85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/16(月) 08:37:48.28 ID:8YOwPzhGO [2/7]
お題
  • もし友ちゃんがタカシの事が好きだったら

  • ツンデレタカシ争奪戦(友ちゃん含む)

  • ツンデレ達→タカシ←友ちゃん←山田
(矢印の方向は好きな人の方に向いてる)

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/16(月) 15:31:00.39 ID:74th7+Nv0 [2/2]
85 
お題回収できたかアレだが書くだけ書いた。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2029.txt




 生徒会長になってから、ずっと思っていることがある。
「会長、書記のほうで資料まとめときました」
 後輩の一年生、かなみがツインテールを結びなおしながら呟けば、
「……さっき副会長……リナさんに渡しておきましたので」
 同じく双子の姉(あれ、妹?)のちなみも、手櫛で髪を整えていた。
「ああ、お疲れさま」
 どうやら、書記のちなかな姉妹は、もう仕事を終わらせたらしい。
 そしてチェックとして渡された副会長のリナは、
「終わりましたわ」
 チェック終了だそうだ。
「おつかれ……てか仕事、早っ!」
 そう、自分が会長になってから思っていたこと、それは――

 ――こいつら有能すぎる。マジで会長要らないだろ!

 ほとんどの仕事を瞬殺してしまうから、行事が近づかなければ仕事などまるでない。
「かいちょ~、仕事終わらない~……」
 いや、前言撤回。ひとりマトモなやつがいた。
 会計の友子。
 オーバースペックな人間しか存在しない生徒会の中で、こいつだけは味方だ。
 といっても周りが異常なだけで、友子も十二分にハイスペックなわけだが。
「どうした、あとは友子が終わったらおやつだぞ?」
「うぅ……がんばる……」
 嘆きながらも、やはりニンジンをぶら下げられると弱いのだろう、さっきよりも幾分ペ
ースが上がってきた。

 さて、友子が仕事をしている間に、俺にもやることがある。
「タカシ、お茶くらい持ってこないか」
「せっかく茶道部から茶菓子を差し入れてやるというのに、気の利かぬ男じゃのう……」
 窓際でくつろいでいる先代会長の尊さんと、副会長の纏さん。
 その二人のお茶を用意することである。従姉妹同士で、家もすぐ隣らしい。毎日とまで
はいかないが、なぜか未だにこうしてちょくちょく居座っているのだ。
「お茶くらいリナに淹れてもらえばいいじゃないっすか……」
「リナは紅茶は上手だが、日本茶は下手だからな」
 めんどくさいからとリナに投げようとすれば大体こんな返しをされる。今日もいつもの
とおりだ。
「……余計なお世話ですわっ! ……どうせタカシと同じ淹れ方したって文句を言い出す
に決まっていますわ」
「そ、そんな事はないぞ。ただ、タカシ淹れたお茶のほうがまだマシだからな。それだけ
だ。他意はないぞ?」
 そしてちょっぴりムキになったリナが尊さんに噛みついて、一瞬尊さんがたじろいでか
ら反論する。
「――んで、その間にお茶が入りましたよっと……実に変わらない日常だ」
「む、頂こう……ぬるいな」
「うむ、まだまだじゃの」
「だったら自分らで淹れてくださいよ……纏さんに至っては実家が茶道の家元とか聞きま
したよ? てことは尊さんだってその家系じゃないっすか。どっちか淹れてくださいよ」
「や、やかましいわっ、ポットと急須で淹れるのは嫌いなのじゃ!」
「そ、そうだっ、茶道とお茶は違うんだ」
「お茶なんだからいいじゃないっすか……」
 人に淹れさせといて何なんだこの人たちは……と思いながら振り返ると、後ろは後ろで
そこには不満そうに頬を膨らませるリナの姿が。
「タカシっ!」
「はいはい分かってる分かってる。リナの分もあるから……」
「わ、分かっているなら良いですわ――ん、やはりわたくしは紅茶派ですわね。……今回
は我慢してさしあげますわ///」
「会長っ」
「……のど、渇きました」
「わ、分かってるって、かなみとちなみのもあるから。そう睨むなって」
「仕方ありません。会長の不味いお茶で妥協します」
「……熱いのは苦手なので、もっとぬるめでお願いします」
 かなみとちなみの双子姉妹(かなみにツインテールを解かれると、外見では見分けがつ
かない)にも茶を出して、ようやくひと段落。

 そして、丁度仕事が終わった様子の友子の前にもお茶を持っていく。
「俺の仕事、完っ全にお茶くみだよな……」
「ありがと~! ……まあ、いいんじゃないかな? 会長のお茶美味しいから」
 愚痴りながら茶を渡すと、唯一まともなコメントをしてくれる友子。素直に感謝してく
れるのは友子だけのようだ。



 友子も仕事が終わったから、あとは今日も残りの時間をダラダラと過ごすだけだ。――
ちなみになぜ居残るのかというと、『生徒会役員は、止むを得ない事情を除き、午後6時
までは不慮の事態に備えて常駐すること』というまったくもって謎な校則による。不備に
備えるのは教職員のやることだろうがっ!
 みんなやることもなく、しばらくまったりとしていたが、俺はといえばひとつ大事な用
を思い出した。
「あ――そうだ、危なく忘れるとこだった。……今日は大事な用があったんだ……友子、
はいこれ、プレゼント」
「え……手紙……会長が……私に?」
 突然手紙を渡され、きょとんとしている友子。
「ああ、たしかに俺が友子に渡してるな」
「あの、……えーっと……もしかして、そういう手紙だったりする?」
「ああ、多分そうかもな」
「え……ふぇ……っ……ホントに!?」
 とりあえず適当に頷いてしまったが、『そういう』ってどういう感じなのだろうか。
 友子が真っ赤になってるから、何かエロいものでも想像したのか――――
「「「「「………………」」」」」
「――え? ちょっ……何で俺が睨まれてんの?」
 ――――エロいものとか想像したのを読まれたのか、呆けている友子以外の全員から、
ほとんど殺気のような視線が突き刺さる。
 五人から睨みつけられ、腹を空かせたライオンの群れにでも放り込まれた気分だ。
「……あの、俺、何かしました……でしょうか?」
 思わず敬語になって聞くと、ちょうど正面にいたリナから、ぶちっ――という音が聞こ
えた気がした。
「胸に手を当てて……よく考えなさい」
「……あの、心当たりがないんですが……もしかして、『友子がアレなものを想像して
赤くなってる』と思ったのが、読まれちゃったりしたんでしょうか?」
「大外れですわこの変態バカシ!」
「――ふぇ……ぇっ!?」
 変態呼ばわりされたあげく、誤爆してしまったらしい。弁解相手のリナには親の敵の
ような目で見られ、友子はさらに真っ赤になってあたふたしている。
「……埒があきませんわね。友子さん、見せて下さる?」
 吐き捨てるようにこちらに言ってのけ、五人そろって背を向けると、友子とその手に
持っている封筒を囲むようにして覗き込んでいた。


『御託を並べても仕方ないので手短に用件だけ書きます。僕と付き合ってください』
「ほ、ほんものだ……」
「「「「「…………っ」」」」」
 手紙を開いて、その中身に息を呑む六人。
 スーパースペック連中とはいえ、やはり年頃の女の子だけあって、色恋沙汰には関心
が高いようだ。『おお~』とか歓声を上げることもなく、殺気立ってるのが少々おかし
い光景だが。
「それで、どうするんですか?」
 なぜか友子ではなく、俺に聞くかなみ。
「いや、俺に聞かないでくれよ。どうするかは本人に聞けって」
「な、何ですかそれ、……はぐらかさないで下さい!」
「え? はぐらかす?」
「わ、私は……どうしよう……?」
 思いっきりかなみに詰め寄られ、友子からは謎の上目遣い。だが、イマイチ状況が理
解できない。

「――……待って下さい」

 しばらくの沈黙で場が凍っていたが、ちなみの声で我にかえったのか、またも全員の
注目が集まった。
「これ、一人称が『僕』です」
 何を言い出すかと思って呆れていたが、なぜか周りがみんな真剣なので、コ○ンの推
理のような空気が発生していた。少々マヌケなのも含めてコ○ンくんの空気だ。 
「いや、手紙ならば普通『僕』と書くのではないか?」
「……いえ、違います尊さん。……これ、筆跡も違います」
「筆跡が違うって……ちなみ、何で筆跡鑑定始めてるんだ?」
「……会長は黙っててください……!」 
「はい……すんません」
「邪魔じゃ、どいておれ」
「纏さんまで……みんな酷いやっ――うわああん!」
 纏さんはおろか、大人しいちなみにまでぞんざいに扱われて、少々ショックを受けた。
 ほどよく不貞腐れた感じを演出しててパソコンでもいじろうと思う。


――――――

「……ですから……これは会長のものではないという結論です」
「「「「「……はぁ」」」」」
 五分ほどして、結論が出たらしい。
 ちなみが謎の会議を締めくくると、五人もため息をついていた。
「あの、これ……結局何なんです?」

「え、ああ、山田に『友ちゃんに渡してくれ!』ってめっちゃ頼まれたか――――あだ
だだっ!? え、えぇ、何コレ!? 何で俺叩かれてんの!?」
「「「「「…………最低っ!」」」」」
 かなみとちなみに抓られ、尊さんと纏さんに竹刀で叩かれ、リナに踏みつけられた。
「会長……」
「あ、友子、お願いだ……助けてくれ」
 そして唯一の救い、友子に声をかける。
「あの手紙の返事ですが…………」
「お、おお」
「今は――――お断りっ!!!」
 べちん!
「――――あだぁっ!? 何で『お断り』で、断られた山田じゃなくて俺がビンタされ
んだよ!?」
「知らないっ!」
 その日、現生徒会が発足して始めて、友子が本気で怒った日となった。



 そして翌日。
「あ、タカシ、友ちゃんに渡してくれた?」
「山田、何も言わずに殴られてくれないか? 今なら六発のところを一発にまけてやる
から」
「え、何言ってるのさタカシ、ちょっ……目が怖いよ?」
「お、お前に……」
「え、何?」
「お前に俺の体験した理不尽を教えてやるっっっ!!!」
「う、うわわっ!? 誰か助けて、会長が狂ったぁぁぁぁぁっ!」
 俺はラブレターなんぞ一生書かないと決めた。
 皆も気をつけよう、手紙は良くないぞ!










――――――続くのか、これ? ……いや、沸けば続くかも。
最終更新:2011年06月20日 22:22