「あ、あの。
…置き去りにされていたところを、
助けてくれてありがとうございました。
私、看護兵で神海那美(こうみ なみ)と
いいます。
本当にありがとうございます。
この町に残ったみんなも
感謝してるんです」



「見回りご苦労様です。
隊長さん」



「いつも、見回り大変なんですね。
隊長さん
…それと、多くの医薬品、
ありがとうございます。
…感謝しています」



「あ、あの…人手が足りないって話で、
今日は病院の方に行ってきます。
許可いただけますか?」
(はい)
「ありがとうございます!」
(いいえ)
「す、すみません。
そうですよね…。」



「最近、良く会いますよね。
いえ、悪い意味じゃなくて…、
身近でいいなって、そう思うんです」



「あ、あの…。
また……病院の方に……」
(いってらっしゃい)
「…ありがとうございます」
(傍に居て欲しい)
「えっ?」
…………、
……………、
………………。
「な、何だ、冗談だったんですね。
…ほ、本気かと思っちゃいました。」



神海は、あなたの方を見て微笑んだ後、
ちょっと照れた。



「病院の方の話…、
してもいいですか?」
(はい)
「病院のみんな、隊長さんの話を聞くのが
好きなんです。
みんなみんな、隊長さんの事が
好きなんですよ」
(いいえ)
「そ、そうですよね。
忙しいのにそういう話、
邪魔なだけですよね。
……ごめんなさい……。」



「……え?
あ、あ、すみません!
ぼおっとしてました。
ごめんなさい…最近、その、夜中に
痛みで目が覚める人が多くて。
その看病が…ごめんなさい!」



「…あの、隊長さんは、後悔なんか
…して、いませんか?
捨てられたこの街を守るために、
自分の意思でやってきた事を」
(他にしようがなかった)(いや、別に)
「……。
す、すごいですね。
すごい……。
そんなに簡単に言うなんて。
私…」
神海は涙ぐんだ。
「私、人間って
捨てたものじゃないなって思います」



神海は、泣いている。
(どうしたの?)
「今日も、また、助けられなくて…。
その、でも慣れなくて…だから…」
神海は、あなたに抱きついて
大泣きした。
抱きつかれたまま、一日が終了しました。
(そっとしておく)
あなたは、
そっとしておく事にした。
那美は、肩を落として歩いて行きました。



「…この間は、泣いたりして
ごめんなさい……。
私、弱虫で……」
(そんなことはない)
「……。
あ……。
あの、ありがとうございます。
そんな事言われるの、生まれて初めてで、
その、照れますね……」
(なれないと、つらいよ)
「……はい……でも……。
私、駄目で……。」



「…あの、今日は病院の方に
行ってきますね」
神海は、あなたの方を見て微笑んだ後、
ちょっと照れた。



「…あの」
今日の神海は、どこか変だ。
「ああ、いえ、あの。
その……。
き、気にしちゃ駄目です。
絶対に駄目です!
……私は……、
あの、なんでもないです……」



「みんなが隊長さんの事を噂しています。
隊長さんは…どんなものだって殺せるって…。
…ええと。
毒って、薬になるんです。
癌とか、そういうものを殺すのは、毒ですから。
それに抗生物質も、菌にとっては
毒なわけで……だから……。
だから元気出してください。
私、隊長さんは、みんなを生かすための
毒だって思ってます」



「私、何か普通に生きてきて、何か仲のいい
友達が看護学校行ってたから学校に行って、
それで動員されたんですけど…。
でもその、元いた部隊が散り散りになる時に
その友達に、食糧とられて、あの、一人ぼっちに
なったけど、でもそれは悪い事じゃなくて…。
その、うまく言えないけど。
隊長さんを見てると、私の人生は、そんなに
無駄じゃなかったって思うんです。
良かったって。
少しだけお手伝い出来るし…。
それから……出会えた……から。
隊長さんに……」



「わ、私、思うんです。
笑わないでくださいね。
種としての人類は、血液の白血球にあたるものを
生み出すのではないかな、なんて…。
人類に生存本能があるのなら、異物……幻獣の
進入に対応して、抗体を生み出すはずです。
人類の危機に対応してそれを阻止する、
種としての人類が生み出した抗体、…防衛機構。
それが折れる時が、人類の折れる時…。
人類の決戦を決める抗体。
人類決戦存在が、その、
どこかにいるんじゃないかって。
だからだから、元気を出してください。
きっとどこかに、防衛機構があるはずです。
人類決戦存在が」



「最近、一つ特技が出来ました。
目をつぶっても、隊長さんの顔を、
綺麗に思い出せます。
これってすごい事ですよね。
私、これできっと目が光を失っても大丈夫です。
たとえ暗闇の中でも、
私は生きていけるような気がします」



(君こそが人類決戦存在だと思う)
「どうか、しましたか?
……?」
神海は、あなたを見て意味もわからずに
にっこり笑った。
(しばし眺める)
「そ、そんな目で見ないでください。
恥ずかしいです…。」



「…私には、隊長さんが人類決戦存在に見えます。
本当に、そう見えます。
隊長さんが戦う間は、きっとこの国も、人間も、
まだ負けてないと、私はそう信じています。
……だからあの……目をつぶってください。
すぐ、終わりますから」

「頑張って……」




あなたは、腕を輝かせました。
PC「…これを生み出したのは人類ではない。
人類を含むこの世界だ。
世界が選択したのだ。
生きようと。生きて明日を見ようと。
だから、ここにいるのは
人類決戦存在ではない」
神海「……。
じゃ、じゃあ……。
……せ…世界決戦存在、世界決戦存在。
世界決戦存在!!世界決戦存在!!!!
世界の危機に対応してそれを阻止する、
種としての世界が生み出した、最強の抗体。
防衛機構!」
PC「そうだ、それはここにいる。
それは最初からあったのだ。
誰の心の上にも」



「…まさか、本当に世界決戦存在が、
いたなんて……」



「……」



「……今思うと、隊長さんの力は…。
いえ、夢見たいだなって。
そんなの…あるわけないって。
……でも、あるんですよね
やだな。
何だか、近づいた気がしていたのに。
また離れた気分…。
……。
……少し、考えさせてください。
私、あんまり頭よくなくて……。
気持ちの整理が、必要だから」




(那美ED)
私は、自分が何を悩んでいたのか、
わからなくなっていました。
思えばあの時は、子供だったんですね。

      山岳騎兵の述懐

その日、撤退を支援するヘリの群れが来た日、
貴方はヘリの中で期せずして神海 那美と
向き合っていた。
神海「……」
PC「……」
神海「…………」
PC「…………」
那美「……」
神海 那美は、不意に笑い始めた。
最後には、泣きながら笑った。
「ごめんなさい。
隊長さんが、話題に困っている顔が、
面白くて……。
私、変な事考えていたんですね。
隊長さんがすごく強かったりするから、
私、見失うところでした。
……なんだ、普通じゃん」
(いや、それが何か)(昔からそうです)
「……いえ、ヘンなのは私だから、
いいんです。
……ごめんなさい。
それであの……」
神海 那美は一度大きく息を吸い込んで
そして、告白することにした。



神海那美 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

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最終更新:2007年03月22日 02:13