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●身体に原因する心の乱れ
これがさらに推しすすめられて、
人間の理性たるロゴスに対立するものとして
はっきりと断罪されるようになったのは、近代以降のことである。
その典型的な考えは、デカルトの『情念論』が示すように、
パトスを「身体の働きかけによる心の盲動」
すなわち身体に原因する心の乱れとして否定的にとらえるものであり、
愛、憎しみ、怒り、恐れなどといった諸情念は、
ロゴスによって意志的に支配もしくは統御されねばならないという倫理を
生み出したのであった。
これまた、先に見た<悪しき自然・良き文化>観に依拠した
<パトス>/<ロゴス>の二項対立であったと言わねばならない。
最終更新:2008年06月22日 22:24