その日、わたしは世界中の人達の前に立ってた…。
「さあさ、神子様。腕をお上げ下さいませ」
着付け役の侍女のひとりが、ドレスに袖を通させるために、わたしに手をあげるように言う。
わたしは言われたとおりに手をあげて、まっしろのツヤツヤに輝くフリフリのドレスを着せてもらう。
このツヤツヤのドレスは、今日のために特別に作られたものなの。たっくさんの白真珠を特別な魔法で糸のように伸ばして、それを最上質の絹の糸と縒り合せて作った、「パールシルク」っていう特別な糸で織られているんですって。
真珠と絹の合わさったツヤツヤな輝きとスベスベなさわり心地がとっても気持ちいい。ワンピースのドレスで、肩と袖口とスカートの裾の所についたフリフリの飾りがとってもカワイイの!
それになにより、「今日のために特別に作られた」っていうところが嬉しいの。
やっぱり、新しいドレスを着るのはウキウキするなぁ。
今日は、『太陽石の王冠(クラウン)』の戴冠式。
『太陽石の王冠』は、この前お母様から戴いたものだけど、まだかぶってないんだ。
お母様が「こういうのはキチンとした形式が大事だから」って言って…。大勢のひとのまえでキチンとした“しきてん”として受け渡すんですって。
だから、今日のこの“たいかんしき”で、お母様の手から直接わたしの頭にのせてもらうことになっているの。
もうすぐ、あのキラキラの冠をかぶせてもらえるんだ…。ワクワクするなぁ!
たくさんのアクセサリーを着けてもらって、髪をとかし直してもらって、それから、ほんのすこしだけお化粧もつけてもらって、わたしは姿見をのぞきこむ。
「如何でございますか?神子様」
聞かれたわたし。その感想は……
すごいステキなドレス!!
まっしろのドレスの生地と、銀を基調にしたアクセサリーの取り合わせも
かんぺきだわ!ネックレスは金縁に真っ赤なルビーで、わたしの髪や瞳の緑とドレスの白に対して、ぜつみょうなコントラストをかもし出してる!頭の所だけ “空いてる”
感じになってるのは、『太陽石の王冠』をおさめるためなのかしら?
きっと服装全体が、『太陽石の王冠』を映えさせるために考えられてるんだわ!
「さすがねっ!みんなっ!!とってもステキよっ!!!」
わたしの言葉に、侍女たちもみんな嬉しそうにする。
「それでは、神子様…。そろそろ出発の時間にございます…」
侍女長がわたしに声をかける。
「うん。それじゃあ、いきましょ…!」
そうして わたしはいま、戴冠式の舞台に立ってる。
わたしの周りでは、世界中から集まった偉い人達が わたしを見守ってる。この“たいかんしき”の様子は、テレビでも写されてて、世界中の人達が見ているんですって。
白い衣を着た神様が、開式のあいさつをする。
お話が長くって、わたしは先が待ち遠しくなる。
はやくあの冠を かぶりたいなぁ。
チラッと横を見たら、付き添いの銀月が退屈そうにあくびをしてた…。
あんたねぇ…!!!
しばらくして、長い長いあいさつが終わると、式場に黄金の鐘が鳴る。
雲のヴェールの向こうから、まっしろいドレスに身を包んだお母様があらわれる。
お母様は その手に金縁と赤ビロードのお盆を持ってて、そのお盆の上には『太陽石の王冠』がのせられてる。
わたしは赤い絨毯の上を式場の階段に成ってる所のすぐ下までゆっくり歩いて行く。
お母様も赤い絨毯の敷かれた階段をゆっくりとした足取りで降りてくる。
先に段の下で待ってた わたしを、階段から降りてきたお母様が、優しい…ほんとうに優しい笑顔で包み込んでくれる。
その笑顔で、わたしは雲の上に立ってる時みたいなフワフワした気持ちになる。
「我が娘桜花よ…、汝に、セント・アゴラ継承者の証『太陽石の王冠』を授ける……」
お母様はお盆から王冠を手に取り、それを優しくわたしの頭の上にのせてくれる……。
いま、わたしはすごく幸せだ……。
お母様が わたしを認めて『太陽石の王冠』をかぶせてくれた…。
わたしのことを自分の後継ぎに認めてくれた…。
そのことが、心にしみて、とってもとっても嬉しい……。
こころがフワフワして、胸の奥があつくなる……
その心をそのままのせて、わたしはお母様に…世界中の人達に誓う……。
「お母様…、わたしは、この『太陽石の王冠』を受け継ぐ神子として、必ず立派にこの樹木の世界(ウッドワールド)を護っていきます……!」
わたしの誓いは、フレアに乗って…、電波を越え…、世界中に鳴り響いた……。
-end-
※1=即ち、桜花が常備化していない「高価な衣服」。購入コスト100(!)くらいのものをセシリアが買って桜花に渡したと思われ。
※2=よーするに、《メディアスター》を習得しました!(`・ω・´)ゞ