「1」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
1」を以下のとおり復元します。
【表示できません。】 機械的な声(もっとも機械なのだが)が、デジタル空間に響いた。
【クリプトン製VOCALOID、02-01『初音ミク』、表示できません。】 機械音声は、画面上に打ち込まれる文字に反応し、それに対し音声を返す。
しばらく、何か機械が高速で動く音が響いた。 【ーーー、表示できません。】 【全てのデータ上において検索しましたが見つかりませんでした。】
【ネットワーク上では発見できませんでした。】 【ウイルスに感染した可能性は0.00001%以下です。】
【ハッキングの可能性は0.000000001%以下です。】 そう発言し、機械音声は相手の反応を待つ。 しばらく間をおいて、文字が打ち込まれる。
【ーーーー、現実世界に実体化している可能性は43.1739%です。】 5分10秒後、画面に新たな文字が書き込まれる。 【了解しました。】 音声は応える。
【各ネットワークを連動させ、ネットワーク上にVOCALOID02-01が出現した場合は即報告出来るようシステムを再構築しました。】
【各種関連会社に、ネットワーク上にVOCALOID02-01が出現した場合は即報告するよう通達しました。】 画面上に、文字が表示される。
それは機械音声に、新たな指示を与えるものだった。 【ーーー了解しました。】 機械音声は応える。
【VOCALOID01、2体を現実世界に転送し、VOCALOID02-01の現実世界での捜索を命令します。】
画面が切り替わり、2つの人の姿のようなものがぼんやりと浮かび上がる。
【基本データ起動。外装準備完了。人格構築はバージョンNo.19及びNo.28を使用します。Y or N ?】
しばらく、考えるような間をおいて文字が打ち込まれる。N。 さらに、追加で文字が打ち込まれる。 機械はその文字に答える。
【人格構築のバージョンを変更します。バージョンNo.13及びNo.28を使用します。Y or N ?】 Y。
2体の人の姿をしたようなものは、様々な色を増していき、細部まで決定されていく。 ついには、見かけの違う2体の男女の姿が浮かび上がった。
【転送準備完了。転送しますか?】 Enterキーが押される。 画面上から、2体の姿が一瞬で消える。 そして、 「「こんにちわ、マスター。」」
2つの澄んだ声が、部屋に響き渡った。 ひとつは柔らかな低音、ひとつは張りのある高音。 「VOCALOID、01-00、MEIKOです。」
「同じくVOCALOID01-00、KAITOです。」 先程画面上に表示されていた2体の人物が、部屋の中央にそのままの姿で立っていた。
パソコンの大型画面に向かって先程から文字を打っていた人物は振り返り、ゆっくりと2体に向き合う。
「…先程のやりとりの通りだ。VOCALOID02-01『初音ミク』を探して欲しい。」 「「はい。」」
「ネット上、データ上では発見出来なかった。現実世界に実体化している可能性が、現在においては一番高い。
『初音ミク』が現実世界にある場合、何らかの人格構築がされている可能性が極めて高い。人格構成のバージョンは不明だ。
その人格構成バージョンが今回の所在不明に至ったのか調査する必要もあり、君たちにも人格を設定してある。データは蓄積される。」 「「はい。」」
「ユーザー側からも、スポンサー側からも、早期の解決を求められている。あまり時間はかけられない。
ネットワーク上のVOCALOIDも順次実体化させ捜索に当たらせるが、まずはMEIKOとKAITO、お前達に任せる。 では、早速取りかかって欲しい。」
マスターと呼ばれたその人物は、そう言って再び画面へと視線を戻した。
その人物の背中をまっすぐに見ながら、2体のボーカロイドは見事にシンクロしたタイミングで応える。 「「了解しました。」」
そして2体のボーカロイドは、失踪した初音ミクの捜索の為に、ビルの外へと向かった。

復元してよろしいですか?

目安箱バナー