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消えた少年たち

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・消えた少年たち
オースン・スコット・カード著 ハヤカワ文庫SF

1983年、フリーのプログラマのステップは仕事を求めて家族と共にノースカロライナヘ移住した。
新しい環境の中、仕事になじめない父ステップ、学校になじめない長男のスティーヴィ、そして一家は不思議な出来事に巻き込まれていく。

最初に言っておくと、SF文庫から出ていますがわたしはこの作品をSFじゃないと思いますね^^;
カードの作品だからSF文庫に入れられちゃったのかなぁ。

最後の数章をのぞいては、家族の物語になっています。
お互いを思いやり、共に悩むモルモン教徒の家庭の姿が丁寧に描かれています。
作者のカードが同じくモルモン教徒であるのは有名で、そのため現代で信仰を持つことの戸惑いや世間との折り合いのつけ方などリアリティを感じさせます。

よくある家庭の問題を共感を持って読み進んだあとでの、ラストはかなり衝撃的でした。
SFやファンタジーとも言えませんが、非現実的な状況でそれまでの不可解な出来事がすべて説明されます。
なんだか釈然としないのは、わたしが信仰を持たない人間だからでしょうか?

やさしく、真摯に生きるこの家族のあり方が救いです。家庭を持つ人にとっては、何か残るもののある作品だと思います。
わたしも時期を置いてもう一度再読するつもりです。

(2003-08-18)
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