氷河特急(ひょうがとっきゅう、または氷河急行あるいはグレッシャー・エクスプレス, Glacier Express)は、スイスを代表する山岳リゾートを結ぶ山岳鉄道である。マッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)とレーティッシュ鉄道(RhB)というスイスの鉄道会社2社が、ツェルマットとサン・モリッツの間で運行している。
概要
氷河特急は、ヴァレー州ツェルマットとグラウビュンデン州エンガディン地方のサン・モリッツという、スイスを代表する山岳リゾートを約8時間かけて結ぶ特別列車である。最高地点2033mのオーバーアルプ峠を越え、7つの谷、291の橋、91のトンネルを抜けて走る。平均時速は約34km/hになるため「世界一遅い特急列車」とも呼ばれる。
元々はフルカ峠付近で「ローヌ氷河」が見えたことからこの名がついたが、1982年に通年運行確保のためフルカ峠をフルカベーストンネル(新フルカトンネル)で越えるようになったため、現在ではローヌ氷河を車窓から望むことは出来ない。なお、旧ルートについては景観を惜しむ声が多かったことから、2000年から夏季に限りフルカ山岳蒸気鉄道(DFB)として復活運行が行われている。復活当初はレアルプ駅から旧フルカトンネルを抜けてローヌ氷河に近いグレッチュ駅(Gletsch)まで達した。第2期のオーバーヴァルト駅までの旧線全区間の復活は大幅に予定が遅れたが、2010年8月12日に全通し、再び車窓からローヌ氷河が、大幅に後退した姿とはいえ眺められるようになっている。
2006年から全ての車両は新型車両「プレミアム」に置き換えられた。空調完備で旧型車両よりも大きな窓のパノラマカーとなった上、テーブル付きの広めの座席、日本語を含む6ヶ国語で沿線案内の説明が聞けるヘッドフォンなどが装備されている。そのかわりに食堂車が廃止され、予約した乗客には厨房車から各座席にコース料理を運ぶサービスが開始された。食堂車の人気が高く、予約が取りにくくなっていたための措置である。
氷河特急は通年運行ではあるが、例年10月末から12月上旬まではメンテナンスのため運休となる。
停車駅
ツェルマット駅 - ブリーク駅 - オーバーヴァルト駅 - アンデルマット駅 - ディセンティス駅 - クール駅 - フィリズール駅 - サン・モリッツ駅
- ツェルマット→サン・モリッツ方向の氷河特急では、ブリーク~オーバーヴァルト間で乗車のみ、クール~サン・モリッツ間で降車のみ可能な駅がある。反対にサン・モリッツ→ツェルマット方向の場合は、サン・モリッツ~クール間は乗車のみ、オーバーヴァルト~ブリーク間は降車のみ可能な駅がある。従ってツェルマット駅 - ブリーク駅間のような短区間利用できなくなっている。
最終更新:2017年02月19日 17:35