７／１６-4

シナリオ　７月１６日（月曜日・祝日）・その４

　暗闇の中で

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映画館の中は、休日でサービス日ということもあって人で溢れていた。[pcm]
幸い、立ち見者が出る程ではなさそうなので一安心だ。[pcm]

真緒「え～っと、この列あいてるから、ここに座ろうか」[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

真緒「岸岡どうした？　座っていいぞ」[pcm]

芽衣子「いえ……私は最後で」[pcm]

真緒「そうか？」[pcm]

せえら「カナちゃん、座りますわよ」[pcm]

奏「うん」[pcm]

和「映画観はいいな。広々として」[pcm]

真緒「そうだな。ま、早く座ってくれ」[pcm]

真緒「莉緒と岸岡も」[pcm]

芽衣子「私は魔王様の隣に……」[pcm]

真緒「あ、うん。じゃ、座るか」[pcm]

莉緒「………」[pcm]

全員着席。[lr]
わりとスムーズに座ってくれて助かった。[pcm]

席の配置は、ぼくの右隣に岸岡、左に莉緒。[lr]
岸岡の向こう側に阿部高たち三人という並びだ。[pcm]

和「……チッ。俺とした事が絶好の機会を」[pcm]

真緒「阿部高、喋るな。もう始まるぞ」[pcm]

和「……悔しいぜ」[pcm]

真緒「お前ら、頼むから騒いだりしないでくれよ」[pcm]

真緒（期待が外れるとはまさにこの事だ）[pcm]

真緒（つ、つまらない……）[pcm]

莉緒「……面白くないわね」[pcm]

莉緒の独り言が聞こえる。[lr]
やっぱりそうだよな。[pcm]
ぼくだけじゃなくて良かったけど、ほんとつまんない。[pcm]

はぁ……寝ちゃおうかな。[pcm]

……ん？[lr]
右手に暖かい感触が……[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

真緒「き、岸岡？」[pcm]

芽衣子「真緒様……」[pcm]

ぼくの右手に岸岡の左手が重なっている。[pcm]
優しく撫でながら指をからめ、スクリーンそっちのけでぼくを見ている。[pcm]

真緒「あ、あのね……」[pcm]

芽衣子「面白くないのなら、私と抜け出しませんか？」[pcm]

真緒「そ、そういう訳には……」[pcm]

せえら「ちょっと、ウルサイですわよ」[pcm]

莉緒「なに話してるのよ」[pcm]

和「な！　キミたち！！　なんで手を繋いでいるんだ！？」[pcm]

奏「ええっ！？」[pcm]

莉緒「なんですって！？」[pcm]

せえら「まったく……これだからセンコーは」[pcm]

真緒「し、静かにしろって！！」[pcm]

自分の声が一番大きい事に気づいたのは、
場内の視線が一斉にむけられてからだった。[pcm]

暗闇で光る軽蔑の目。[lr]
……当然だな。[pcm]

莉緒「こんな所で……最低ね」[pcm]

芽衣子「寺井莉緒。貴様には関係のない事だ」[pcm]

莉緒「な、なんですって！？」[pcm]

真緒「駄目だ。出よう」[pcm]

和「ん？　もう出るのかい？　まだ始まったばかりだぜ」[pcm]

真緒「迷惑になる。ほら、皆いくぞ」[pcm]

せえら「ちょっとセンコー」[pcm]

芽衣子「魔王様、お待ちを」[pcm]

奏「もー、せっかく映画だったのに」[pcm]

真緒「仕方ないよ。あれだけウルサクしたんじゃさ」[pcm]

せえら「別にいいじゃありませんこと。それでこそヤンキーですわよ」[pcm]

和「ま、映画はイマイチだったしな。俺はちょうど良かったくらいだぜ」[pcm]

奏「たしかに面白くなかったね」[pcm]

莉緒「だいたい、あなたが変な事をしてるからじゃないの？」[pcm]

真緒「いっ！？　そ、それは違うぞ」[pcm]

芽衣子「まったく貴様はいつもいつも邪魔を……」[pcm]

莉緒「ふふん、当たり前よ！[lr]邪魔するために来たんだから！」[pcm]

芽衣子「貴様……もう許さん」[pcm]

莉緒「やるっていうの？　望む所よ」[pcm]

真緒「分かった、分かったから止めてくれ」[pcm]

莉緒「……なにが分かったのよ」[pcm]

真緒「とにかく、別の所にいこう」[pcm]

芽衣子「仰せのままに」[pcm]

せえら「でも、どこに行くんですの？」[pcm]

真緒「そうだな……[l]
もう昼も近いしさ、早めにご飯でも食べるのはどう？」[pcm]

和「賛成だぜ」[pcm]

莉緒「そ、そうね。それもいいかもね」[pcm]

奏「リオ、お腹減ってるんでしょ？　嬉しそうだし」[pcm]

莉緒「な、なに馬鹿なこと言ってるの！　そんな事あるわけないでしょう」[pcm]

せえら「寺井は大食いですものね」[pcm]

莉緒「なに言ってるのよ！　あなたたちが食べないだけじゃない！」[pcm]

莉緒「ほら真緒君、行くわよ！」[pcm]

真緒「あ、ああ」[pcm]

映画鑑賞が駄目になってしまったけど、誰も文句を言ったりしなかった。[pcm]
皆つまらないと思っていたみたいだから、ちょうど良かったのかも。[pcm]

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