アウトカム(真のアウトカム、代用のアウトカム)

真のアウトカム、代用のアウトカム

アウトカムとはPECOにおける'O'の部分、「結果は何か。」をさす。
論文におけるアウトカムには、真のアウトカムと代用のアウトカムがある。

  • 真のアウトカム
Fletcherの5D(6D)と言われる以下のものが最も重要なアウトカムとされている。
1.Death 死亡
2.Disease 疾患
3.Discomfort 不快
4.Disability 能力障害
5.Dissatisfaction 不満足
(6.Destitution 貧困)

  • 代用のアウトカム
高脂血症におけるコレステロール値低下、高血圧症における血圧低下、糖尿病におけるHbA1c低下などはこちらにあたる。検査結果を良くすることが病態生理学的に正しいように思えても、実は患者予後を変えなかったり、かえって予後を悪くしてしまう場合もある。
よく例としてあげられるのがCAST研究である1)。心筋梗塞後で心室性期外収縮の頻度の高い患者に対して、突然死予防目的で抗不整脈薬を投与し効果を調べた研究である。抗不整脈薬によって心室性期外収縮は抑制されたものの死亡率はかえって上昇し、研究は早期に中止された。この研究では次のようなPECOがたてられる。
P:心筋梗塞後で心室性期外収縮の頻度の高い患者
E:抗不整脈薬投与
C:プラセボ
O:不整脈が減る(代用のアウトカム)
  突然死の減少(真のアウトカム)

患者にとって重要なアウトカムは

論文を読むときには真のアウトカムかどうかを注意して読みたい。
一方、情報を患者に適用するとき(ステップ4)には、患者にとって重要なアウトカムが何か、よく考える必要がある。個別の患者で考えると、まったく同じ患者はいないわけで患者のニーズの数だけアウトカムがあるといえる。できる限り長生きしたいという人もいれば、早くぽっくりあの世に行きたいという人もいる。
コレステロール値などの検査結果に一喜一憂する患者は多い。代用のアウトカムであると分かってもらうことも必要かもしれないが、それによって安心して健康的な生活を送ることができるなら患者にとって重要なアウトカムなのかもしれない。


  • 参考文献
1) Echt DS, et al. Mortality and morbidity in patients receiving encainide, flecainide, or placebo. The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial. N Engl J Med 1991 Mar 21;324(12):781-788.
名郷直樹.EBMキーワード.中山書店
名郷直樹.続EBM実践ワークブック.南江堂

  • 最終更新日:2008.9.7
最終更新:2008年09月07日 23:28
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