シナリオ 寺井ルート 8月11日(土曜日)・その2
私のヒーロー
雨の街に到着。[pcm]
二人で傘を差し、まばらな通りを並んで歩く。[pcm]
真緒「雨だから気温下がってるな」[pcm]
莉緒「そうね。ジメジメもしてないし、ちょうどいいわね」[pcm]
真緒「ああ、こんな日も悪くないな」[pcm]
莉緒「そうね、今ならそう思えるわ」[pcm]
真緒「……なぁ莉緒、その傘って自分の家の傘なのか?」[pcm]
莉緒「そうよ」[pcm]
真緒「雨具メーカー令嬢か、凄いよな」[pcm]
莉緒「なにも凄くなんかないわ。私はただの女よ」[pcm]
真緒「あれ? テラリオンは止めたの?」[pcm]
莉緒「ま、魔王がいなくなったから引退よ!」[pcm]
;memo,引退したが見た目はすぐに変えてない事を真緒が突っ込む。
真緒「そうか、引退か……」[pcm]
莉緒「な、なによ! ニヤニヤしないでよ!」[pcm]
真緒「いや、別にニヤニヤなんて」[pcm]
莉緒「もう……」[pcm]
真緒「はは」[pcm]
莉緒「あら?」[pcm]
急に莉緒が足を止めた。[pcm]
真緒「どうした?」[pcm]
莉緒「あの子、雨宿りしてるのかな?」[pcm]
指を差した場所に目をやると、シャッターが閉まった店先で小さな女の子が一人たたずんでいた。[pcm]
物憂げに雨の空を見つめている。[pcm]
でも、あの子……どこかで見たような。[pcm]
真緒「ああ、傘持ってないみたいだな」[pcm]
莉緒「そうみたいね」[pcm]
真緒「しばらく止まないだろうし、傘買ってきて渡してあげようか?」[pcm]
莉緒「それもいいけど、大丈夫よ。ちょっと待ってて」[pcm]
真緒「え?」[pcm]
莉緒がその子へと歩いていく。[lr]
どうするつもりだろ?[pcm]
莉緒「ねぇ、雨宿りしてるの?」[pcm]
女の子「うん……なくしちゃったの」[pcm]
莉緒「なくしちゃったんだ」[pcm]
女の子「お気に入りの傘だったのに……ひぐっ」[pcm]
莉緒「泣かなくていいわよ。きっと見つかるわ」[pcm]
女の子「ほんと?」[pcm]
莉緒「ええ、私の傘を貸してあげるから探しておいで」[pcm]
女の子「お姉ちゃんの傘?」[pcm]
莉緒「ええ、これよ」[pcm]
女の子「あ! この傘! あたしのと色が違うだけだよ!」[pcm]
莉緒「そうなの? ありがとうね」[pcm]
女の子「え? ありがとう?」[pcm]
莉緒「ううん、いいのよ。それじゃあ、その傘あげる」[pcm]
女の子「でも……お姉ちゃん濡れちゃうよ?」[pcm]
莉緒「いーのいーの。私には傘を差してくれる人がいるから濡れないんだよ?」[pcm]
女の子「え」[pcm]
莉緒「それじゃあね」[pcm]
戻ってきた莉緒がぼくの傘に入って来た。[pcm]
そして女の子に笑顔で手を振ると、女の子もまた笑顔で手を振り返してきた。[pcm]
真緒「優しいな」[pcm]
莉緒「なんかね、昔の自分を思い出しちゃってほっとけなかったの」[pcm]
真緒「なるほどね」[pcm]
莉緒「そ、それに相合傘もできるし……」[pcm]
真緒「まぁ……ちょっと恥ずかしいけどな」[pcm]
莉緒「えへへ、いいじゃない! さぁいこっ!」[pcm]
真緒「ああ」[pcm]
莉緒「真緒くん」[pcm]
真緒「おい、濡れるぞ?」[pcm]
莉緒「大好き!」[pcm]
最終更新:2011年05月22日 17:59