Harrison Clarke Wine(2012年5月訪問)
Gainey、
Roblarと巡ったこの日、その次に訪れたのがここHarrison Clarke。このワイナリーの訪問は要予約。それもあって、この日一番気合が入っていた。
にもかかわらず、余裕を持って訪問したつもりがちょっと遅刻になってしまった。というのも、このワイナリーを発見するのが本当に困難極まりなかったからだ。
メールを通じて予約していればわかりやすい地図などももらえたのかも知れないが、自分の場合は電話だったためそういった手がかりが無かった。そう、予約する時には油断していて、「地図があるので多分いけます」と言ってしまったのだ。しかし、手元にあった地図よりも、実際にはより詳細な情報が必要だった。
万一道に迷うようなことがあれば、その時点でワイナリーに電話すればいいや…と思っていたのだが、これも判断ミス。サンタイネスヴァレーのこのへんでは、自分の携帯電話は圏外だった。
そういうわけで、道に迷ったことを悟った時点で
Rusakを再訪して道を尋ね、Harrison Clarkeには5分遅刻くらいでようやく辿りついた。看板も何もないので、本当にそこでいいのか確信がもてない中、奇跡的に繋がった携帯電話で問い合わせてみると、ご主人のRogerさんが中から出てきてくれたのだった。
Harrison Clarkeは、ご夫婦がこぢんまりと経営しているワイナリーのようだ。ご主人が畑の面倒を見て、奥さんがワイン醸造の責任者らしい。
まずご主人が「葡萄畑を見学するかい?」とおっしゃってくれたので、お願いすることに。黒くて大きな犬(「リラ」という名前の雌犬)と一緒に散策。この犬は本当に静かで、うちの子供がすごくなついていた。
自分が妻と子供を連れていたため、いかにも子供が喜びそうなものも見せてくれた。まず葡萄畑よりも先に向かったのが鶏小屋。卵を温めている鶏を、恥ずかしながら自分も生まれて初めて見た。こりゃいい勉強になる。
そして葡萄畑へ。そこに植わっていた葡萄はシラー。数cmの間隔を隔てて2本の針金がピンと張られており、その間に、上に向かって延びる枝を通してあった。
「風が吹くと実が落ちてしまったりするけど、うちじゃ気にしないんだ。量じゃなくて質の高い葡萄をつくりたいからね」とのこと。
葡萄の花の蕾がふくらみかけていた
面白かったのは、1本だけ少し樹勢のおとなしい葡萄の木があったときに聞いた話。「この葡萄の木はちょっと小さいだろう?それはここにある木が水を取っていっちゃうからなんだ」と、我々が歩いていた小道を挟んで反対側の、母屋がある敷地の片隅に生えている大きな木を示してくれた。えっ、3mくらい離れていて全然影響なさそうなのに!?でも確かにその葡萄の木だけちょっと枝が短いのだ。「本当はこの木だけ手作業でもっと水をあげないといけないんだけど、訪問客にこれを見せたくてそのままにしてるんだ」とのこと。
除草剤は一切使っていないということだったが、葡萄の木の周りの地面は雑草など全く見当たらない。1年の最初のうちに手作業でとったという。いやはや大変だ。
自分にとっては大変興味深い話を色々としてくれるのだが、時折、「ところで、こういう話に本当に興味ある?」と訊かれた。どうやら、ここを訪れる客の中には「畑や醸造設備の見学はいらないから、とにかくワインを飲ませてくれ」という感じの人々がいるらしい。
自分は葡萄の育て方にも大いに興味があるし、そういう話に興味を示さない人が居るなんて信じられない!と伝えると、Rogerさんはまた機嫌良く色々と教えてくれるのだった。
さて一通り葡萄畑の見学を終えた後、「バレルテイスティングに興味はあるかい?」と訊かれた。このワイナリーのフラッグシップワインであるシラーの"Cuvee Charlotte"は、バレルで2年寝かし、瓶詰めしてから1年待って、それからリリースするのだそうで、今だと2011と2010がバレルから試飲でき、2009は瓶詰してリリース前だから飲めないが2008が試飲可能だとのこと。
願っても無い申し出に、もちろんバレルからのテイスティングをお願いした。「中にはバレルテイスティングに興味の無い人も居るから…」とのことだったが、本当にそんなことを言った人が過去にいたのだろうか?またもや"I can’t believe it!"と言うことになった。
さてここからは奥さんにアテンドされ、いざカーヴの中へ。ライトでバレルを照らしながら、スポイト状の容器で吸い取ったワインをグラスに注ぎ、2011と2010のCuvee Charlotteを試飲。
バレルテイスティングは実に心躍る体験だが、難点はメモが取れないこと(片手が常にグラスで塞がっているため)。このときも両者の間に何らか違いを感じたはずなのだが、残念ながらあまりよく思い出せない。ただ、2010の方が1年長く寝たからといって、例えば顕著にタンニンが感じられるというようなことはなかった。いずれも現時点で飲んで美味しいと感じられるものだった。
さてカーヴから出て、ボトルからの試飲。飲んだのは以下。
2009 Sorellina Grenache ($20)
2009 Harrison Clarke Grenache ($24)
2008 Harrison Clarke Estate Syrah ($32)
2008 Harrison Clarke Syrah Cuvee Charlotte ($52)
味はどれも実に自分好みで美味しかった。シラーは、Cuvee Charlotteもエレガントな香りが素晴らしくて良かったが、通常版も実に悪くなく、コストパフォーマンスを考えると通常版の方が良いかも、という感じだった。
自分が試飲している間もご主人が子供にシール(エチケット)をくれたり、キャップシールを被せる作業を体験させてくれたりしていた。ワインが詰まったボトルにキャップシールを被せる道具というのを、自分もこれまた初めて見た。
さて、たっぷりと興味深い時間を過ごさせて頂き、大満足。これだけお世話になって、テイスティング料金を請求されることはなかった。これは手ぶらで帰るわけにはいかない。せっかくなので、購入可能なワインの中で一番古いヴィンテージの、Estate Grown Syrah 2006を$32で購入させて頂いた。「できれば、飲む1時間前には抜栓するといいよ」とアドバイスされた。
再訪する機会があったら今度こそ道に迷わないよう、目印となる曲がり角など、念入りに写真撮影しながらHarrison Clarke Wineを後にした。
最終更新:2014年05月08日 01:14