貴之と貴司【5】 - (2006/01/23 (月) 00:36:00) の1つ前との変更点
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<h2>貴之と貴司(5)</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>
もう僕はためらっている場合じゃなかった。行動あるのみ!<br>
兄さんの手を引っ張る。前屈みになった兄さんはキョトンとしてる。<br>
僕はギュッと目を閉じ、次の瞬間兄さんにキスしていた。<br>
マンガとかテレビで見るみたいに激しいのなんて、恥ずかしくってむり。<br>
それでも僕は兄さんの唇を強く感じた。<br>
唇を離すとき、ちょっと舌で兄さんの唇をなめてみる。さっき飲んでいた<br>
ワインの味かな。ちょっぴり甘い香りに頭がぼーっとなりそう。<br>
「ご、ごめんなさい」<br>
とてもドキドキしてたけど、なんだちょっとだけ落ち着いてきて、兄さんの<br>
びっくりしている顔をみたら、とっても悪いことをした気持ちになってき<br>
ちゃった。<br>
「なんで謝る」<br>
はっとさせられるような、静かな落ち着いた声が僕に振り下ろされ、体を<br>
切られるようなキュッとした痛みがどからか体中に拡がる。<br>
この声は兄さんが怒っている証拠だ。どうしよう。</p>
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