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ワークス・ペトロフカ
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近況

ヒーラー職というのはその実結構キツい職業ではないか? 少人数の冒険者グループでなら好きなだけチ
ヤホヤされるがいい。おれが話しているのは軍隊サイズの集団における彼ら彼女らヒーラーの話だ。勝っ
ているときは少しでも多くの首級を挙げ、あるいは戦利品を得ようと躍起になる兵士たちから早く回復し
てくれと次々せかされるだろう。褒められこそすれ足蹴にはされない。攻め込んでいる内は負傷者の収容
も問題にならない。自分が人の役に立っていればお国の始めた戦争でしかるべき活躍をしていると満足感
を得られる。

しかし負け始めるとこれが困る。傷ついた兵士を瞬時に直してまた戦わせる。腕が良ければ文字通り切断
された腕をくっつける術や魔法だって使えるだろう。傷つく、治す。傷つく、治す。それでも戦に負ける。
戦線は後退する。一日に二度も三度も死ぬ寸前の重症を負った兵士をまた治し、渋る彼に武器を握らせる。
自分たちに出来ることは一人でも多く兵士を治して一人でも多く前線に送り込むことだけだ。死なない程
度にケガをして故郷へ帰りたい兵士からは恨まれ、自分たちのことを死霊術士か何かだと思っているお偉
方の将軍からはぬけぬけと「死者の蘇生はできないのか?」などと言われる。

たとえ話として、うつ病の原因はこれこれという神経伝達物質のせいである、としよう。精神科医は患者
に抗うつ剤を与えてうつ病でなくす。しかしそれは患者の肉体を治療しただけであって、それら神経伝達
物質が変調を起こした原因、肉体の外にある環境要因(つらい仕事や学校、人間関係のトラブルなど)を
修正したわけではない。つまり患者のうつ病は再燃しうる。ヒーラー職も同じである。S級なんたらだとか
伝説の大魔道士だとかの腕前を持ってすれば、ちぎれた手足どころか戦場でのトラウマを抱える兵士の脳
さえ「治療」できるかもしれない。しかし、兵士一人一人が傷つく原因である戦そのものをどうこうする
力はないのである。(あったとしたら作品のタイトルは「癒し手ですが戦闘も出来るので戦います」とか、
いかにもつまらなさそうなものになっているはずだ)

兵士たちの目には、ヒーラーたちのことが自分たちを永久に戦わせるためのシステムとして映るかも知れ
ない。治す側の彼らたちもわずかな休憩時間に手を止め、魔法の杖をじっと握りながら、自分たちのやっ
ていることが死体を操る以外は死霊術士とほぼ変わらないことを見つけるのである。「いや、人を癒やす
ことは常に善のはずだ」とか「我々の聖戦をあくまで完遂させねばならぬ」などと議論しているうちにい
よいよ戦局はのっぴきならないものになり、とうとう癒し手さえもが戦うことを求められる。「戦わせる
ための人たち」が「戦う人たち」になったとき、癒し手たちが見たものとは――とここまで書けば単なる
ファンタジー冒険譚のみならず職業倫理や生命倫理にまで踏み込んだ話になるだろう。たぶん。

「すぐにお怪我を治しますね」とおれの手を握ってくれるヒーラー職のチョー可愛い女の子たち(たぶん巨
乳だったりツンデレだったり褐色姉御肌だったりするのだろう。むろん女性向けなら性別はスイッチされ
ふさわしい性格が付与される)、彼女たちが見ているのは人格を持つ人間としてのおれなのか、いち戦闘
単位としてのおれなのか……?



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最終更新:2025年08月21日 20:25