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洋平と拓也【1】 - (2006/01/16 (月) 07:51:43) のソース

<h2>洋平と拓也(1)</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>カーテンが引かれ、薄暗い室内。<br>
その隙間から、一筋の光が漏れている。<br>
外はいい天気なのに、室内はしっとりしている。<br>
最初にやろうと言ったのは、洋平くんだった。<br>
「ねぇ、セックスごっこ、してみよう」<br>
<br>
お姉ちゃんの部屋から、大き目のぬいぐるみを2つ持ってきた。<br>

「じゃあ、俺男の人やるから、拓也女ね」<br>
「うん」<br>
やるのはぬいぐるみ達。<br>
僕たちはそれを見ている人だ。<br>
もちろん、動かしているのは僕と洋平くんなんだけど。<br>
「男の人、おっぱい触ってる。やらしー」<br>
「こいつエッチだね」<br>
くまさんの手が、うさぎさんの胸のあたりをもこもこと撫でる。<br>

でも、本当はこの2人は人間なんだ。<br>
「こんどはお股だよ」<br>
「女の人もちんちん触ってる」<br>
「恥ずかしいやつら」<br>
「うん」<br>
「ねぇ」<br>
「なに?」<br>
洋平くんが、ぬいぐるみを動かす手を止めて僕を見る。<br>
「セリフとか言った方がいいんじゃない」<br>
「え?」</p>
<p>
「アーンとかイヤーンとか言った方がいいんじゃない」<br>
「でも…恥ずかしいよ…」<br>
ほっぺたがカアァと熱くなる。<br>
だって、男の人はたぶんあんまり喋らない。<br>
僕だけセリフ言うのなんて、不公平だよ。<br>
「いいから」<br>
「でも…」<br>
「ほら、続き」<br>
「なんて言えばいいの?」<br>
「アハーンとかウフーンとか言えばいいんだよ」<br>
「あ、あはーん…」<br>
「……なんか違うな」<br>
「うん…」<br>
しょうがないよ、だって本当はどんなか知らないんだもん。<br>

「映画のエロシーンっぽくやればいいかも」<br>
「外国のやつ?」<br>
「そうそう、やってみるぞ」<br>
「うん」<br>
くまさんがうさぎさんのおっぱいを揉む。<br>
「…あっ…あぁんっ」<br>
「そうそう、そんな感じ」<br>
恥ずかしい。すごく恥ずかしい。<br>
洋平くんはそんな感じって言うけど、きっとすごく変だよ。</p>
<p>「っはぁ、あん…」<br>
「あぁ……んっ、いやっ…あぁっもっともっとぉ…」<br>
なんで、嫌なのに「もっと」って言うんだろう。<br>
「…あっ、あっ…んっ…」<br>
だんだん変な気持ちになってきた。<br>
くまさんの手が触れたところと、同じところがひくひくする。<br>

家には誰もいないけど、僕も洋平くんもひそひそ声だ。<br>
だって、恥ずかしいことしてるから。<br>
セックスごっこなんて、いけないことしてるから。<br>
こっそり2人で悪いことをしてるんだと思ったら、背中がぞくぞくした。<br>

「……ゃ」<br>
「…くや」<br>
「たくやっ!」<br>
「えっ!?」<br>
びっくりした。<br>
呼ばれてることに全然気づかなかった。<br>
「なに黙りこんでるんだよ」<br>
「あ、ごめん」<br>
「しっかりしろ」<br>
「うん」</p>
<p>くまさんがうさぎさんのお股をさする。<br>
「ほら、気持ちいいだろ…?」<br>
「ぁ…いいっ…気持ちいいっ…」<br>
僕もなんだか気持ちイイ気がする。<br>
心臓がすごくしくしくして苦しい。<br>
心臓じゃないところもしくしくする。<br>
「ちんちん入れるぞ」<br>
「っあん…ちんちん気持ちいいっ…!」<br>
こんなこと言うかな。<br>
でもなんて言えばいいのかわからない。<br>
「…っはぁ…あんっ!もっとぉ…!」<br>
「あっ…あぁ…は、はぁ…」<br>
「…ぁ…よ、ようへいくんっ…」<br>
「なんだよ」<br>
思わず洋平くんを呼んじゃったけど、どうしよう。<br>
えっと、あのね、<br>
「洋平くん、僕心臓がしくしくする」<br>
しくしくして、すごく苦しい。<br>
「恥ずかしいからだろ、エッチだからだよ」<br>
「う、うん、そうかな」<br>
恥ずかしいな。<br>
でも、本当はもっと別のところもしくしくするんだよ。<br>
洋平くん、ぼく別のところもしくしくする。<br>
「ほら、早く続き」<br>
「……うん」<br>
でも、それを言ったら洋平くんは僕が嫌いになるかもしれない。<br>

もっと恥ずかしい奴だって思うかもしれない。<br>
そう思うと悲しかった。<br>
だから、僕はそれ以上なにも言わなかった。</p>
<p>その後すぐにお姉ちゃんが帰ってきた。<br>
僕たちはセックスごっこをやめてゲームをした。<br>
でも僕はずっとしくしく苦しいままだった。</p>
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