捨て猫
※芽衣子が真緒に惚れた瞬間を書いてみたかた
;夕暮れ校舎前or寮敷地入り口
芽衣子「真緒様」
真緒「おう」
芽衣子「帰られる所ですか?」
真緒「うん、岸岡もか?」
芽衣子「はい」
真緒「そっか。じゃ、一緒に帰るか?」
芽衣子「はい!」
真緒「今日は遅くまで残ってたみたいだけど、岸岡は部活に入ってないよな?」
芽衣子「え……はい」
真緒「ま、あんまり遅くならないように帰るんだぞ。
治安が良いっていっても、何が起こるか分からないしな」
芽衣子「私は心配してくださってるのですね」
真緒「当たり前だよ」
芽衣子「ですが私なら大丈夫です。どのような相手が襲ってきても、
この冥界で鍛えた剣と使い魔がおりますゆえ」
;にゃー
真緒「………」
芽衣子「ですが、やはり私の力が一番に発揮されるのは魔王様のお側にいる時だと思いますので……」
真緒「それはまぁ置いといて、時間が合えば一緒に帰ろうか」
芽衣子「はい!」
真緒「でもさ」
芽衣子「はい」
真緒「ここって広いよね」
芽衣子「そう、ですか? 特に広いとは思いませんが」
真緒「みんな慣れてるというか当たり前だからなんだろうけど、
ぼくなんかには広すぎるよ」
芽衣子「はぁ」
真緒「実は昨日ちょっと迷子みたいになっちゃってね」
芽衣子「敷地内でですか?」
真緒「うん」
芽衣子「真緒様が迷子など……考えられませぬ」
真緒「いやぁ、いつも真っ直ぐ帰ってるんだけど、
昨日はちょっとね」
芽衣子「……何かあったのですか?」
真緒「まぁ、そんな所」
芽衣子「それはもしや……」
真緒「残念ながら岸岡の考えてる事とは違うかな」
芽衣子「ですか……」
真緒「岸岡も行ってみる?」
芽衣子「え」
真緒「オルトロスもいる事だしね」
芽衣子「真緒様?」
真緒「ちょっと寄り道になっちゃうけど、どうする?」
芽衣子「はい! 芽衣子はどこへでもついていきます!」
真緒「じゃ、行こう」
;寮敷地内
芽衣子「ここですか? 一見、何も見当たりませんが」
真緒「この辺りにたぶん……」
;ニャー
芽衣子「あ」
真緒「いたみたい」
芽衣子「猫が二匹」
真緒「昨日この猫をふらふらと追いかけてたら迷子にね」
芽衣子「そうだったのですか」
真緒「そうだ、岸岡はこの猫に見覚えとかある?」
芽衣子「いえ、初めて見ます」
真緒「そっか、やっぱ野良猫か」
芽衣子「捨て猫」
真緒「なのかな。可愛そうだよな」
芽衣子「………」
真緒「でも岸岡が見た事ないなら、昔からいたわけじゃないっぽいな」
芽衣子「真緒様」
真緒「ん?」
芽衣子「真緒様は猫がお好きなのですか?」
真緒「ああ、好きだぞ。猫も犬も」
芽衣子「………」
真緒「岸岡も猫好きだろ?」
芽衣子「……え? あ、はい」
真緒「可愛いよな。癒されるよ」
芽衣子「その猫も真緒様になついていますね」
真緒「ん~だと良いけど、これはたんにおねだりしてるだけの気が……」
芽衣子「おねだり?」
真緒「あまりしちゃいけないんだろうけどね」
芽衣子「あ、キャットフード」
真緒「うん……この子たち痩せてるだろ?
昨日もフラフラしててさ、見てられなくて」
芽衣子「……お優しいのですね」
真緒「いや、飼う気もないならこんな事をしちゃいけないだろうしね。
却って酷な事をしてるのかもしれない」
芽衣子「そんな事、そんな事ありません!」
芽衣子「真緒様の慈悲に芽衣子は深く感動してますから」
真緒「ありがと岸岡」
芽衣子「そんな……素直な気持ちを言ったまでです」
真緒「でも、ずっとこうやって餌をあげられるわけじゃないしな。これから暑くなるしさ、何とかしてやりたいんだけど、
引き取り手を捜す位しかできる事はないか」
芽衣子「真緒様、寮で飼えばよろしいのではありませんか?
使い魔として芽衣子が面倒を見ますし」
真緒「……んー」
芽衣子「駄目でしょうか?」
真緒「最初は思ったけどね、原則でペット禁止なんだよ。オルトロスは特例ってだけで」
芽衣子「そう……ですか」
真緒「まぁそう暗い顔せずにさ、ぼくも学園長や音河先生に聞いてみるよ」
芽衣子「はい!」
真緒「うん、それじゃ今日は帰ろうか」
~~~翌日
;学園廊下
真緒「……やっぱり駄目か。まぁ当然の結果だ」
芽衣子「真緒様」
真緒「お、どうした」
芽衣子「寮で飼う事はできそうですか?」
真緒「残念ながら……」
芽衣子「そう、ですか」
真緒「でも、引き取ってくれる人がいるかもしれないしさ。
なんとか探してみるよ」
芽衣子「芽衣子が引き取ります」
真緒「え? 岸岡が?」
芽衣子「はい」
真緒「いや、でも、寮では無理だから」
芽衣子「いえ、私の実家です。
昨晩、両親に電話で話しまして」
真緒「引き取ってくれるのか?」
芽衣子「はい、父も母も猫好きですから」
真緒「そうか! 良かったな!」
芽衣子「はい、芽衣子もとても嬉しく思います」
真緒「いや、ありがとうな岸岡」
芽衣子「お礼など……僕には過ぎた言葉です」
芽衣子「ですが真緒様、一つだけお願いがあります」
真緒「おお、遠慮なく言ってくれ」
芽衣子「その……時々、猫の様子を見に来て欲しいのです……」
真緒
「もちろんだよ」
芽衣子「本当ですか? その時は芽衣子と一緒に実家に来てくださりますよね?」
真緒「え……あ、ああ、そうなるね」
芽衣子「ふふ、嬉しいです」
真緒「………」
芽衣子「さっそく具体的な計画を立てませんか?
夏休みを利用して、一週間程芽衣子の家に来るなどはどうです?」
真緒「ちょ、ちょっと待て。それはまた追々話そうか」
芽衣子「一週間では不満ですか……でしたら二週間……」
真緒「………」
芽衣子「いっその事、夏休み丸々真緒様をわが家に……ぶつぶつ」
真緒「さ、先に行くぞ」
芽衣子「あ、お待ちを!」
おしまい
最終更新:2010年08月29日 11:32