シナリオ 7月22日(日曜日)・その6d
喪失感
芽衣子「………」[pcm]
真緒様が私を見ている。[pcm]
でもそれは一瞬の事だった。[lr]
今はもう寮長たちに話しかけていて、私の方は見ていない。[pcm]
しばらく視線を送っても私に気がついていない。[pcm]
芽衣子「………」[pcm]
急に胸の痛みを覚え、視線を真緒様からそらす。[pcm]
辺りを見渡すと、楽しそうに応援に答える子と応援する人たちでいっぱいだった。[pcm]
私の隣に並んでいる子の視線を追ってみると、クラスの子と両親に手をふっている。[pcm]
隣の子だけじゃない。[lr]
他の子もたぶんみんな、同じように……[pcm]
私だけが、誰からも見てもらえずに一人浮いている。[pcm]
私の両親は仕事で来ていない。[lr]
それは仕方がない事。[lr]
だけど……寂しい。[pcm]
それ以上に寂しくて悲しいのは、
クラスの子や寮のみんな、オルトロスに真緒様までもが私を見ていないということ。[pcm]
芽衣子「まおさ、ま……」[pcm]
芽衣子「オル……ス……」[pcm]
こんなに多くの人が周りにいるのに……[lr]
どうして、どうして孤独な気持ちになるんだろう。[pcm]
……分からない。[lr]
でも、苦しい……悲しい。[lr]
胸が、痛くて、張り裂けそう……[pcm]
芽衣子「ま、おさま、たすけ……」[pcm]
芽衣子「た……」[pcm]
芽衣子「あ、う、うぅ……」[pcm]
莉緒「ちょ、ちょっと真緒くん! あの子おかしいわよ!」[pcm]
寮長「泣いて……ませんか?」[pcm]
和「周りの子が慰めてるぜ?」[pcm]
真緒(………)[pcm]
真緒「……ちょっと行ってくる」[pcm]
真緒「岸岡」[pcm]
芽衣子「……ひぐっ」[pcm]
寮長の言った通り、岸岡は泣いていた。[pcm]
周りの子が慰めようと声をかけているが、岸岡には届いていない様子だった。[pcm]
真緒「岸岡、大丈夫か?」[pcm]
芽衣子「……う、う」[pcm]
真緒「岸岡!」[pcm]
芽衣子「あ……」[pcm]
芽衣子「まおさま! まおさまぁああ!」[pcm]
ぼくの姿を認めた直後、大声をあげ泣き叫ぶ。[pcm]
オルトロスの事で泣いているのかそうでないのかは分からない。[pcm]
とにかく異常な事態だという事はぼくだけでなく、この場にいる全員が分かった。[pcm]
真緒「落ち着け岸岡」[pcm]
芽衣子「いや、いやぁあああああ」[pcm]
取り乱す岸岡。[lr]
もう競技がどうとか言ってる場合じゃない。[pcm]
保健室へ連れていこう。[pcm]
寮長「先生!」[pcm]
真緒「良い所に来てくれた。これから岸岡を保健室に連れて行くから」[pcm]
寮長「ええ、競技の方は私が」[pcm]
真緒「うん、ありがとう」[pcm]
芽衣子「う、う……」[pcm]
真緒「岸岡、歩けるか? 行くぞ」[pcm]
芽衣子「ま、おさまぁ……」[pcm]
最終更新:2010年07月19日 20:56