D-8/3-1

シナリオ 8月3日(木曜日)・その1

 無視

そして朝。
昨日のドタバタが嘘のような静かな朝。

ちゅんちゅんと泣く小鳥の声に耳を傾け、
ぼくは起き上がらないまま考えていた。

昨日の岸岡の事を。

真緒「………」

だけど、いくら考えた所で答えが出るはずもない。
とにかく、岸岡の所へ行かなくちゃ何も進まない気がする。


※廊下

真緒「あ」

廊下に出てすぐだった。

もしかして、以前みたいに起こしに来てくれたんだろうか?
いやでも、この顔は……

真緒「おはよう岸岡、ちょうど岸岡の所へ行こうとしてたんだ」

芽衣子「………」

冷めた眼差し。
それも、ほんの少しだけぼくを見た後は視線を外す。

真緒「岸岡あのさ、昨日の事を話そうか」

芽衣子「………」

真緒「あ」

何も言わないまま、ぼくの横を足早に通り過ぎていった。

ぼくに対する明らかな無視。
今までが今までだったせいか、ぼくは辛かった。

たしかに昨日は悪かったのかもしれない。
でもそれは、お互いのためだからだと思ってぼくは……

奏「センセおっはっよ」

せえら「なに廊下の真ん中で突っ立ってますの」

真緒「あ……」

奏「センセ? なんか泣きそうだよ?」

せえら「な、なんですの??」

真緒「え……そんな顔してる?」

奏「うん……」

せえら「なにがあったんですの? 岸岡のことはもう済んだですのに」

真緒「いや、それが……」

奏「メーコとなんかあったの?」

真緒「………」

せえら「なんですの?」

ここで二人に言ってしまおうか。
昨日教会で岸岡とあった事を。

でもそうしたらますます岸岡に──

奏「センセ!」

真緒「あ、いや、なんでもないんだ」

せえら「そうは見えにゃーですわよ」

真緒「ほ、ほんとだって。ちょっと疲れて寝不足でさ、あくびがいっぱいでその」

奏「嘘は嫌いだし」

真緒「う、嘘じゃ」

せえら「まぁカナちゃん、今はお腹も空きましたし後でいいですわ」

奏「そだね。でもセンセ、ちゃんと話して欲しいし」

真緒「あ、ああ」

真緒(……鋭いというか、ぼくの嘘が下手なのか?)

せえら「では食堂へ行きますわよ。センコーも行きますわよね?」

真緒「そうだな、そうしようか」

奏「じゃ、いこ!」




 Back    Next




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年09月12日 18:29
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。