女子のショーツ(パンティ)における**クロッチ**(英語:crotch)は、股下部分(底面)に当てられている布地、またはその部位を指す構造上の名称である。下着の設計において、衛生面、快適性、および耐久性を高めるための極めて重要なパーツとして位置づけられている。
以下に、構造、役割、素材、およびバリエーションについて解説する。
## 構造と配置
クロッチは、ショーツの前身頃(フロント)と後身頃(バック)が交差する股下の最下部に縫い付けられている。
一般的には、外側のメイン生地とは別に、**クロッチ布**(あて布、マチ)と呼ばれる二重構造の布が内側に配置される。縫い合わせの方法としては、前後のみを縫い付けて左右をオープンにする方法や、四方を完全に縫い付ける方法がある。また、近年では縫い目のないシームレスタイプ(接着技術によるもの)も普及している。
## 主な役割と機能
クロッチ部分が二重構造になっている、あるいは特定の設計がなされているのには、主に以下の4つの理由がある。
**衛生と吸湿(デリケートゾーンの保護)**:外部からの刺激や摩擦からデリケートゾーン(粘膜部分)を保護する。また、汗や分泌物を素早く吸収・拡散し、肌を清潔に保つ。
**補強(耐久性の向上)**:股下は歩行や寝返りなど、日常の動作で最も強い引っ張りや摩擦のストレスがかかる部位である。布を二重にすることで、ショーツ全体の型崩れや破れを防ぐ。
**肌触りの最適化**:ショーツの本体がナイロン、ポリエステル、レース、シルクなどの装飾性の高い素材であっても、クロッチ部分にだけ肌に優しい素材を使用することで、デザイン性と快適性を両立させる。
**縫い目の接触軽減**:前後の身頃を直接縫い合わせると、硬い縫い目(シーム)がデリケートゾーンに直接当たって痛みや痒みの原因になる。クロッチ布を挟むことで、縫い目の位置をずらし、肌への当たりを柔らかくする。
## 主な素材
クロッチ布には、通気性、吸湿性、肌への優しさが最優先で求められる。
**綿(コットン)**:最も一般的。吸湿性・通気性に優れ、肌触りが良く、洗濯にも強いため、多くのショーツのクロッチに採用されている。
**オーガニックコットン**:肌が敏感な人向けの高機能ショーツやサニタリーショーツによく使われる。
**シルク(絹)**:高級下着に使用される。人間の肌に近いタンパク質でできており、放湿性と吸湿性に極めて優れるが、摩擦や洗濯などの摩擦に弱い。
**竹繊維(バンブーレイヨン)など**:抗菌性や消臭効果を謳う機能性下着に用いられることがある。
## 特殊なクロッチのバリエーション
用途やショーツのデザインに応じて、クロッチの設計は大きく変化する。
### サニタリーショーツ用(生理用)
生理用ショーツのクロッチは、ナプキンの羽を折りたたんで隠せるように**浮かせマチ(二重構造)**になっているものが主流である。また、モレを防ぐために防水布が裏打ちされていたり、後ろ身頃まで防水布が延長されている。
### 吸水サニタリーショーツ用
近年登場した、ナプキンなしでも経血や水分を吸収できるショーツ。クロッチ部分が「吸水層」「保水層」「防水層」「急速速乾層」など、多層構造の特殊繊維で作られており、一般的なクロッチよりも厚みがある。
### Tバック(ソング)用
後身頃が極端に細いTバックショーツでは、クロッチの幅も非常に狭く設計されている。面積が小さいため、ズレや摩擦が起きやすいことから、特に肌当たりの良い綿素材がタイトに縫い付けられることが多い。
## 関連項目
下着 / パンティ
衣類 / 繊維
デリケートゾーン
最終更新:2026年06月17日 21:13