ワークス・ペトロフカ
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近況
永井隆による、「地震は天罰」並の理屈である
浦上燔祭説は被爆者による被爆当時の理論であることを差し
引いてもやはり暴論の域を出ない。どう暴論かと言えば、人間によって開始された戦争、人間によって遂行
された原爆投下、人間によって殺害された戦争被害者を「神」を出すことでまるで自然現象かのように解釈
し、しかも全ての加害者を免責しているからである。ただ、そのような極論を唱えてでも理屈を付けなけれ
ば被爆者の苦しみは現実と折り合えないのだろう、との想像はできる。
ところがその永井が原爆の被害や悲惨さを訴える様子を「宣伝屋」
呼ばわりしていたのが昭和天皇である。
永井が原爆投下は「神の摂理」だと言い、戦争を始めた日本の責任や核攻撃したアメリカの責任を無視する
のは被爆者の怒りや恨みが天皇やGHQに向かないようにするとの点で大変好都合だったのにも関わらず、だ。
少なくともGHQの方は永井の利用価値を認めている。彼の著作が検閲を受けるに当たり「GHQ内部では、原爆
を神の摂理と考え、地震や噴火といった自然災害のように描いているので出版を許可していいという容認
派」が
存在していたそうだ。
その一方で、GHQと並び浦上燔祭説の最大の受益者である天皇自身が永井を毛嫌いしている――しかもそれ
は何らかの冷徹な損得勘定から来る物ではない――のだから世話がない。病床に横たわったまま天皇と面会
した永井は感激した様子を書き残している。おれは浦上燔祭説を認めることは出来ない。だが天にまします
神も現人神も永井に冷酷だったことに、おれは憐憫の情を禁じ得ない。
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最終更新:2026年08月11日 20:14