Ａ-８／１０-3

シナリオ　寺井ルート　８月１０日（金曜日）・その３

　特訓の成果は……

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莉緒「お待たせ」[pcm]

真緒「いや、待ってないよ」[pcm]

莉緒「ね、真緒くん」[pcm]

真緒「ん？」[pcm]

莉緒「みんなの所にいくの？」[pcm]

真緒「いや、それをどうしようかなって」[pcm]

莉緒「昨日の続きするんだよね？」[pcm]

真緒「うん、だから二人きりがいいよな」[pcm]

莉緒「……うん」[pcm]

真緒「じゃあ、反対側の浜に行ってみるか」[pcm]

莉緒「えへへ」[pcm]

真緒（ご機嫌だな……）[pcm]

誰もいない砂浜。[lr]
八十記たちからも大分離れた所だろうし、
二人で練習するにはもってこいの場所だ。[pcm]

そして今日、もし泳ぐ事が出来たのなら、莉緒にちゃんと謝ろうと思う。[pcm]

本当なら昨日の時点でそうすべきだったのかもしれない。[pcm]

でもそうしなかったのは、ぼくが原因でなった水嫌いをまたぼくとの時間で治して欲しい。[pcm]

そしてそれが出来て初めて、謝罪が出来るんじゃないかと思ったからだ。[pcm]

莉緒「綺麗ねぇ」[pcm]

真緒「ああ、ほんとにな」[pcm]

莉緒「特訓する？」[pcm]

真緒「うん、でも海は平気か？」[pcm]

莉緒「うーん」[pcm]

真緒「プールとは違うからな」[pcm]

莉緒「真緒くんが側にいてくれたら大丈夫だよ」[pcm]

真緒「なら大丈夫だ。やろうか」[pcm]

莉緒「うん」[pcm]

当たり前のように手をつないで、ぼく等は海へと入る。[pcm]

真緒「平気か？」[pcm]

莉緒「う、うん、まだ浅いし平気」[pcm]

真緒「プールとは違って波があるからな。
後、海水は口に入らないようにしないと」[pcm]

莉緒「どうして？」[pcm]

真緒「いや、喉が痛いんだ」[pcm]

莉緒「そうなんだ」[pcm]

真緒「ま、すぐに経験すると思うよ」[pcm]

莉緒「うん？」[pcm]

真緒「ん、この辺でいいだろ」[pcm]

莉緒の腰辺りまで海水が来た所でぼくは立ち止まる。[pcm]
これくらいの深さがあれば泳ぐ事も出来るだろう。[pcm]

真緒「莉緒、今日泳いでみるか？」[pcm]

莉緒「え？　でも？」[pcm]

真緒「あ、無理にとは言わないよ」[pcm]

莉緒「ううん、頑張るわ」[pcm]

真緒「そっか、それじゃ」[pcm]

莉緒「どうすればいいの？」[pcm]

真緒「莉緒から少し離れるから、その距離を泳いで欲しい」[pcm]

莉緒「で、でも泳ぎ方知らないよ」[pcm]

真緒「それは適当でいいよ、犬かきでも何でもさ。
手と足をバタバタさせてりゃ前に進むから」[pcm]

莉緒「……もう、適当ね」[pcm]

真緒「泳ぎ方は後でちゃんと教えるよ」[pcm]

莉緒「で、でもいきなり泳ぐなんて……」[pcm]

真緒「大丈夫だって、そんなに離れたりしないから」[pcm]

莉緒「う、うん」[pcm]

真緒「もし無理だったらすぐに立ち上がればいいから」[pcm]

莉緒「う……うん」[pcm]

莉緒「で、でも流されたりしない？」[pcm]

真緒「だ、大丈夫だって、そうなっても助けてあげるからさ」[pcm]

莉緒「分かったわ」[pcm]

真緒「じゃ、手離すぞ」[pcm]

手を離して、後ろ向きでほんの少し距離を取る。[pcm]

五メートルくらいだろうか。[pcm]
だいたいその辺りでぼくは立ち止まった。[pcm]

真緒「ここまでだ」[pcm]

莉緒「と、遠いよ真緒くん」[pcm]

真緒「大丈夫、莉緒ならできるよ」[pcm]

莉緒「で、でも怖い……怖いよ」[pcm]

真緒「莉緒」[pcm]

莉緒「な、なに？」[pcm]

真緒「莉緒に話さなきゃいけない大事な事があるんだ」[pcm]

莉緒「え？　なによいきなり？　なんの話？」[pcm]

真緒「ここまで泳いで来たら話すつもりだ」[pcm]

莉緒「大事な？　な、なんの話？？」[pcm]

真緒「ここまで来たらちゃんと話すよ」[pcm]

莉緒「……真緒くん」[pcm]

莉緒は目を閉じて、ゆっくりと顔を海に沈めていく。[pcm]
そして、前へ前へと手足をばたつかせ泳ぎ始めた。[pcm]

真緒（おお、進んでるな）[pcm]

泳いでいるというより、おぼれてもがいてるような莉緒だったが、
それでも確実に前に進んでいる。[pcm]

ぼくとの距離も、あとほんのわずかだ。[pcm]

真緒「莉緒！」[pcm]

莉緒「ぷはっ！？」[pcm]

真緒「よく頑張ったな！　泳げたぞ！！」[pcm]

莉緒「え？　あたし？　できたの？」[pcm]

真緒「ああ、だってここにいるだろ？」[pcm]

莉緒「え？　あたし泳げたの？」[pcm]

真緒「ああ、泳げたんだ！　やったな莉緒！」[pcm]

莉緒「やったわ！　真緒くんのおかげね！」[pcm]

真緒「いや、莉緒が頑張ったからだよ」[pcm]

莉緒「ううん、ありがとう」[pcm]

真緒「うん、ぼくの方こそ」[pcm]

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