一羽のペンギンが歩いている。
いくら寒いからってそれはないだろう…。
ペンギンはひどく寒そうに、
翼をくちばしの前に持って行くと、
煙を吐き出した。
タバコだ。
ペンギンがタバコ吸ってる…!!
ペンギンはそっとタバコに火をつけると、
火をつけるポーズのまま言った。
「嫌な天気だな。
こんな空は間違っている。
そうは思わんか。」
ペンギンは片方の翼をあげると、
そのまま去っていった。
「何か言いたそうな顔をしているな。
なんだ、言え。いや、なぜペンギンなのかは、ナシだ」
(なんの仕事をしているの?)
「探偵だ。軍人のように命令で誰かを傷つけるのは嫌だった。
警官になるほど勤勉じゃなかった。
正義の味方って奴があれば、喜んでそれを選んだだろう。
だが、世の中にはそんなものはない…。
だから探偵だ。なければ代用で満足するしかないのさ。大人の世界はな、坊や」
(趣味は?)
「仕事だ。
好きな事を好きなようにやってきた。
そして…そして。
やりたい事と、やらなければならない事、
生きる事とそれをやる事が一致した、幸せな立場に俺はいる。
坊や、お前はそんな事もわからんのか?
見ればわかるだろう。
心からやりたい事と、死んでもやらなければならない事が一致した奴は、心に翼が生える。
俺の翼は見えなかったか?
仕事を辞める時は、俺が死ぬ時だ。
その程度には趣味をやっている」
「世界というものは堅い地面で、俺達は卵だ。
落とせば割れて、台無しになる。一生ってのは、落ちて割れるまでの卵の全部だ。
そこからかえって飛んでいく奴もいないわけじゃない。
だがそんなものは、一億に一羽の話だ。俺もお前も、落ちて割れるのが関の山だな」
(涙目になる)
「…天才でもなければ落ちて割れるのも嫌ならば、
だったらいっそ、固ゆで卵にでもなるか。
落ちても割れない、ハードボイルドに。
それで幸せになると思えないが、死んで
台無しになるよりは、少しはマシになるだろう。
俺たちが、死んだ後の世界が。」
(嫌味な鳥類だ)
「現実をただ、そのまま言っただけだ。
それが悪口に聞こえるならお前の性根が腐ってるんだろう。
現実を冷静に見るのと、腐るのは違う事だ。
腐って駄目になるのは、落ちて割れるよりも早い分悪い」
ペンギンは帽子を胸にあてて祈りを捧げている。
死者に、祈りを捧げているようだ。
あなたは邪魔しないように、そっと離れた。
ペンギンは帽子を胸にあてて祈りを捧げている。
死者に、祈りを捧げているようだ。
(何に祈っているんだろう/祈り終えるまで待つ)
ペンギンは祈りを終えると、あなたを見て、帽子をかぶった。
「昔、ライターをもらった事がある。俺が南極に居た頃だ。
第2次越冬隊が来た時に、小学生達が隊員に託したんだ。
ペンギンが寒くないようにとな。
坊や。お前はこの話をくだらない事だと笑えるか?」
ペンギンはライターの火をつけると、独り言をいっている。
「私に希望を与えた貴方。私を包んで風を受けた貴方。
私はまだ生きています。私は嘘をついていません。私は正義のために戦っています。
だから貴方のためにお願いします。
どうか、私の死んだその後の世界が、今よりましであるように。
貴方が私を包んだように、世界に慈悲があるように。
私の弟子、私の妻、私の子、マホに、サトーにトラオに、皆によりよい世界が、残るように…」
ペンギンは、ライターのふたを閉じるとあなたを見てそのまま歩き出した。
ペンギンは、愛用のライターを開けたり閉めたりしている。
(話しかける)
ペンギンは、ライターの火をつけたままくちばしを開いた
「俺達は、こんなライターの光だ。小さくて、吹けば消え飛ぶ、そんなもんだ。
だが、人の手がそれを包めば、消える事なく燃える事が出来る。暗闇なら闇を照らせる。
星のかわりだって出来るかも知れない。
なあ、坊や。俺達が、たかがライターの光だからって、絶望する事はないんじゃないか?
弱くて小さいからと言っても、炎は炎だ。
どんなに小さくても、闇を照らし光り輝く炎である事は間違いない」
ペンギンはライターのふたを閉めて、祈りを捧げたまま言った。
「そして炎だったら、闇を照らすのが仕事だ。俺は仕事をする。
お前もお前の仕事をしろ。それが何かは知らないが」
(あなたはなんだ?)
「ペンギンだ。どこにでもいる、おっさんの。
だが、自分に仕事に誇りを持っている。誰よりも誰よりも誇り高い、俺は一羽のハードボイルドだ」
(なぐさめているんだね)
「俺が? まさか。お前は一人でも立ち直る。そういうモノだ。
お前はライターの炎にかざされた手で、
俺は俺がもう一度戦うために、独り言を言った。…それだけだ。」
(話しかけない)
邪魔しちゃ悪いので
そっと離れました。
そのペンギンは、傷だらけだった。
血を流し、毛はむしられ、くちばしは折れている…。
ペンギンはへたりこみ、あなたを見た。
「死ぬかと思ったが…。まあ、なんとか生き延びた。
いくつもの夜を越えて生き残る事が出来た。
…まだ俺は再会を許されず、生きて戦えという事だろう。
いいさ、そういう事にする」
ペンギンは、ここにいない誰かに微笑んだ。
「あなたがそうせよと言うのであれば、俺は永遠に戦う。
ま、お前という弟子も出来たしな。わははは」
「……もうすぐこの地でも戦いは終わるな。春が来れば、それまでだ。
……そうなれば、どうする?」
(次の戦いへ)
「そうか。俺の弟子は……強いのだな」
(困った思いつかない)
「だったら伝説と神話の世界にでも来んか。
我々の世界へ。
丁度、動物の言葉が分かる者が足りない所だ。
笑うな。冗談ではない。
……誰かが伝説にならねばならないのだ。
誰かが。不思議の側の大河で、同じ軍勢と
戦わなければならない。」
(※イベントクリア)
「ハードボイルドでも、やりたくなったか?」
(そうね、たまには)
ペンギンと走り込みをしました。
「苦しくなってからが訓練だ。苦しくない訓練は、訓練ではない。
苦しさを考えるそれよりも、苦しさから逃げた自分の脆さを考えろ」
空に向かって、ペンギンと精霊手の訓練をしました。
「教えておいてなんだが、こんな技に頼ろうと思うな。
ガンプ・オーマの本当の強さというものは、技ではない。
目に映る全てを利用して、流れを作り上げる事にこそ本領がある。
大河の流れこそが我らにして、我らの技は最後の一撃のそのために、流れをつくる事にある。
攻撃を組み立てろ。相手の選択肢を削れ」
ペンギンから、身だしなみの整え方を学びました。
「格好をつけろ、格好をつけろ、死ぬまでな。
生きる事は格好が悪い事だ。だからといって、それにおとなしく従うような大人になるな。
反逆しろ。生きる事は格好よいと言われる様に。
反逆しろ。お前が好かれたい者のために格好よく。
結果を考えるな。勝つ時もあれば負ける時もある。それが勝負だ。
天が決めたルールでも気に入らないのなら、わが道を通せ。勝つか負けるかはその後だ」
ペンギンに射撃技術を学びました。
「リズムだ、リズムを掴め。射撃はリズムだ。
自分の心臓の音を聞け。呼吸をあわせろ」
ペンギンと精神統一をしました。
「……」
(いや…)
「そうか」
「どうした? 何か言いたそうな顔をしているな。なんだ、言え」
(発言力が…)
「ふっ…。発言力がほしいか?
人間の執着の元、金を捨てることでお前の望みは叶えられるだろう。
お前にソレが捨てられるのか?」
「よかろう…。金額を示せ!レートは100:1(お金:発言力)だ」(捨てる)
「………」(捨てるを選んで交換しない)
「………」(イヤだ…)
(お金が…)
「お金がほしいのか?では、お前の全ての力の源である発言力を捨てろ。
はっきり言ってこの取引はお前に不利だ。それでもほしいという覚悟はあるか?」
「よかろう…。発言力を示せ!レートは10:100(発言力:お金)だ」(捨てる)
「………」(捨てるを選んで交換しない)
「………」(イヤだ…)
(……)
「………」
(ペンギンED)
その日、北海道から第7師団が救援に来る事で
戦いは唐突な終わりを見せました。
本物の軍隊って奴は、車両を一杯もっているもん
だなと、同僚に言った事を覚えています。
(108警護師団に配属されていた学生兵の手記より)
家の外にはペンギンが居て、
煙草を吸っていた。
「今日から別の任地だそうだな。どうする?」
(戦うだけさ)
「そうか。じゃあ、お前のトランクに氷を
つめといてくれ。俺もいく。
……お前の行くところが、俺の終わりの場所だ。
弟子にして友よ」
そうして、ペンギンは、部隊の旗を
大事にたたんでしまってあなたの隣に並んで
歩き出しました。
(ペンギンと行くよ)
「……そうか。
では今日から、
お前は白の○○だ。
いくぞ」(○○の部分はキャラの名前で片仮名表記)
そうして、ペンギンと話す事が出来る
一人の英雄は姿を消しました。
その後の事は、誰も知りません。
最終更新:2014年02月16日 17:36