉緒「なっ!!」[pcm]

芽衣子「図星のようだなテラリオン」[pcm]

真緒「お、おいお前ら……」[pcm]

奏「まーた始まったし」[pcm]

せえら「ええ、もう見慣れた光景ですわね」[pcm]

和「ふふ、岸岡さんもやるじゃないか。応援するぜ」[pcm]

莉緒「だだだ、誰が色仕掛けしてるっていうのよ!!」[pcm]

芽衣子「貴様だ」[pcm]

莉緒「な、なんですってー!?」[pcm]

真緒「お、おい莉緒。ぼくはそんな事思ってないから気にするなって」[pcm]

莉緒「真緒くんは黙ってて!!」[pcm]

真緒「………」[pcm]

……いつもの莉緒に戻ったな。[lr]
切り替えの早い奴だ。羨ましいよ。[pcm]

芽衣子「だが涙を流すなど、演技の腕だけは上がったようだな寺井莉緒」[pcm]

莉緒「な、泣いてなんかいないわよ!!」[pcm]

真緒「はぁ……」[pcm]

真緒「……ほらお前ら、行くぞ」[pcm]

奏「リオー! メイコー! 先にいくよー!」[pcm]

せえら「ええ、先にまいりましょう」[pcm]

和「ああ、二人は脱落って事でいいぜ」[pcm]

莉緒「ちょ、ちょっと和! 勝手な事言わないでよ!」[pcm]

莉緒「あたしも行くに決まってるでしょう!」[pcm]

芽衣子「ま、魔王さま! 芽衣子を見捨てないで下さい!」[pcm]



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最終更新:2010年07月19日 08:04
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