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かまいたちの夜 4 - (2006/04/04 (火) 02:07:58) のソース
フロントに着くと、女の子三人組と小林さんがなにやらもめていた。 「ちょ・・、ちょっと。落ち着いて話して下さい。一体どうされたんですか?」 「だから!今部屋に戻ったら、床にこんな・・・こんな物が!」 女の子達が震えながら、小林さんに小さな紙切れを差し出した。 気になったぼくは、横から覗き込む。小さな紙切れには、赤い字でこう書き殴ってあった。 『こんや、12じ、だれかがしぬ』 「今夜、12時、誰かが・・・死ぬ?!」 ぼくが読み上げると、みんな一様に息を呑み込んだ。 しばらくの沈黙の後、ようやく小林さんが口を開いた。 「誰かのいたずらでしょう」 「・・・悪趣味ね」 真理が眉をひそめる。 確かに、悪趣味ないたずらだ。それが本当にいたずらなんだとしたら・・・。 「でも、誰かがあたし達の部屋に入ってこれを置いて行ったんですよね?気持ち悪くてあそこじゃ眠れないわ」 そう言ったのはやせて髪の長い可奈子ちゃんだ。泣きそうに顔を歪めている。 「床に落ちていたんなら、ドアの下の隙間から差し込んだんじゃないですか?鍵はかけていらしたんでしょう?」 小林さんがそう言うと、女の子達はぽかんとした表情を浮かべた。 「そっかー、中に入らなくてもいいんだ」 どうやら、そんなことにも気付きもしなかったようだ。 「・・・でもやっぱり気持ち悪い」 メガネの亜希ちゃんだ。 「何ならお部屋を替えましょうか?幸い空き部屋もありますから」 「その部屋にもテレビ、ついてます?」 ちょっとぽっちゃりした可愛らしいショートカットの啓子ちゃんだ。 「すいません。うちは客室には基本的にテレビは置いてないんです。ふた部屋だけ置いてあるんですが、それが、今お泊りの部屋なんですよ」 と、申し訳なさそうに首を横に振る。 「もうひとつの部屋は?」 「あいにくふさがってます。ですから、テレビをご覧になるなら、今のお部屋で我慢していただくしか・・・」 「どうする?」 三人は顔を見合わせ、話し合い始めた。 「あたしやっぱり気持ち悪い」 亜希ちゃんだ。 「テレビは我慢しようか?」 可奈子ちゃんが応える。 「えー、あたし見たいテレビがあるの」 啓子ちゃんが、わがままを言い出した。 「テレビなんかいいでしょ!なにしに来てるのよあんたは。あたし達はスキーしに来たのよ、スキーに!」 可奈子ちゃんが怒り始める。 「分かってるけど・・・でも今日は見逃せないの。『ロンバケ』の最終回なんだもん」 ぼくは見たことないが、確か『ロンドンで万馬券』というギャンブルドラマだ。 しばらくもめていたが、結局、つまらないいたずらだし、部屋を替えてもあまり意味がなさそうだということで、彼女達は引き下がって部屋に戻って行った。 「でも、誰がこんないたずらするかしら。子供は泊まってないし・・・」 そう言うと真理は、いたずらっぽい目をぼくに向けた。 「もしかして、透じゃないの?」 とんでもないことを言い出す。小林さんがおどろいてぼくを見る。 「冗談じゃないよ。何でぼくがよく知りもしない彼女達にそんなこと・・・」 当たり前だが、抗議した。 「そうよね。いくら透でもこんなことしないわよね」 何かひっかかる言い方だが、まあいいとしよう。