お嬢様の勘違い

お嬢様の勘違い


(ファイル整理で出てきた。いつ書いたんだろww)

;携帯着信音
;真緒部屋

真緒
「ん、誰だろ?」

真緒
「はいもしも…おお、お前か、元気だったか? そういや結婚したんだってな」

真緒
「え? 子どもが出来た? おお、おめでとう。男?女?」

真緒
「まだ分からないかぁ、どっちだろうな」

真緒
「お前は女の子がいいのか、でも女の子は色々と大変だと思うぞ」

真緒
「こんな所で働いてるから余計に思うからかもしれないけどさ」

真緒
「んーでもなぁ、やっぱり男の子がいいな」


;廊下




「エッ!!」


「な、なに? 今のセンセの声だよね?」



真緒
「いやいや、男の子の方が可愛いと思うぞ? ぼくは男の子が好きだな」




「エッ……センセって、そんな人だったの?」


「せ、せえらちゃんに相談しなくちゃ……」



真緒
「ん、じゃあな。また連絡してくれ」

真緒
「さてと、ご飯でも食べに行くか」




;食堂




「あ……来たし」

せえら
「………」


「やあ、噂をすればだな」

真緒
「ああ、おはよう」

真緒
「ってなんだ? どうかしたのか?」

せえら
「かなちゃんから聞きましたわよ」

真緒
「何を?」

せえら
「先ほど部屋で電話していたことをですわ」

真緒
「あ、北上聞いてたのか?」


「た、たまたまだし。聞こえちゃっただけだし」


「ふふ、そうか、そうだったんだなキミ」

真緒
「ん? でもそれがどうした?」

せえら
「どうしたじゃありませんわ! 事実ですの?!」

真緒
「んん?」

せえら
「ですから、男がいいとか言ってたらしいじゃにゃーですか」

真緒
「あ、ああそれか。うん、男が良いなぁ」


「うほっ」


「………」

せえら
「そ、そんな……」

真緒
「まーほら、一緒に遊べるだろ?」

せえら
「あ、遊ぶ……」

真緒
「ああ、ぼくが子どもの頃から使ってるボールとかバットあるから、それを使って一緒にさ」

せえら
「な、ななななな」


「……愛用品というわけか」

真緒
「ああ、手入れはバッチリだ」

せえら
「な、なななな」

真緒
「あ、でもあれだな」

せえら
「な、なんですの?」

真緒
「しばらくそんな遊びは無理か」

せえら
「あ、当たり前ですわ!!!」

真緒
「ぼくのバット重いし、当分持てないだろうなぁ」

真緒
「それにすげー硬いしな」

せえら
「な、ななななな…」

真緒
「そうだ、見てみるか? 凄い良いバットだぞ?」


「うほっ」

せえら
「な、なにを……」

真緒
「それじゃ部屋に」

せえら
「行くわけにゃーですわ!!」


「……

真緒
「な、何怒ってるんだよ八十記は?」

せえら
「し、信じられにゃーです……

真緒
「んん?」


「なぁキミ、いつからそう思うようになったんだ?」


「……ずっと前からなの?」

真緒
「いつから…か。やっぱり大学で教育実習受けた頃かな」


「大学って、じゃあ最近じゃん!」

真緒
「ああそうだな、小学校とか行った時にこいつら可愛いなってね」

せえら
「しょ、小学生」


「小学生だと……」

真緒
「ああ、言い方は悪いけど、馬鹿だから可愛いっていうのかな」

せえら
「…


「…


「…

真緒
「いつかぼくも、パパとかお父さんとか呼ばれる日が来るのかなぁ」

せえら
「ちょ、ちょっとセンコー!? 小学生になに言わせようとしてますの!!」


「キミぃ」


「…

真緒
「ん、さっきから何怒ってるんだよ? 八十記は嫌いなのか?」

せえら
「え、な、何がですの」

真緒
「だから、男の子か女の子どっちが良いのかって」

せえら
「そ、それは当然男ですけれど……」

真緒
「北上と阿部高は?」


「あ、アタシもそだけどさぁ…


「聞くまでもないだろ?」

真緒
「お! お前らもそうなのか。でもあれだな、阿部高は分かるけど、八十記なんか女の子かと思ったよ」

せえら
「な!?」

真緒
「北上も言われてみればそうだよな」


「あ、当たり前だし!」

真緒
(ロックな息子に、とか思ってそうだ)

せえら
「ちょ、ちょっとセンコー!? どういうことですの!?
わ、わたくしがどうして女の子を!!」

真緒
「あ、いや、なんとなくだってば。そう怒る事でもないだろ」

せえら
「怒りますわよ!! センコーはわたくしをそういう目で見てたわけですのね!!」

真緒
「そういう目?」

せえら
「……ま、まさか、わたくしとかなちゃんをそういう風にと?」


「ええっ!?

真緒
「なんの事だよ」


「せ、せえらちゃんとは仲良しだけど、そんなのって……ダメだよ」

せえら
「か、かなちゃんも照れるなですわ!!」

真緒
「何言ってるのかサッパリだ」


「ふ、混乱してるのさ、目の前の現実を受け止められなくてな」

真緒
「……阿部高の言ってる事もサッパリだぞ?」


「ふ、キミの方こそ平然としてるが大丈夫なのかい?」

真緒
「あっと、そうだな。いつまでもここにいちゃまずいな。
部屋に戻って仕事するよ、テストも近いしお前らも勉強しとけな」

真緒
「それじゃ」


せえら
「…


「…


「俺にとっちゃ追い風だな、ふふ」


──翌日
ぼくがホモだという噂が学園中を飛び交った。

必死で否定すればする程、疑惑の目を向けられる有様で、
なんとか職員とクラスの子の誤解を解けたのは帰る間際の事だった…。


そして寮に帰宅後──

せえら
「はぁ……ホットしましたわ」

真緒
「なんでいきなりあんな噂が……」

せえら
「なんでもなにも、昨日話したじゃにゃーですか!」

真緒
「昨日?」

せえら
「ですから、男が好きだとわたくしたちに」

真緒
「ああ、そういえば~ってもしかしてそれでなのか!」

せえら
「そ、そうですわ」

真緒
「おま、あれは将来自分の子が男か女だったらどっちが良いかって話だぞ!」

せえら
「そ、そうでしたの? わたくしたちはてっきり……」

真緒
「男好きだと思ったわけか……」

せえら
「まったくかなちゃんと来ましたら……」

真緒
「まぁ、もうしょうがないか」

せえら
「ですけど、ホモだという噂はなかなか消えないかもしれませんわよ」

真緒
「まぁ、しばらくは言われそうだけど、寮の皆やクラスの子の誤解が解けたならいいよ別に」

せえら
「……」

真緒
「な、なんだよ」

せえら
「やけにアッサリしてますわね。もしかして本当にそーなんじゃにゃーですの?」

真緒
「ば、馬鹿な事言うな! ぼくはノーマルだ!」

せえら
「……ま、いいですわ」

真緒
「でもあれだな、せっかくの女子学園なのにそんな噂が広まるのも空しいな……」

せえら
「なに下らないこと考えてますの。そんなものなくてもセンコーはもてにゃーです」

真緒
「おま…ハッキリ言わなくても」

せえら
「ふふ、逆に好都合ですわ」

真緒
「好都合なものか、ますますもてなくなるのに」

せえら
「ま、まぁ、センコーがどーしてもすぐに噂を解消したいなら、手がないというわけではありませんわよ?」

真緒
「お、ほんとか?」

せえら
「え、ええ」

真緒
「なんだ、教えてくれ」

せえら
「そ、そこまで言うなら言ってもかまわにゃーですけど」

真緒
「おう、だから言ってくれ」

せえら
「その…例えばそうですわね、誰かと恋仲になったとしたら、そんな噂はすぐに飛びますわよね?」

真緒
「あーなるほど、たしかにそうかもしれないな。でも、相手がいないしな」

せえら
「で、ですからその、た、例えばというか演技というかですけれど」

真緒
「あ、寮長に頼むとかか?」

せえら
「……え?」

真緒
「あ、でも生徒はまずいな。音河先生あたりだと良いかも。
で、本当にそのうち……フヒヒ」

せえら
「……

真緒
「なーんてな」

せえら
「…

真緒
「って、どうした? なんで怒ってるんだ?」

せえら
「うるせーですわ!! 勝手にしろです!!」

真緒
「お、おい八十記」



──翌日
ぼくのホモ疑惑はより一層広まっていた。

部屋にそんな雑誌があった。
男性職員を見つめていた。

等、根も葉もない噂が。
その噂を流している犯人はどうやら八十記らしい。

まったく、何を考えてるんだか……。
見つけたら問い詰めてやる。

っと、噂をすれば。

真緒
「おい八十記!」

せえら
「あら、変態センコー」

真緒
「お前が犯人らしいな、いったいどういうつもりだ!」

せえら
「どういうつもり? それはわたくしの台詞ですわ」

真緒
「なんだと」

せえら
「舎弟というものは、常に上に従っていればいいものですわ」

真緒
「意味が分からないぞ」

せえら
「う、うるさいですわね。とにかくそういうことですわ」

真緒
「なんでもいいから嘘を言うのは止めてくれ。それで誤解を解いてくれ」

せえら
「嫌ですわ」

真緒
「……はぁ、しょうがない。本当に音河先生に頼むか」

せえら
「え?」

真緒
「昨日八十記が言ってたあれだよ。もうそれしかないだろ」

せえら
「で、ですけどこんなに広まってちゃもう遅いですわ」

真緒
「そうかもしれないけど、このままじゃ色々とまずいしさ。
PTAや保護者の耳に入って、下手すれば首だ」

せえら
「そ、そんな」

真緒
「それは避けたいしな。音河先生も同情してくれてるから引き受けてくれそうだしさ」

せえら
「え……」

真緒
「ちょっと頼んでくるか」

せえら
「わ、分かりましたわ!」

真緒
「何が?」

せえら
「ヘッドとして、少し狭いことをしましたわ。ええ、噂を止めてきます」

真緒
「ほんとか?」

せえら
「ええ、わたくしとしたことが、恥ずかしいことをしてしまいましたわ」

真緒
「ありがとう…って、だいたいなんで噂を広めたんだ?」

せえら
「それはセンコーが……」

真緒
「ぼくが何かしたか?」

せえら
「……ああもううるさいですわね! とにかく噂を止めてくるですから、センコーも余計なことせずに待ってろですわ!!!」

真緒
「わ、分かったから怒鳴るなって」

せえら
「……ふん」

真緒
「ったく」


──放課後
八十記の言う通り、噂は収まった。
ホッとしたものの、なんでこんな事をしでかしたのかが分からない。
まったく、わけがわからん子だ。

ほんと、しっかり見ていかなくちゃな……。




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最終更新:2010年12月30日 11:22
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