木造車

木造車(もくぞうしゃ)は,車体が木造の車輛です*1国鉄からは1957年(昭和32年)に木造車がなくなりました*2*3。その切っ掛けとなったのは1947年(昭和22年)2月25日に起きた八高線での事故でした。東飯能高麗川間の下り勾配10でカーブの築堤を走行中の列車の4輛が脱線し,築堤から転落,乗客乗員合計185人が死亡,乗客497人が負傷する大事故が起きました。死傷者が多数出た原因の一つが列車に使用されていた客車が老朽化した木造車だったことです。この事故を機に当時5,000輛以上あった木造車は鋼製車へ置換えられ,1957年(昭和32年)に国鉄から木造車(営業用の車輛)はなくなりました*4

目次


木造車の鋼体化

太平洋戦争直後に使用されていた客車は,その半数以上が大正期に製造された木造車で,戦時中は酷使されたために老朽化が進んでいました。その頃の木造車は台枠が鋼製で車体が木造でした。当時の国鉄は財政的に苦しい状況だったため,鋼製車の新造と平行して木造車の鋼製台枠を再利用し,車長17mの木造車の鋼製台枠に他の木造車の鋼製台枠を継ぎ足して,車長20mの鋼製車体の客車を製造しました。この客車の鋼体化は国鉄の鉄道工場と民間の車輛メーカーにより行われ,1956年(昭和31年)までの7年間に約3千5百輛が製造され,国鉄から木造客車がなくなりました*5

参考文献

(著者の五十音順)
  • 老川慶喜『鉄道』〈日本史小百科 - 鉄道〉東京堂出版,1996年9月17日 初版。
  • 久保田博『日本の鉄道史セミナー』グランプリ出版,2005年5月18日,初版,ISBN 978-4876872718。
  • 高橋政士 編『詳解 鉄道用語辞典』山海堂,2006年5月30日 第1刷発行,初版,ISBN 978-4381085955。

(書名の五十音順)


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更新日:2010年11月17日

最終更新:2010年11月17日 22:43
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*1 ) 高橋政士「木造車」『詳解 鉄道用語辞典』p485

*2 ) 老川慶喜『鉄道』p263

*3 ) 高橋政士「木造車」『詳解 鉄道用語辞典』(p485)によると,国鉄から木造車がなくなったのは1955年(昭和30年)。

*4 ) 老川慶喜『鉄道』p263

*5 ) 久保田博『日本の鉄道史セミナー』p151