シナリオ 寺井ルート 8月6日(月曜日)・その1
特訓開始!
一夜明けた。[lr]
いよいよ今日から莉緒と二人だけの特訓。[pcm]
その場所にぼくが選んだのは学園のプールだ。[pcm]
ちょうど水泳部が合宿でいないため、
学園長の許可を得て使わせてもらうことにした。[pcm]
真緒「はい」[pcm]
莉緒「おはよう真緒くん」[pcm]
真緒「ああ、おはよう」[pcm]
莉緒「どこでやることにしたの?」[pcm]
真緒「学園のプールを使わせてもらえるようにしたよ」[pcm]
莉緒「学園のプール」[pcm]
真緒「嫌か?」[pcm]
莉緒「嫌じゃないわ……ただ、見られないかなって」[pcm]
真緒「大丈夫だよ。それに見られたっていいじゃないか」[pcm]
莉緒「それもそうね」[pcm]
真緒「ああ、遊んでたって言えばいいしさ」[pcm]
莉緒「でも笑えるわね。魔王と一緒に特訓だなんて」[pcm]
真緒「そうだな」[pcm]
真緒「まぁ、行こうか」[pcm]
莉緒「うん」[pcm]
プールサイド。[lr]
着替えに行った莉緒を待ってるんだけど……[pcm]
照りつける太陽で地面が焼けてる。[pcm]
足が──痛い。[pcm]
ええい、莉緒はまだか!?[pcm]
莉緒「お待たせ」[pcm]
真緒「お、来たか」[pcm]
莉緒「良い天気ね」[pcm]
真緒「だな。泳ぐには絶好の日だ」[pcm]
莉緒「あたしには分からないわ」[pcm]
真緒「すぐに分かるようになるさ」[pcm]
莉緒「ん……」[pcm]
真緒「じゃあ始めようか。まずは水に入れるようにならなきゃな」[pcm]
莉緒「……どうするの?」[pcm]
真緒「どうするって、とにかく最初は水に体をつける事から始めようか」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
真緒「お風呂に入るみたいなもんだと思えばいいんだよ。
お風呂には入れるだろ?」[pcm]
莉緒「入れるけど……あれはお湯じゃない」[pcm]
真緒「うん」[pcm]
莉緒「でも水は無理よ」[pcm]
真緒「ま、とにかくやってみようか。まずは足だけでもさ」[pcm]
莉緒「そうね……」[pcm]
先にぼくが足をプールに入れる。[lr]
足が熱くなっていたから気持ち良い。[pcm]
真緒「まずは足首まで入れてみようか」[pcm]
莉緒「う、うん……やってみる」[pcm]
真緒(お、いける?)[pcm]
と思ったが、すぐに足を離した。[pcm]
莉緒「……だめ、だめよ」[pcm]
真緒「無理か?」[pcm]
莉緒「……こわい」[pcm]
真緒「そうか」[pcm]
莉緒「……ごめんね真緒くん」[pcm]
真緒「謝る事ないってば、すこしずつ慣れていけばいいんだよ」[pcm]
莉緒「……うん、でも、ほんとはここにいるだけでも怖いの」[pcm]
真緒「プールサイドにいるだけで怖い?」[pcm]
莉緒「このプールに引っぱりこまれたらどうしようって、
そんなことばっかり考えちゃうの」[pcm]
真緒「なるほど……でもぼくはそんな事しないぞ」[pcm]
莉緒「分かってるわ。でもこれはずっとこうだから、誰といてもそう思うの」[pcm]
真緒「……そうか」[pcm]
ぼくは高い所が苦手だけど、それと同じようなものだろうか。[pcm]
落ちたらどうしようとか考えると怖くなって、今の莉緒みたいになる時がある。[pcm]
もうここにはいたくないって、そう思う時が。[pcm]
真緒「よし、今日はここにいるだけにしとこう」[pcm]
莉緒「え? それが特訓?」[pcm]
真緒「ああ、水の近くにいるだけでも莉緒には大変だろうしな。
ただ炎天下だから、屋根のある見学席に移ろうか」[pcm]
莉緒「うん」[pcm]
真緒「そこで話でもしよう」[pcm]
莉緒「うん、でもそれでいいのかな?」[pcm]
真緒「大丈夫だよ、焦らずにさ」[pcm]
初日はこれで良いだろう。[pcm]
こうして水嫌いを克服しようと前向きになっている事だけでも大前進だしな。[pcm]
そう、別に十日に間に合わなくたっても良い。[pcm]
少しずつ、莉緒に無理のないペースでやっていけばいいと思う。[pcm]
莉緒「真緒くん?」[pcm]
真緒「あ、それじゃ行こうか」[pcm]
学園長「真緒ちゃんと莉緒ちゃん、上手くやってるみたいね」[pcm]
寮長「はい、楽しそうですね」[pcm]
学園長「うまくいくといいけど、私は複雑ね」[pcm]
寮長「………」[pcm]
最終更新:2010年07月12日 01:46