新橋・横浜間鉄道開業

1号機関車
新橋—横浜間の鉄道開業のためにイギリスから輸入された1号機機関車(改造前の原形)

改造後の1号機関車(鉄道院150形蒸気機関車)

混合列車
160形蒸気機関車が牽引する混合列車[註1](新橋駅[註2]
新橋・横浜間鉄道開業(しんばしよこはまかんてつどうかいぎょう)

日本で最初に開業した鉄道は新橋駅*1—横浜駅*2で,旧暦明治2年11月10日(1869年12月12日*3)に建設が決定されました*4。旧暦明治5年5月7日(1872年6月12日)に品川駅—横浜駅間が仮開業し,旧暦明治5年9月12日(1872年10月14日)に新橋駅—横浜駅間(29km)が全通開業しました。当初は旅客営業のみでしたが,新暦明治6年(1873年)9月15日から貨物営業も開始しました*5

鉄道敷設予定経路には,当初は陸軍用地が含まれていたため,陸軍が鉄道敷設に反対しました。様々な人が陸軍の説得を試みましたがうまくいかず,当時大蔵卿だった大隈重信も動き出しましたが,結局大隈は陸軍用地を迂回する路線経路変更することを決め,そのため海を埋め立てる工事を行って鉄道を敷設することになりました*6

目次


時刻表と運賃

仮開業

明治5年5月7日(1872年6月16日)に品川・横浜間が仮開業したときの1日の列車本数は4本でした。次の表は仮開業時の時刻表です*7
時刻表

時刻 発着駅

8:00 横浜 発
8:35 品川 着

9:00 品川 発
9:35 横浜 着

16:00 横浜 発
16:35 品川 着

17:00 品川 発
17:35 横浜 着

次の表は品川・横浜間の片道運賃です*8。等級は3等級あり,上等車の定員は12〜22人,中等車の定員は22〜33人,下等車の定員は52〜82人です*9。当時の日本人の給料は,太政大臣が月給800円*10官設鉄道の日本人の給料は,鉄道寮長官(鉄道頭)が月給350円*11,職工は日給制で1日30銭(0.30円)でした*12
品川・横浜間片道運賃

等級 運 賃

上等 1円50銭(1.50円)
中等 1円00銭(1.00円)
下等 50銭(0.50円)

年表

( )内の年月日はグレゴリオ暦〔西暦〕
  • 嘉永6年(1853年):ロシア使節プチャーチン長崎に来航し,蒸気機関車の模型を運転*13
  • 嘉永7年(1854年):アメリカ合衆国の使節・ペリー浦賀に来航し,蒸気機関車の模型を運転*14
  • 明治2年2月29日(1869年4月10日):明治政府が,江戸幕府・小笠原壱岐守がアメリカ人ポートマンに許可した江戸—横浜間の鉄道敷設免許の無効をポートマンに通告*15
  • 明治2年11月10日(1869年12月12日):明治政府が東京—京都間の鉄道建設を決定*16
  • 明治3年3月17日(1870年4月17日):政府が東京府と神奈川県に線路敷設のための測量を令達*17
  • 明治3年3月19日(1870年4月19日):民部大蔵省鉄道掛を設置*18
  • 明治3年3月25日(1870年4月25日)測量に着手*19
  • 明治3年閏10月20日(1870年12月12日):工部省が設置され,鉄道掛は同省所属となる*20
  • 明治4年8月14日(1871年9月28日):工部省に鉄道寮を設置*21
  • 1871年9月:横浜側の線路と車輛の一部が完成。試運転を開始*22
  • 明治5年2月28日(1872年4月5日):鉄道略則公布*23
  • 明治5年5月4日(1872年6月9日):鉄道犯罪罰例公布*24
  • 明治5年5月7日(1872年6月12日)品川横浜間仮開業旅客営業開始*25
  • 明治5年6月15日(1872年7月20日):イギリス人に停車場内での新聞販売の許可が出る。駅構内営業の始まり*26
  • 明治5年9月12日(1872年10月14日)新橋横浜間(29km)の開業式を実施*27。9月12日(10月14日)は後に鉄道記念日となる*28
  • 明治6年(1873年)9月15日:新橋—横浜間で貨物営業開始*29

  1. 旅客列車に貨車も連結した列車のことです*30
  2. 新橋駅で撮影された写真で,撮影年代は不明ですが,かなり初期の頃の撮影と思われます*31

参考文献

(著者・編者等の五十音順)

書籍
  • 小寺幹久 復刻『写真解説 機関車進歩の跡』〈復刻版〉(有)リトルジャパンモデルス 発行,2002年6月1日,初版。-- 下記の1940年発行版の復刻版。
    • 機関車知識普及会 編『写真解説 機関車進歩の跡』交友社,1940年5月3日。
  • 鉄道百年略史編さん委員会 著,執筆者代表 和久田康雄『鉄道百年略史』鉄道図書刊行会,1972年10月15日,初版。
  • 西尾源太郎 監修,鉄道ファン編集部 編集『写真で見る 鉄道車両100年』交友社,1972年11月10日。
  • 日本国有鉄道工作局 編 『車兩の80年』交通博物館,1952年。
  • 日本国有鉄道総裁室『鉄道80年のあゆみ 1872-1952』日本国有鉄道,1952年10月10日。
  • 原口隆行 編『保存版 古写真で見る明治の鉄道』世界文化社,2001年7月10日,初版第1刷。

事典

辞典



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関連項目


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更新日:2010年12月28日

最終更新:2010年12月28日 22:22
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*1 ) 後の汐留駅 --『鉄道百年略史』p2。◆汐留駅はその後廃止され,現在は「旧新橋停車場 鉄道歴史展示室」になっています(2010年11月25日(木)閲覧)。

*2 ) 現在の桜木町駅 --『鉄道百年略史』p2

*3 ) グレゴリオ暦

*4 )国鉄歴史事典』p4

*5 )国鉄歴史事典』p4

*6 ) 宮脇俊三「鉄道は国の文化財」『保存版 古写真で見る明治の鉄道』p4

*7 )国鉄歴史事典』p48

*8 )国鉄歴史事典』p48

*9 )国鉄歴史事典』p66

*10 ) ひと月30日で日割すると日給約26円67銭(26.67円)。

*11 ) ひと月30日で日割すると日給約11円67銭(11.67円)。

*12 )国鉄歴史事典』p49

*13 )鉄道百年略史』p1

*14 )鉄道百年略史』p1

*15 )鉄道百年略史』p1

*16 )鉄道百年略史』p1

*17 )鉄道百年略史』p1

*18 )国鉄歴史事典』p4

*19 )鉄道百年略史』p1

*20 )国鉄歴史事典』p4

*21 )国鉄歴史事典』p4

*22 )鉄道百年略史』p1

*23 )国鉄歴史事典』p4

*24 )国鉄歴史事典』p4

*25 )国鉄歴史事典』p4

*26 )国鉄歴史事典』p4

*27 )国鉄歴史事典』p4

*28 )写真で見る 鉄道車両100年』p1

*29 )国鉄歴史事典』p4

*30 ) 「混合列車」『詳解 鉄道用語辞典』p166

*31 )写真解説 機関車進歩の跡』〈復刻版〉p140