すぐには気が付くことができなかった、あまりに大きな存在ゆえに、普通なら簡単に消えてなくなってしまう程の一撃だったのだから、だが残ったとはいえその存在の大半を彼は損失してしまっていた。
はじめに気が付いたのはガイアスだった。一件の翌日、外見は何時もと変わらないはずなのだが何故か何時もとは雰囲気が違う気がしたのだ、不思議に思ったガイアスは彼に手合わせを申し出た。
結果はガイアスの圧勝、それどころか彼はまともに立ち回ることすらできなかった。そして彼自身も気が付いた己の存在の損失に、それは本来の姿である龍に戻ることさえ出来ない程だということに。
彼は己の存在、力の損失に驚愕し焦りを感じたが、すぐに冷静になり思った。
「何を焦ることがあるのだろう?」
「夢をかなえることに巨大な力など必要ない。たとえ必要だとしても、また一から積み上げてゆけばいいのだから」
「古い力の変わりに新たな可能性を得たと考えればそれほど悪いことでもないのかもしれないな・・・」
その時、首から提げていた「青雷の暁宝」が強い輝きを放ちはじめる。同時に彼の中にイメージが流れ込んできた、それは空、海、大地、雄大な世界だった。自分の中に世界が広がっていくのを感じながら、彼はその雄大さに思いをはせていた。
「どれほど時代が過ぎても、やはり世界というのは興味がつきないな・・・」
「青雷の暁宝」の輝きが止むと事態を飲み込めないガイアスが彼に問いかける。
「い、一体何が?」
その問いに対して彼は微笑みながら答える
「いや、なんでもないさ・・・」
「それよりもガイアス、もう一度手合わせをしないか?今度はさっきと同じようにはいかないぞ」
「は、はい!」
新たな雰囲気を纏い、再び二人は手合わせをはじめる。
結果は彼の言った通りになった・・・。
その日の夜、雲一つない夜空から舞い降りた一頭の白龍。
彼は地面に手をつくと姿を変え、広大な大地に駆けだした。
勢いそのままに彼は大海原に飛び込むと、再び姿を変え泳ぎだす。
夜空、大地、大海原を一通り堪能した後、彼が三度姿を変え人の姿になると同時に周りの景色も姿を変え、彼のよく知る風景になる。
彼は上を見上げ、微笑んだ。あの時から変わらずに追い続ける夢、少年・龍助との約束を見つめながら、新たな光を宿したその瞳で・・・・。