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青水 - (2008/02/07 (木) 03:42:54) の編集履歴(バックアップ)


概要

青水現象とは、何らかの理由により銅イオンが溶け出し、冷却液が青く染まる現象。
溶け出した金属イオンはゲル状の物質となって流路に堆積していくので、
最悪の場合は流路が詰まり、水漏れや熱暴走を引き起こす。

原理

青水現象の原因は、冷却液の腐敗で発生したアンモニアによるものではないかと思われる。
まず、アンモニアとの反応や電蝕等の理由から水冷パーツに使用されている金属類が溶け出す。
溶け出した銅やアルミがアンモニアと結び付いて水酸化アルミニウムや水酸化銅としてゲル化、
同時に水酸化銅によって冷却液が青く染まる。また、冷却液に不純物が混ざる事によって、
環境によっては電蝕も同時に引き起こし、金属イオンの溶出が更に進行すると考えられる。

発生要因

上記の原理はあくまでも仮説である。冷却液に不純物を含まない精製水が用いられている場合、
腐敗の原因が不明瞭な為である。しかし、水冷PCでは流路を流れる冷却液が20~40℃と
温かく保たれている事に加えて、ポンプによって常に攪拌されているので、
化学反応や腐敗が進みやすい環境となっているのは確かである。

スレッド内の事例では、aqua computer製のACfluidという防蝕用冷却液添加剤の
角型ボトル入りの旧モデルを使用している事例が2例あり、これが原因ではとする見方がある。
しかし、精製水のみの環境下での発生例もある為、一概にこれが原因とも言い切れない。
また、ネチャネチャとした物体が大量に付着していたという報告もあり、
これはバイオフィルム(菌の群体)ではないかとも考えられる。

青水は銅イオンの青色による現象ではあるが、仮にアンモニア説が正しいとすると、
実際にはアルミ等の他の金属でも発生していると考えられ、単に冷却液に色が付かないので
発覚していないだけと思われる。アルミの場合は電蝕の併発や発見の遅れにより
事態が深刻化する危険性が高く、より注意が必要である。

実例

innovatek製GPUヘッドでの事例。このGPUヘッドは全体に肉厚のアルミを用い、GPUチップと
接する部分に銅製ベースを埋め込んだ構造。フィッティングはニッケルメッキの真鍮製である。
特にフィッティングの接続部周辺が激しく腐食しており、電蝕の併発も疑われる。
フィッティングのネジ部分はメッキが薄くなりやすく、過度に締め付けると剥げてしまい
腐食の一因となる。Oリング付きのGネジフィッティングであればレンチ等の工具は必要なく、
手で強く締めるだけで十分である。

拡大画像。青白いゲル状の物体は水酸化アルミニウムと水酸化銅の混合物。
焦げ付きの様に見える赤黒い模様は酸化銅と思われる。

対策

青水は素材に起因するものではないので、電蝕の様に特定の素材の組み合わせを避けるといった
対策は意味がない。ただ、電蝕が併発する可能性を避けるという意味では効果がある。

最大の対策は防腐剤の使用であるが、単体の水冷PC用防腐添加剤は製品化されていない。
代表的な防腐剤であるパラベンを薬局等で入手して冷却液に添加する方法もあるが、
元々のクーラントとの間で余計なトラブルを起こす可能性もあり推奨は出来ない。

メーカー製クーラントにはパラベンが防腐剤として最初から添加されている場合があり、
主成分であるプロピレングリコールやエチレングリコールにも防腐効果がある。
従って、精製水や防蝕添加剤のみといった運用を避け、メーカー製クーラントや
LLCを使用するというのが順当な対策となる。

万一、青水が発生してしまった場合のヘッドのメンテナンス法であるが、ゲル状の物質は
洗い流すか、家庭用のアルカリ系塩素漂白剤に短時間漬ける事で溶かせる。また、赤黒い
付着物は酸性洗剤で落とせるが、両者が混ざると塩素ガスが発生するので同時使用は厳禁。
アルミ製ヘッドの場合は、メンテナンスして綺麗になったとしてもアルマイトが破れている
可能性が高く、再使用は推奨しない。


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