「ここはいい所だね。
風が、優しい。
神々が、よく守護している」
「それよりも勉強するか。
お医者さんになるために一杯勉強しなきゃね。
何かを殺めるのは、もうたくさんだ」
「昔、心がそう強くなかった頃、僕は世界を憎んでいた気がする。
人は憎んでいなかったけど、それ以外ね。
でも今は違う。
多分ペンギンと、君の中にいる人のおかげだね」
「日差しが強いと勉強も進まないよ。
やれやれ。
ふふ、大丈夫。その分、夜は勉強しているから」
「気が弱いんだよな、僕は。
もう少し気が強ければ、もっと遊んだりしてたのかも知れないけれど…
…無理か、無理だな。
どんなになってもやっぱり僕は師匠とは違う。
他人を気遣うだろうし、それでウザいといわれるだろうね。
それでもいいはずだ。孤独に生きるよりは…。きっとね」
「あの技を覚えて一つだけ良かった事がある。
因果の前借りのおかげで、僕の運命は決まった。
それが、よかった。
え、どうしてって…。おかげで悩まなくてよくなったから。
僕は医者になって、そして助けたい人を助ける。
選んだ時は選択肢がないと思った。
でも今はそう思ってはいない。
僕は一番重要な時に大事な人を選んだ。
僕にしてはなかなか立派だよね」
【新規ED】
もっと遊べばよかったかな。
(父島守備隊 生き残りの証言)
その日、あなたは上田と二人で戸締りをして、
島を離れる事にしました。
長い坂道を降りていきます。
「合宿勉強だと思えば、そう悪くなかったかな。
え?つまんない?
あははは、ごめんごめん。
でも、もう少し待ってもらわないとね。
こう見えても僕は運命の借金持ちなんだ。
前借りを返さないと、いつ誰かが病気になるかわからない。
それだけはいやなんだ。絶対に。でも」
上田虎雄は、笑ってあなたの手を取ると、
ゆっくりと歩き始めました。
「これぐらいの時間の無駄遣いならいいよね」