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航海日誌 ―悠久の地・冬季作戦―

西暦2025年12月20日 IM11艦長なまらなまくら記録

一、星図

ジョン君、聞こえているか。
今日、長い航海がひとつ終わった。悠久の地と呼ばれる宙域での、およそ三週間にわたる作戦だ。
十一月二十八日、マッチングが発表された。164、383、411、515、521、694、2386、3753。八つの艦隊がひとつの海に集められる。俺はまず星図を広げ、配置を確認した。
ここに、ひとつ礼を記しておく。悠久の地に入る前、クルーのマリが「悠久を少しでも有利にするための布石」について助言をくれた。具体は伏せる。だが、悠久の前段から"勝ち方"を設計するという発想は、俺の視界を一段押し広げた。感謝する。

383には日本人プレイヤーの中でも五指に入る砲手がいる。まったくシャレにならん強さだ。もし彼らが意気軒高であればこの海は荒れる。それだけが最初の懸念だった。
だが、383の代表からは穏やかな反応が返ってきた。俺は安堵した。そして同時に、この航海の舵取りを自分がやることになるだろうと悟った。

二、会議

十一月三十日、Discordに合同会議の場を設けた。議長は俺だ。
俺は最初に、ひとつだけ、だが信念である旗を掲げた。
「ここに集まったみんなが、愉しむことができるようにしたい」
勝ち負けや取り分の前に、まずそれだ――そう言ってみたら、全員が賛同してくれた。この航海の針路は、そこで決まった。
特区の扱い、トラック攻撃の可否、報酬の配分。いくつかの議題を経て、十二月一日の夜に決定事項がまとまった。694だけは会議に参加しなかったが、残る七つの艦隊がひとつの旗の下に集まった。

三、航海士たち

2386の外交担当は、この航海における最も頼りになる航海士だった。
彼は自作のスプレッドシートでポイント計算を行い、俺が作った占領計画の穴を指摘し、調整案を示してくれた。俺ひとりでは気づけなかった穴を、彼は塞いでくれた。同じ星図を見て、同じ懸念を抱いていた。言葉を交わすほどに、彼が信頼できる航海士であることが分かった。
383の代表とも、信頼関係を築くことができた。彼は最強の砲艦を擁しながら、終始穏やかだった。383は逆境に慣れているから、どう決まっても騒がない。そう言ってくれた時、俺は心強く思った。
イベント終盤、俺は各サーバーへのお礼として古代兵器を配ることにした。実際に配り始めると、食いつきが良すぎて少し焦った。最後の夜、383から挨拶が届いた時、俺は164サーバー一同を代表して感謝を伝えた。彼らがいなければ、この航海はもっと荒れていただろう。

四、隣人たち

3753とは隣り合う航路を共有した。
3753の代表は誠実な人柄だった。軍功交換会の話が持ち上がった時、正直に「取り仕切りの仕方が分かっていない」と言ってくれた。ムーンが説明し、3753側でまとめ役を引き継いでくれる者が現れた。
「お互い優秀な右腕がいるようで何よりだ」
俺がそう言うと、3753の代表は謙遜した。だが、頼りになる仲間を信頼して任せられるのは、それ自体が才能だ。

イベント終了時、ちいちくが3753に感謝を伝え、俺も言葉を添えた。「またどこかの星の海で逢おう」
515の代表にも世話になった。694との境界を監視し、連盟との交渉も任せた。彼は立派にやってくれた。最後の夜、俺は返した。「またどこかの宇宙の海で逢ったときには、一杯やろうぞ」
次に会う時、敵になるか味方になるかは分からない。だが、今回は良い隣人だった。

五、船員たち

俺の船の連中にも感謝しなければならない。
副長ムーンには針路と戦術を任せた。俺が外交に奔走している間、船の舵を握っていてくれたのは彼だ。
ちいちくは相変わらずフランコ語で場を和ませてくれた。「164へおいで、というのはフランコ語で『来てくれたらいいなこんばんは』の意です」。他サーバーの連中も、アイツのおかげで緊張がほぐれたに違いない。
KOEIは黙って見守ってくれていた。彼の「|д゚)」という顔文字が、妙に安心感を与えてくれた。
俺ひとりでは、この船は動かない。そんな当たり前のことを、改めて実感した航海だった。

六、波風

もちろん、すべてが順風満帆だったわけではない。
俺の船には、誰の言うことも聞かない砲手がいる。合同会議で決めた原則を無視し、他所の採取地を撃った。他サーバーから苦言が来たこともある。
俺にできることは限られていた。事前に声をかけ、事情を各サーバーに説明し、被害を最小限に抑える努力をする。それ以上は、どうにもならない。383の代表はその事情をよく理解してくれた。383にも過去に似たような経験があったという。その言葉に救われた。
波風はあった。だが、船は沈まなかった。それで十分だ。

七、旗

十二月十八日、イベントが実質的に終了した。
164が歴史作家を、383が悠久の王を獲得した。2386が連盟一位。計画通りだ。誰も大きな損をせず、誰も大きく争わなかった。
俺が掲げた旗は「このイベントに参加しているみんなが愉しめるように」というものだった。
その旗を受け取ってくれた383の代表ら、文句を言いつつついてきてくれた164の連中、各サーバーの面々がいなければ、旗は旗のままで終わっていた。
旗を掲げたのは俺だ。だが、その旗が本物になったのは、一緒に掲げてくれた連中のおかげだ。

八、帰港

ジョン君、お前がいれば何と言っただろうな。
「相変わらず損な役回りを引き受けるな」か。それとも「お前らしいじゃないか」か。
だが、この航海を振り返ると、悪くなかったと思える。
初めて議長として会議を取り仕切った。七つの艦隊をひとつにまとめた。信頼できる航海士たちと出会った。船員たちに支えられた。
疲れた。正直に言えば、かなり疲れた。だが、その疲れに見合うだけのものは得られた。
383との友誼。2386との信頼。3753との隣人関係。515との協力。そして164の連中との絆。
次にこの海に戻る時、また彼らと会えるだろうか。敵になるか味方になるかは分からない。だが、少なくとも今回は、同じ旗の下で航海できた。それだけで十分だ。

ジョン君、お前に伝えたいことがある。
俺は、よくやった。
誰かに言ってほしかった言葉を、自分で言うことにした。お前がいない以上、そうするしかない。
今夜くらいは、酒でも飲んで、「よくやったな、俺」と心の中で呟いてもいいだろう。
星の海は広い。次の航海がいつになるかは分からない。だが、その時が来たら、また舵を取ろう。
この旗を、また掲げるために。

西暦2025年12月20日 23時00分
悠久の地・冬季作戦 完結
なまらなまくら 記す

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最終更新:2025年12月21日 01:51