地勢・立場1


「知っての通り、この父島は離島だ。
本土までの移動は、平和な時代でも26時間かかった。
海からの攻撃がある現状では、ざっとみて3倍。
つまり3日はかかる。
島の大きさは約24平方km。
人口は2500人ほどだ。
お前達はこの島の守護隊という事になっている。
まあ、銃なんて実際に撃った事も無い奴らばかりだろうが。
戦略的に価値のないこの島に敵が攻撃して
来るとは思わないが、万が一戦闘になったら、
相当苦戦する事になるだろう。
何といっても、戦うことを考えてないからな。
ははは」

地勢・立場2


「我が国には、個人所有から無人の島まで小さな島が色々ある。
そういう島の中で人口と言う点では、
父島はそう少ないわけではない。
むしろ多い方だ。
戦争が本土に飛び火するまでは、
観光でそれなりに儲かってもいた。
もっとも今時分、観光しようと思う奴はいないから、店の多くも閉まっているがな。
国民がいるからにはそれを守るためのサービスが必要になる。
そういう意味でここに軍隊がおかれている。
規模が小さいから、本当に防御になるかどうか、
そこのところには男先生も自信がない。
この島の防御力が名目以上でないのは、まあ明らかだ。
本気で島民を守るつもりなら、
国はこの島を放棄するだろう」

戦術1


「島というものは、あー。
本土も島だが、ここでは小さい島の話だ。
小さい島というものは、守りにくい。
面積が小さいから兵力を運びやすいという利点はある。
どこから敵が来るかも、比較的わかりやすい。
海岸を見ていればいいからな……だが。
だがそれでも、島というものは守りにくい。
仮に大量の武器を持ち込み、要塞化しても、
お前達の中に究極の勲章である絢爛舞踏章を持つ者がいたとしても……。
最終的には、簡単に負けてしまうだろう。
それは補給線だ。
島での生活、先頭に必要な物資あるいは負傷者の交代、
こういった事を行う補給線が島では簡単に切断されてしまう。
包囲されて、それで終わりと言うわけだ。
弾の補給がなければ、交換部品がなければ、
医薬品が切れれば、戦争は成立しない。
時間の問題で死ぬしかなくなる。
だから、我々はお飾りだ。
守備隊が本気でやっても守りきれはしない。
せいぜい時間稼ぎだ」

海兵


「お前達は一応、海兵隊に所属している事になっている。
海兵といえば、熊本城攻防戦の英雄、
善行 忠孝も海兵だ。
陸軍に出向していたがな。
もう一度言う。
お前達は海兵だ。
海軍陸戦隊で、所属的には海軍に属する事になる。
陸軍にも船舶部隊はあるが、この辺はまあ縄張りのグレーゾーンというやつだな。
いずれにしても海軍の中の陸軍がお前達だ。
主力は船や航空艦隊で輸送して敵地を強襲する精鋭部隊だが、
お前達はそういうのは関係ないというか、見た事もない2線級部隊だ。
この島の守備部隊、つまりお前達がいい例だが、
軍属でない奴らを臨時で海軍に所属換えして、
名目だけ保っているような例が一杯ある。
武器は陸軍とは違って、潮風にあたっても
腐ったり錆びたりしないようになっている。
水陸両用装備も多い。
ただ予算があまり多くないからな。
更新が遅れがちで旧式装備が多い。
熊本城攻防戦の頃の装備が、
こっちでは今も使われている。
もっとも、戦いは武器でするんじゃない。
頭でするもんだ。
うん、男先生は今いい事言ったな。
笑うな…、わははは」

武器1


「海兵は輸送の問題で戦車、人型戦車が使えない。
代わりに大型のウォードレスと言う、
他じゃあまり見ないものを使う。
空挺戦車を使う事もあるがな。
戦車と言うには装甲がほとんどないので
装甲戦力としては使えん。
泳ぐのと装甲は、相容れないという事だな。
武器においても大砲など大火器はほとんどない。
大砲をかついで泳ぐわけにもいかんわけだ。
代わりに、ミサイルは多く使う。
コストは多少高いが、重量が比較的軽く、威力も高い。
ミサイルは大砲ほど長く使えないし、
重装甲もないということで、
海兵は長い時間戦う能力については劣っている」

武器2


「海兵は防御が弱く長い時間戦うには
向いてないが、いい事もある。
お前達は軽い分、陸軍さんより簡単に輸送できる。
空挺戦車だって、フル装備でも可能だろう。
撤退も容易だ。
重装備がないからな。
撤退時に武器を放棄する事もない。
というか、そもそも海兵はそういう軍隊だ。
好きなときに攻撃し、あるいは退く。
この自在さが海兵隊の意義だ。
即応展開が可能な部隊と言うわけだな。
実戦でもこれをやる。
変幻自在に現れて、比較的優勢な間に火力をぶちこんで相手が立ち直ったら撤退する。
長く留まろうとするな。
常に動け。
余談だが、即応展開が可能という海兵の性質は外国でも同じだ。
だから、海兵と言えば侵攻時に
尖兵を務める時が多い。
一番手だな」

戦術2


「島は守りにくい。
これは敵も同じだ。
お前達は敵をあえて上陸させ、その後で海側から攻撃する事も出来る。
海兵の戦いで、『ありえない』はありえない。
よく覚えておけよ。
奇襲をするのが海兵で、
それを必ずやってくるのも海兵だ。
正面からの殴り合いはするなよ」

戦闘の心得


「実際に戦闘が起きたなら、
勝つ事よりも生き残る事を優先させるんだぞ。
どうせ、この島を守りきるなんて事は、出来はせんのだ。
以前にホームルームで、教えたろう。
だから生き残る事を考えろ。
もちろん、民間人に被害が出ないように。
引き分けでいいんだ、引き分けで。
時間さえ稼げばそれでいい」

幻獣1


「今日は敵の話をするぞー。
えー。
まず、良く見られる敵だが。
コボルト。
ま、この辺は雑魚だな。
普通にやってりゃ勝てるだろ。
コボルトのレーザーは、少し注意が必要だが。
次。
後ろからどんどん生体ミサイルを
撃ってくるゴルゴーン。
こいつもお馴染みだ。
近接してやっつけろ。
敵の偵察小型幻獣、要するにコボルトとかに見つかると、こいつが撃ってくるから注意な。
ミノタウロス。
敵の人型戦車みたいなもんだ。
近接せずに距離をおいてミサイルで片をつけろ。
海兵にこいつと互角に渡り合う装甲の兵器は、ない。
今回はこんなもんだな」

幻獣2


「敵の話、その2だ。
この島近辺でしか見られない敵を説明する。
まず、ヴァンパイアバット。
1mくらいで低空を飛ぶ小型幻獣だ。
強酸をまき散らす、嫌がらせの敵だな。
夜間での奇襲に重点を置き運用されている。
実害は少ないが、徹底的な神経戦を行って
相当数の兵士を暗所恐怖症や不眠症に追い込んでいる。
次。
ストリングスライム。
目玉を核として持つ真紅の糸状不定形幻獣。
複数の個体が網のように群生している。
移動速度は非常に遅いから、逃げるのは簡単だ。
攻撃は、糸の硬度を上げ、槍のようにして歩兵の全身を貫く。
罠みたいな敵だな。
G・トード。
バカでかい大型幻獣だ。
普通にやったら勝てん、逃げろ。
最後、G・タランテラ。
背中にコブ(神経節)を持った中型幻獣だ。
中型幻獣では最大級だな。
そのくせ、対戦車能力はあまりない。
どちらかと言うと弱いものいじめに使われる。
主武器は小型レーザーの一斉射撃だ。
図体がでかいから通る場所は限られる。
以上、良く眠らずに聞いたな。
えらいぞ」

戦術3


「海兵は、重量の割に攻撃力が高い武器が揃っている。
それを有効活用せん手はないな。
機動力だと強いパンチ。
これだ、これだ。
いいか、良く狙って、こう。
相手の痛いところ、つまり背中に突き立てろ。
ダメージが一気に増える」

戦術4


「海兵隊はウォードレスについては、
陸軍よりかなり恵まれている。
どんぐりの背比べとはいえ比較的装甲も厚いし、機動力もある。
もっとも陸軍のほど、長く使われる事は考えていない。
これを補佐するのが大型ウォードレスだ。
人型戦車より攻撃力や機動力はないが、
人型戦車より安い分、数を揃えられる。
ただ、ミサイルについては数が少ない。
補給が途切れがちになると思うから、
それだけは注意しておけ」

栄光号本国仕様(特殊条件)


「今日のホームルームだが、
ちょっと面白いニュースがあってな。
栄光号本国仕様が配備されるかも知れんぞ。
栄光号本国仕様ってのはあれだ、皮(がわ)が
警護師団用のアニメみたいな奴じゃなくて。
実践仕様の人型戦車だ。
外見は格好悪いが性能は優秀だ。何よりも派手な
色でないので的にならないでいい」

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最終更新:2006年08月24日 00:07