87 名前:1/6[] 投稿日:2012/06/05(火) 00:43:28.15 ID:Liy+GJVG0 [3/9]
お題作成機より:幼馴染・お風呂・夢 ~前編~
「ふぃ~……疲れたぁ…… 今日も練習ハードだったぜ……」
「……そういやお袋、今日から旅行だっつってたな。風呂入るのめんどくせ~…… とり
あえず、一旦寝ちまうか……」
ガチャガチャ、ガチャ。
「あれ? 鍵開いてたんか? おっかしーな……」
ガチャッ。
「誰かいるの? 親父か?」
『あ、お帰り、タカシ』
「どわっ!? かっ……かかかかか……かな姉!?」
『どわっ、って何よ。人を化け物みたいな扱いすんな!!』
「い、いやその……何だってウチにいんだよ。びっくりするじゃんか」
『何よ? あたしがアンタんちにいちゃ悪いわけ? こんな美人のお姉さんが来てあげて
るって言うのにさ』
「ケッ。ふつーそういう事自分で言うかね」
『なっ、何よ。そういう生意気な事言う奴にはこうしてやるんだから』
グリグリグリグリグリグリグリグリ
「あいててててて!! ウメボシやめやめ!! 年老いても相変わらず攻撃力たけーんだから」
『人をババア扱いするな!! 花の女子大生を目の前にしてなんて失礼な。それもまだ未
成年だってのに』
「そこで自分で自分の事を花の女子大生って言っちゃうあたりが痛いんだよな~。しかも、
その言葉自体昭和臭プンプンだし。やっぱババアなんじゃあいふぇふぇふぇ!!」
『これ以上失礼な事言うと、アンタの事ほったらかして帰るわよ。せっかくおばさんに頼
まれて、面倒見に来てあげてるのに』
「テテテ…… 面倒見に……って事は、かな姉が世話してくれるってことか?」
『そーよ。感謝しなさいよね。普通、なかなかいないわよ。いくら幼馴染って言ったって、
こんな風に家に来て世話してくれる女の子なんてなかなかいないんだから』
「別に、世話してくれなんて一言も言ってない気がするんだけど……」
88 名前:2/6[] 投稿日:2012/06/05(火) 00:43:58.75 ID:Liy+GJVG0 [4/9]
『ごちゃごちゃ言うな!! 全く、アンタ一人にしとくと、どうせお風呂もロクに入らず
汚いまんまで寝ちゃったり、ご飯だってコンビニ弁当やカップ麺で済まそうとするでしょ?
そういうのって体に良くないんだからね』
「一応、練習終わったらシャワー浴びてるよ。学校の部活と違って、施設も充実してるし」
『ほぉー。さっすが、プロリーグのユースチームに所属している名選手は、言う事が違うねえ』
「茶化すなよ。同年代でトップチームに上がってる奴だっているし、俺なんてまだレギュ
ラー確約すら出来てないんだから」
『そうやって自分をくささないの。まずは自分なりに努力して精一杯頑張る事が重要なん
だから。そうすれば、結果は必ず後から付いて来るって。それが思うとおりの結果かどう
かは、まあ別としてね』
「何だよ、それ。全然慰めにもなってねーじゃん」
『べっつに、アンタを慰めようとして言った訳じゃないもん。ほら。お風呂沸いてるから、
とっとと入って来なさい。その間にご飯作っとくから』
「飯って……もしかして、かな姉が作んの?」
『何よ、その、もしかしてって。当然でしょ? おばさんに頼まれたんだから』
「いや、だってさ。かな姉の飯って、炭とか謎の粘液の固まりとか……」
『いつの時代の話してんのよ!! あ、あたしだってそれなりにスキルアップしてるんだ
から、ちゃんと料理くらい出来るってば。アンタが言ってんのはそれ、あたしが中学の時
に初めて作った奴でしょ』
「だって、以来かな姉の飯って食った事なかったし……」
『そりゃそうでしょ? 何だってアンタなんかの為に、頼まれもしないのにわざわざ料理
してあげなきゃなんないのよ。意味分かんないし』
「まあ、そうだけどさ。ただ、だから印象にないっていうか、それがトラウマになってるっていうか」
『じゃあ、むしろ楽しみに待ってなさいよ。今日でそのトラウマ、払拭してあげるから。
汚名挽回よ』
「いや、かな姉。それじゃあむしろ、汚名を重ねるだけだから」
『――!! わっ……わざと言ったのよ。そういう誤用、流行ってるみたいだったから……
突っ込む方が無粋だっての』
「へー。女子大生が、ねえ。そんな間違いした上にごまかすとか、超恥ずかしくね?」
89 名前:3/6[] 投稿日:2012/06/05(火) 00:44:22.24 ID:Liy+GJVG0 [5/9]
『う、うるさいわねっ!! いいからとっとと風呂入れってば!! 言っとくけど、衣食
住の権限持たせたら、女は怖いんだからね』
「分かったよ、全く…… しかし何ていうか、色気もへったくれもねえな」
『なっ…… 何よそれ!! どういう意味よ!!』
「いやー。せっかく出迎えてくれるんだったらさ。お帰りなさい。お風呂にする? ご飯
にする? それとも……なーんてやってくれたら、かな姉でもまだ興奮するんだけど」
『そ、そんな恥ずかしい事誰がするか!! 大体そんなの、お嫁さんでもいないっての。
マンガとか萌えアニメの見過ぎじゃないのアンタ。あー、キモイ。キモ過ぎ』
「はいはい。たかが冗談にそこまでムキになって怒んなくてもいいのに」
『うるっさい!! アンタが怒りの琴線に触れるような事言うから悪いのよ。もう、バカ!!』
バタンッ!!
『…………ハァ…… お疲れ様って、労ってあげようと思ったんだけど、なかなか上手く
いかないなあ…… おまけに、色気ないとか言われちゃうし…… あたしってそんなに、
女として魅力、ないかなぁ……』
「ハァ…… また余計な事言っちまったなぁ……」
「いや。こういうのって、環境として恵まれ過ぎって分かってはいるんだけどさ。なんつー
か、かな姉前にすると、つい言っちまうんだよな…… 照れ臭いっていうか……しかも、
去年辺りからどんどん女っぽくなって来てるし……」
『タカシ』
「どわっ!?」
バシャッ!!
『どーしたのよ? 何暴れてんの?』
「何でもない何でもない。つーか、いきなり風呂場に来んなよ。びっくりするだろ」
『男のクセに、何照れてんのよ。バカじゃないの?』
「う、うっせーな。バカって言うなよ。それよか、何の用だよ?」
『うん。あのさ。お湯加減、どうかなって確信しに。熱過ぎたり温かったりしなかった?』
「い、いや。ちょうどいい。っていうか、俺、熱い風呂好きだし」
90 名前:4/6[] 投稿日:2012/06/05(火) 00:44:45.14 ID:Liy+GJVG0 [6/9]
『知ってる。だから、ちょっと熱めにしといたんだけど、昔と好みが変わってるかもって
思ったりもしてさ。でも、前のまんまだね』
「ま、まあこういうのはそんなに変わるもんじゃねーし。つか、用ってそれだけか?」
『ううん。もう一つあるの』
「まだあんのかよ。何だよ、一体」
『あのさ…… えっと、その……』
「何だよ。ハッキリしないな。かな姉らしくもない」
『うっさいわね。ちょっと勇気が必要なのよ。えっと……だからさ。その……言うわよ?』
「早くしろって。焦らされるの、好きじゃねーし」
『わ、分かったわよ。もう…… えっとね。あの……その……タカシの背中……流してあげよっか?』
「は? ちょ、ちょっと待てよ。何考えてんだよかな姉!! 背中流すって、その……」
『……入るわよ。いい?』
「いや、ちょっと待って!! 俺、まだいいとも何とも――」
カラカラカラ……
「どわっ!?」
『…………な、何よ? その……あんまり、ジロジロ見ないでよね……』
「い……いや。だって、その……か、かな姉……バ、バスタオルって……」
『し、仕方ないでしょ。その……服着て浴室に入るわけ、いかないじゃない。だから……』
「で、でもヤバいだろさすがにそれは。もし、動いてる最中に外れたりしたら――」
パラッ……
「って……え……?」
『キャッ……やああああっ!!』
「お……おわああああああっ!!」
『んっふふふ。ジャーン』
「は……はい?」
『ざーんねんでした。何期待してんのよ。バーカ。変態エッチスケベ。中が全裸の訳ない
でしょ? ちゃんと水着くらい着用してるわよ』
「いや、その……いつの間に?」
『つい今さっき、取って来たのよ。真向かいなんだから、準備に、5分と掛からないし』
「……そ、そりゃそうだけどさ。何でわざわざこんなイタズラ仕込んでんだよ。趣味悪いぞ」
91 名前:5/6[] 投稿日:2012/06/05(火) 00:45:10.16 ID:Liy+GJVG0 [7/9]
『そ、それはアンタが悪いのよ』
「俺が? 何でさ?」
『だって、人の事色気が無い色気が無いって言うから。相手が誰であれ、そういうのって
悔しいじゃない。女として。だから見返してやろうと思ってやったんだけど、なかなかの
効果はあったみたいじゃない』
「こ、効果って何がだよ?」
『アンタの慌てっぷり見てたら、十分あたしの色香に迷ってたみたいだし。どお? 18歳
の魅惑的なボディーが見られなくて残念だったでしょ? ざまあみなさい』
「(……っていうか、水着でも十分すぎるくらい色っぽいんだけど…… そっか。かな姉、
やっぱ気にしてたのか)」
『大人しく降参したって言いなさいよ。ほれほれ』
「分かった。負けたよ。かな姉は十分色っぽいさ。これでいいだろ?」
『むー。何か投げやりな言い方が気に食わないけど、まあ童貞君の照れ隠しだと思って大
目に見てあげますか』
「何だよ。バカにしたように言うけど、かな姉はどうなんだよ? 人の事偉そうに言えんのか?」
『んなっ!? おっ……女の子にそういう事聞くんじゃないわよこのバカ!! いくら幼
馴染だからって、失礼にも程があるっての!!』
「分かった。悪かったから怒るなよ。売り言葉に買い言葉で、つい聞いちまっただけだからさ」
『つい、じゃないわよ。もう…… 大体、誰のせいで彼氏作らないでいると思ってんだか……』
「はい?」
『ふぇっ……? い、今のなし!! なしだから、聞いた事全部忘れなさい!! いいわね?』
「……いやその、何だか分かんないけど、かな姉がそういうならいいよ。忘れても」
『そうよ。絶対忘れなさい。大したことじゃないんだから気にしちゃダメ。いいわね?』
「分かってるよ。約束するから、そう何度も言わなくてもいいって」
「(つか、そこまで念押しされると、却って気になるっつーのに……)」
『よし。分かったなら、湯船から出なさいよ。洗ったげるから』
「え? マジで背中流すつもりなの?」
『当たり前じゃない。他に何の用事があって、アンタの入ってる風呂に入って来なくちゃ
いけないのよ』
92 名前:6/6[] 投稿日:2012/06/05(火) 00:45:41.51 ID:Liy+GJVG0 [8/9]
「いやその……さっき、俺がバカにした事への見返しだとばかり思って…… だから、そ
の目的はもう果たしたわけだし……」
『ダメよ。眠いからって適当に洗って出られたら、アンタの男臭い匂いが充満するでしょ?
環境汚染よ、そんなの』
「だから、もう一度シャワー浴びて来てるし。それに、ガキじゃないんだから、一人で洗えるって」
『ダメ。信用置けない。大体アンタね。女の子が背中流してあげるなんて、世の中の男子
が妄想しても果たせない夢なのよ? それがごく自然に受けられるんだから、自分の生ま
れ持った幸運に感謝しなさいよね』
「ちぇっ。分かったよ。じゃあ、湯船から出るから、何かタオル取ってくれよ。前、隠すからさ」
『へぇ~…… タカシも、そういうの恥ずかしがる年頃になったんだ。ちっちゃい頃は、
平気で裸でウロウロしてたくせに』
「それって、ホントにガキの頃じゃんか!! 大体、かな姉は見ても平気なのかよ? 一
応言っとくけど、これってかな姉にも配慮してお願いしてんだからな」
『バッ……バカ言わないでよね。誰がタカシの粗末なモノくらいで動揺したりすんのよ?
有り得ないってば』
「かな姉」
『なっ……何よっ!! 変な笑い浮かべて』
「あのさ。顔、真っ赤にして強がっても、全然説得力ないんだけど」
『ちっ……違うわよっ!! 誤解しないでよね? これは単にお風呂の中が暑くて顔が火
照ってるだけで、別にあんな事で顔真っ赤にしたりしないんだから』
「分かった分かった。とりあえず、タオル取ってくれよ。下手に見せると、今度は逆に露
出狂扱いされかねないし」
『そ……そりゃあ、見せびらかしたりすればね。ほら、タオル』
「サンキュー。そっぽ向いてるって事は、やっぱり見えるの、恥ずかしいんじゃないの?」
『だから違うって言ってるでしょっ!! アンタが見られたくなさそうだったから遠慮し
てるだけよ。別に私は……そんなの、一向に構わないんだから』
「はいはい。それじゃ、出るよ」
ザバッ……
最終更新:2012年06月08日 01:06